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135、バレンタインデー 1993年2月14日 大学1年生

 毎年2月14日、いわゆる『バレンタインデー』と言う日本では女性から男性への愛の告白をすると言う様に広まっている。

 海外では、男女関わらず親愛の意味を込めてプレゼントすると言われている。


 そんなバレンタインデーが近づき、僕が出演したチョコレート会社のCMが流れていた。

CMの中で、意中の男性の後を追いかけてハート型のチョコレートを渡し実は男性の側もこちらを意識しておりめでたく両想いになると言う内容で、最後にチョコレート会社の名前が出てCMが終了するという筋書きだった。

 

 僕も差し入れとして大量のチョコレートをCM撮影前に頂戴していたので、

CMの撮影スタッフ、所属事務所の大勢の方々に2月14日に配った。


 「ねえ、みかんちゃんの本命は一体誰なんだい?」

チョコを配っている最中に唐突に聞かれ、

 「それは内緒です。」

と、僕は答えた。

 「もったいぶらないで教えてよ。」

冗談ぽく相手が聞いてくる。

 「しつこいとあげませんよ。」

僕が言いながら渡すのを止めるそぶりをすると、

 「ごめん、ごめん。みかんちゃん、謝るからぜひ下さい。」

と言い是が非でも欲しい表情を見せた。

 「今回だけですよ。次回も言ったらもうあげませんからね。」

 「本当にごめん、みかんちゃん。」


そういったやり取りもあったが一通り配り終えた。

何個かは自分用、家族向け用に残してある。

そして家に持ち帰り家族に配ると、


 「三花、ありがとう。」

 「三花ちゃん、ありがとうね。」

 お父様とお母様が感謝の言葉を言う。


 「三花、ありがとうな。」

 「三花、サンキュー。」

 「お姉ちゃんありがとう。」

兄弟からも感謝された。


 そして自室に入り昔から続く儀式。

身体の主導権を三花ちゃんにして姿見の前に立つ。

そしておもむろに鏡に向けて両手にチョコレートの包みを持って突き出す。

 「雄蔵さん、いつもありがとう。これからもよろしくね。」

その後、主導権を僕に戻して突き出した両手を胸元に持ってきて一言。

 「三花ちゃん、ありがとう。こちらこそよろしくお願いします。」


 その行為は今後も続いていくだろう。


 そして1か月後の3月14日に反対に僕がぬいぐるみやビスケット等を鏡の前に突き出し、

 「三花ちゃん、いつもありがとうございます。今後ともよろしくな。」

 「ありがとう、雄蔵さん。大事にするわ。」

こうして年に2回のプレゼントの渡しあいが行われた。


 ちなみに僕出演のCMの効果もありチョコレートが多いに売れ、企業の業績に貢献した。

   


 


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