111、ファーストキス (1988年12月下旬)昭和63年 中学3年生
1988年(昭和63年)12月下旬、TVの企画で僕は姫騎士、三花ちゃんがその近衛兵騎士を担当した。
衣装のサイズ合わせに大層困難した様で、出来上がりが素晴らしかった。
僕の胸の形に作成した鎧の胸部分。ガントレット、開閉式の兜、下半身はスカート状になっている。
両足はオーバーニーソックスの様な形状の靴で後の世で言う、『絶対領域』という物があった。
武器はロングソードと盾で応戦する。
三花ちゃんの衣装はこれぞ正当なる騎士と言う恰好で、身長も高く体格もいいので様になっていた。
それら数名の信頼おける近衛兵に守られているのが僕演じる姫だ。
普段はドレスを着ており、余り表に出しゃばらないが今回のシチュエーションは敵が攻めて来て、
一般の兵に混じって参戦し、鼓舞する役目をおっていて皆の士気を上げると言う内容だった。
「全兵士に告ぐ。哀れにも敵集団がわが領内に攻め込んで来て、わが物顔で好き勝手な事をしている。
私はこれをせん滅する為に、陣頭指揮を願い出た。我が親愛なる兵士諸君!大事な家族、愛すべき妻、息子、娘の未来を守る為に共に戦おう!」
「「「「「おおおおおおおおお~!」」」」」
「出撃!」
ドドドドドド!
騎馬隊が先陣となり出撃する。
歩兵部隊や補給部隊の足の遅れも考慮して部隊が前進する。
既に友好国へは援軍の要請の使者を出している。
別動隊が参戦してる中、僕達の部隊も戦場に付いた。
敵部隊に降服勧告を出す。
「我が神聖なる領土を侵す侵入者達よ、直ちに立ち去りなさい!」
「おお~?別嬪さんがいるぜ。捕虜にしてしまえ!お前達、やっちまえ!蹴散らかしてこい!」
「「「「「へい!」」」」」
「聞く耳持たずですか・・・。仕方が有りません。全軍に告ぐ!不埒な侵入者をせん滅せよ!」
「「「「「おお~!」」」」」
戦端が開かれる。
両軍の威信を賭けた戦いが始まり、姫騎士は戦況を見守っていた。
しばらくして膠着状態になり、泥沼の戦いになりつつあった。
その様な戦況を打破する為に、近衛兵を引き連れ姫騎士が敵の大将を裏から叩く機会を狙っていた。
闇夜にまぎれ数名が敵本陣に乗り込んだ。
丁度敵方が優勢となり、前祝いの酒宴を開いていた。
天候も雨が降ってきており、互いに敵が攻めてこないだろうと言う錯覚をしていた。
『これは好機!』
姫騎士はあらかじめ斥候に命じていて敵大将の居場所とその天幕の人数も把握していた。
敵部隊は完全に油断している。
姫騎士他数名は迅速かつ静寂に敵大将天幕まで近寄った。
サッ!
姫騎士のハンドサインの元、天幕になだれ込む。
「何やつ!」「敵襲だ~!」「であえ~であえ~。」
敵の大将以下取り巻きは深酒でかなり泥酔している。
そんな状況下、姫騎士に迫る危機!それを難なく迎撃する近衛隊長。
「敵大将○○!覚悟!」
姫騎士が襲い掛かる。深酒でも攻撃をかわす敵大将。
近衛部隊も次々と敵大将にやられていく。
そうして天幕には敵大将と姫騎士、近衛隊長の3人が立っていた。
敵部隊のほとんどはわが軍で制圧していた。
「へっへっへ!嬢ちゃん、なかなか可愛いじゃねえか~。いひっひっひ。どうだ?俺の伴侶になるなら幸せな毎日が過ごせるぜ~。」
「却下します!誰が好き好んで侵略者に屈する者ですか!」
「お~お~。プライドが高いこって。俺の元にこれば大層可愛がってやるぜ~?」
「問答無用!覚悟!」
姫騎士と敵大将がぶつかり合う。言わば一騎討の様な状態であった。
「くっ!」
「オラオラ~。そこの騎士さんよ~、その剣は飾りか~?お前も向かって来いよ~。」
敵大将が2対1の決闘を申し出て来た。
「どこまでも我が国を侮辱して~!」
「あっはっは。ちょろいちょろい。今すぐ降参して我が妻と成れ!」
「誰がその様な事をするもんですか!」
近衛隊長の実力はこの程度と油断している敵大将。
だがそれには罠が仕組まれていた。
「せやっ!」
近衛隊長と姫騎士のコンビは相手が油断している隙を付いて、攻撃を繰り返す。
そうして時間が流れて行き、敵大将の剣がはじき飛ばされて丸腰になる。
そうなると敵大将が態度を急変させてきた。
「なっなっな。今なら俺の妻になれば部隊を引き上げても良いぜ?良い条件だろ?素晴らしい未来が待ってるぜ?」
「問答無用!」
ばしゅっ!
「かはっ!」
「お・・・俺の妻に・・・なれば・・・幸せ・・・だったもの・・・をよ・・・」
ばたん!
敵大将が崩れ落ちる。
直ちに戦闘終了になり侵略者の手から愛する祖国を守った。
そうしてその功績により姫騎士と近衛隊長が結婚した。
やられたらやり返す。
その様な姫騎士の行いにより、民衆の姫騎士への態度が変わった。
今までは箱入り娘でお飾りの出陣と考えられていたからだ。
そうして姫騎士と近衛隊長が国を治め、平和になったのでした。
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この話はのちに映画化、舞台化されて人気を風靡した。
僕らのファーストキスはこのドラマのキスシーンだった。
その行いは大変感慨深い物があり、お互いのキスシーン初登場作品という事で話題性があった。
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