銀の少女との邂逅
ヒロインに…!設定を…!盛り込め…!!!!
その少女は美しかった。
言葉では表せないほどに。
その少女は可憐だった。
一目で心が奪われるほどに。
その少女は儚かった。
触るだけで壊れてしまいそうなほどに。
時計の上に現れた彼女は私と目が合うと唐突にこう言った。
「私を助けてくれてありがとう。異世界人様?」
「異世界人?助けた?状況が全く掴めないんだが、詳しく教えてくれないだろうか?」
ポツポツと降る大粒の雨から逃げるようにあても無く歩きながら、私は彼女から話を聞いた。
「そうね…何から話すべきかしら?」
彼女は淡く輝く腰までほどの長い銀色の髪を揺らしながら、しばらく考えるそぶりをした後、結局質問に質問で返された私は不意を衝かれながらも、一番気になる事を聞いた。
「単刀直入に、君はいったい誰なんだ?」
「…私が誰かって?ふふっ」
「何か可笑しい事を言ったか?」
小馬鹿にされたような気がして少しムッとした私がそう聞き返すと、彼女は微笑んで言った。
「ごめんなさいね。そんな事を聞かれるのはいつ振りかしらと思って」
続けて言った。
「そうね、名乗るなら、なんというべきかしら…氷の魔王…?」
「氷の魔王…?」
魔王という物騒な言葉に少し顔を顰めていると、彼女はまた楽しげに言った。
「冗談よ。あなた本当に何も知らないのね」
「そうと言っているだろう?」
「そんなにムッとしないでよ。私はね」
私の責めるような視線に意にも介せず、彼女はその名前を言った。
「ルラキス。ルラキス・シルベストよ。ルーラでいいわ。それ以上はまだ知らなくても良いわ」
その名前はある世界においては恐怖の象徴であったが、私にとってはただの人名に過ぎなかった。
その後、私にとっても決して忘れられない名前となるが…それはまた後の話である。
「早速だがルーラ、一つ聞きたいんだが、結局ここは何処なんだ?」
「その前に私に名乗らせたのだから、あなたも名乗るべきではなくて?」
「確かにそうだな。私は…マキト・ムザキといったところか」
「じゃあ、まずはマキト、この世界へようこそ」
時計の上で手を広げて歓迎のポーズを示したルラキスはさながら精巧な人形の様であった。
会話難しいですね…