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136、ひな祭り 1993年3月3日 大学1年生

 毎年3月3日は桃の節句すなわちひな祭り。

今年も我が家は立春(節分の翌日、2月4日)から雨水うすい2月19日までにひな人形を飾りだした。

特に雨水の日に飾ると良縁に恵まれるという言い伝えもあるらしい。

良縁とは結婚のことだけでなく、生きていくうえで様々な人や物事と縁を結ぶ事と言われている。


雨水の注釈:雨水あまみずがぬるみ、草木が芽吹き始めるころ」とされる。雨が降ればもう雪にはならず、草木もあたたかい春を待っていたように萌え出づる季節とされる。


 そうしてひな人形も飾り付け終わり、3月3日のひな祭りに食べられる料理の準備をした。

例として、「ちらし寿司」、「はまぐりのお吸い物」、「菱餅ひしもち」、「ひなあられ」、「白酒」が一般的である。


 各料理の意味合いとして、


 ◆「ちらし寿司」

 エビ、れんこん、しいたけ、豆、錦糸卵などが美しく映えるちらし寿司。ちらし寿司の具には、縁起が良いとされる食材が使われている。

エビは「腰が曲がるまで長生きできるように」

れんこんは「見通しがよく、災難に見舞われないように」

豆は「まめで健康に生きられるように」

しいたけは「元気で頑丈な体になりますように」

との願いが込められている。

 また、寿司は「寿ことぶきを司る(つかさどる)」という字のごとく、縁起が良く、お祝いの席で食べる物という意味を持っている。

 

 ◆「はまぐりのお吸い物」

 平安時代には、はまぐりの内側に一枚の絵を書いて伏せ、これをめくって合うものを探す「貝合わせ」という遊びが行われていた。

これははまぐりの「対になっていたものでなければ合わない」という特質を生かした物。

 そうしたはまぐりは仲睦まじく、末永く暮らす夫婦の象徴となり、「良縁に恵まれ、一人の男性と添い遂げられるように」との願いを込めて、はまぐりのお吸い物が食べられる様になった。


 ◆「菱餅ひしもち

 緑と白とピンクのお餅を重ねて菱形にした菱餅はひな人形へのお供え物。

女の子の身代わりとなって災いや厄を引き受けてくれる人形達への感謝の思いを表す為に菱餅を飾る様になった。

また、餅が菱型なのは魔除けや子孫繁栄の力があるとされた菱の実をかたどっているから。

そして緑・白・ピンクの色にも意味が有り、

緑が子孫繁栄と長寿を表す草萌える大地、

白は厄除けの純白の雪、

ピンクは魔除けの桃の花をそれぞれ表している。

 昔は緑色には増血作用のあるよもぎ、白には血圧を下げる菱の実を入れ、ピンクの餅の色づけに解毒作用のクチナシを用いたと言われている。

菱餅には、愛する娘を想う親心がたくさん込められていた。


 ◆「ひなあられ」

 菱餅と一緒に並べて飾られるのがひなあられである。

その昔、お雛様に春の景色を見せてあげる為に野山や海辺へ人形を持って出かける風習が有った。

その時にごちそうと一緒に持って行ったお菓子がひなあられである。

外でも食べやすい様にと、菱餅を砕いて作ったと言うのが由来とされている。

 ひなあられには、白・黄色・ピンク・緑と4色が有り、それらが四季を表すとされ1年を通して子供の幸せを祈るという意味が込められている。

また自然のエネルギーにあやかり、『健康で成長出来ます様に』と言う願いも込められている。


 ◆「白酒」

 元々桃の節句には、桃の花びらを漬けた桃花酒が飲まれていた。

桃が引き立つ様に白い花も使われるようになり、後に白酒に変わった。

飲みやすく桃色と白色でめでたいと言う事もあり、江戸時代にひな祭りに飲むお酒として定着して行った。

 白酒はアルコール度5%のお酒なので、ひな祭りの主役である子供は飲む事が出来ない。

その代わりにノンアルコールの甘酒を飲むのが一般的である。


 それらをひな祭りに家族で食べて祝った。


 「三花、今年でお前も20歳。そろそろお相手の1人や2人出来ない物かね。」

 「お父様、いずれお相手が出来たならば紹介したいと思います。」

 「楽しみにしてるよ。」

 お父様からそろそろ相手はどうか?と言う質問が入り、僕は返答を濁した。

第3の人生では三花ちゃんと言う相手(三花in雄蔵)がいたから結婚して子供まで産んだけど元男と言う感覚が残っているので、見知らぬ男性と関係を持ちたいとは思わない。

でもそれはそれで第2回目の両親を悲しませてしまう。この事はこの先も多いに悩んだ。


 3月3日のひな祭りも終わり、ひな人形を片付けた。

その際一番の大敵は「湿気」である。

箱の中に湿気が入り込まない様に、ひな人形はよく晴れて空気の乾燥した日を待ってから仕舞う事が良い状態に保つ為に大切な事だからだ。


 ちなみに、ひな人形を片付けるのが遅れると婚期を逃すと言う言い伝えは、

『お子様に、ひな人形を自分で仕舞える様になって欲しい』

つまり、『大切なものを、正しく片付けられる』きちんとした大人に成長して欲しいという親御さんの思いから来る『しつけ』の一種らしい。

  

 でもこのまま行くと僕の場合は婚期を逃す事になりそうで怖い。

考え様に寄れば、1回目の男だった頃と同じく親不孝な事かもしれない。

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