151、同人誌即売会 1994年8月7~8日 大学3年生
1994年8月7~8日、僕はとあるイベントのゲストとして出演していた。
とあるイベントとは『同人誌即売会』でいわゆるコミケであった。
で、僕の役割はと言うとコスプレイヤーの一員としてイベントに華を持たせて欲しいと言う物だった。
この頃はまだ、『東京国際見本市会場(晴海): 東京国際見本市協会(A館+B館)+東京国際貿易センター(東館+南館1F+西館+新館1・2F)』で、再来年の1996年に東京国際展示場(東京ビッグサイト)に移転する計画であった。
この日は全国的に高温・少雨・日照りが多い為、水分補給をこまめに行ったが汗として流れていく一方だった。
「レイヤーの皆さん、適度な水分補給を心がけてくださいね。」
僕はプロ野球中継でよく見られるビールの売り子さん、正式名称『立売スタッフ』の恰好で総重量約15㎏のサーバーを担いで周った。
「よろしければどうぞ。」
俗に言うカメラ小僧の方々にも周った。
ちなみに中身はビールではなく、麦茶の特注品であった。
通常サイズの紙コップで容量は約205ccのを使用していて150cc注いでいた。
値段は300円の良心的値段だと思うけど・・・はたしてどうかな?
だが、その様な心配は嘘の様に炎天下もあり、飛ぶ様に売れた。
売上代金は運営に渡している。僕の取り分としては歩合制で受け取る事になっていた。
単純計算80杯でタンクが空になる。
そういう事を計算して笑顔を振りまいて言った。
「麦茶いかがですか~!」
これらの行いは運営主体の行いであり、僕以外にも何十人かの売り子さんがいた。
「あ、みかんちゃんだ。」
「さあ、麦茶はいかがでしょうか?1杯300円になります。」
「ぜひ、下さい。」
「毎度ありがとうございます。今日は暑いですね。」
「はい、みかんちゃんが来てくれて余計暑くなりました。」
「まあ、ほどほどにね。」
僕は次のお客へと周る。
その後ろ姿を呆けた表情で見つめる先ほど僕から麦茶を購入した客の方。
「タンクの替えお願いします。」
「みかんちゃん、もう何回も替えに来てるね。
「今日は暑いですからね。お客さんの反応も上々です。」
「それはみかんちゃんだからじゃないのかい?」
「え?どういう意味でしょうか?」
「憧れの芸能人に注いでもらえるんだ。俺だったら何杯でも・・・とは言いすぎだがその紙コップサイズだと5、6杯は軽く飲めると思うぞ。」
「でしょうね。」
僕は背負ってる麦茶のサーバーを交換する為にエリア別に設置された補給部署に来て交換していた。
「みかんちゃん、さすがに疲れただろう?少しは休憩したらどうだい?」
「売れ行きが減少しますが良いのでしょうか?」
「な~に、みかんちゃんは元々ゲストなんだしお手伝いしてもらった手前強くは言えないけど、本音を言えばもっといて売って欲しい。でもみかんちゃんも予定が詰まっているんだろう?」
「それはそうなんですけど、では交代しますね。」
「分かったよ。こちら本部より各支部へ、エンジェル撤退繰り返すエンジェル撤退。」
この日の僕のビールの売り子の恰好はテレビニュースにもちょっとだけ映り、
「こんなに可愛い子は誰だ?」
「俺も注いでほしかった。」
「コミケ行けば良かった。」
等々、色々な意見が飛び交った。
と、のちに聞いた。




