Xmasスペシャルエピソード
現在本編プロット作成中('ω')
クリスマス用エピソードを先行公開!(謎!?)
十二月二十四日 クリスマス・イブ。
ロンリーウルフな俺は一人実家で過ごしている。
両親は温泉旅行に行き、この無駄に広い家で俺は飼い猫たちとコタツを奪いあいながら過ごしていた。
「はぁ……彼女、欲しい」
俺の名前は『天野 虎徹』。
三十歳童貞猫好き、彼女いない歴イコール年齢な残念中年だ。
クリスマス・イブでもいつもと変わらず家に籠り、コタツに入れた足を猫にかじられつつ動画鑑賞。
友人でも呼んでパーティーでもいいけどね。 ただ、三十にもなるとたていてい結婚しいてるか彼女いるし、むしろ子供いるほうが多いだろう……。
「昔はよく徹夜で桃〇99年やってたのによ~~」
プシュ。
まずは一本。 アルコールでものまにゃやってられません。
キンコーン。
「ん?」
誰か来た。
キンコーンキンコーンキンキンキンン――
「はいはい! 出るから、連打するなっ!!」
痺れる足を引きづり、俺は連打する馬鹿を怒鳴りつける。
どこのバカだ! そう思いつつ、俺は鍵を開けた。
カチャ。
――バンッ!!
「うわっ!?」
「メリーーーーークリスマぁあああス!! アマノッチ♪」
サンタに押し倒された。
鍵を開けた瞬間、突進してきたサンタに俺は玄関で押し倒される。
「おっさんメリクリ~~」
「こんばんは、天野さん」
さらに二人のサンタが我が家に侵入してくる。
最近のサンタはチャイムを鳴らすらしい。
「お、おまえら……!?」
サンタコスを着た、小学生女子が三人。
近所に住む仲良し三人組の少女たちである。
うちの猫とよく遊んでる。 あと俺の親が勝手に家に上げて俺のゲームをやらせていることもある。 『女の子も欲しかったのよね~~!』『ははは! 今から頑張ろうか、母さんっーー!!』 なんて嫌な会話をしていたことがあるよ。 年をとってもラブラブな両親でなによりだが。
「なんで??」
「ふふふ! サプライズだよぉ~~♪」
元気が一番。
俺を押し倒したままの凛子ちゃんが耳元で叫ぶ。
カシャカシャ。
「凛子ちゃんパンツ丸見えだよ?」
「にゃぁーー!」
凛子ちゃんは真っ赤なミニスカサンタ服を着用。 しっかりサンタ帽までかぶっている。 俺の上で四つん這いの格好だ、そりゃ後ろから見たらパンツ丸見えだろうよ。 恥ずかしそうに後ろを向き、片手で押さえる。
そんな丸見え凛子ちゃんをスマホで撮りながら突っ込みを入れたのは、静香ちゃんだ。
これまた珍しくサンタ帽にサンタ服を着ている。 いつもクールな感じでこんなイベント面倒って感じの子なのに。
「可愛そうな天野さんに、施しを与えにきました」
「そ、そうなんだ……」
静香ちゃんのサンタ服はシュッとしたワンピースタイプで大人っぽい。
いや、全然出るとこは出てないペッタンコなんだけどね……。
押し倒された俺を無視して勝手に家に入っていく、なんか袋を持っていたけどなんだろうか?
「おっさんどうせ暇でしょ? ほんとはうちでパーティーやろうと思ったんだけどさぁ~~。 凛子がどうしても来たいっていうから……」
「天野さん大しゅき~~♪」
「ちょ、ちょっと!?」
俺のジョリジョリし始めた頬に、凛子ちゃんのプニプニの肌がくっつけられる。
マズいぞ!?
こんな光景を近所に見られたら、俺の社会的地位が抹殺される。
すでにあってもないようなモノだけど、ロリコンの称号はマズいーー!
「美沙ちゃん! ドアしめて、早くっ!!」
「はぁ? 命令しないでよ、おっさん」
美沙ちゃんはすでに早い反抗期だ。
茶髪のポニーテールに小麦色のモチモチ肌。 ホットパンツタイプのサンタ服はへそが見えている。 そんな恰好で寒くないのか?
すでにギャルとかしている美沙ちゃんは、俺の言うことをきかない。
「あ、おっさん友達いない癖にス〇ッチ持ってたよね? 早くやろ? 凛子」
「……うん!」
最新ゲーム機>>>俺
凛子ちゃんから解放されたが、なんだろう、このやるせなさ……。
ピンポーン。
「また……?」
ドアを閉めるとすぐ、チャイムが鳴った
俺は恐る恐るドアを開けると、またしてもサンタが立っていた。
「クロスピザでーす。 お届けに参りやした~~」
「え? 頼んでないけど……」
「はっ? 天野さんのご自宅ですよね? クリスマス限定超豪華クォーター四つご注文をされてますよね!? ……嘘ですよね? 悪戯とか……そんな、嘘ですよね……? 嘘だって言ってくださいよぉおお!?」
「ふぇ!?」
ガッツリ防寒タイプのサンタ服に身を包むピザの宅配人。
かなり疲れているのか顔色が悪い、それに目つきも。
もし、悪戯じゃないですか? と言えばこの場で倒れるか、俺、刺されるんじゃないか……?
「19,800円たしかに~~、めり~くりすま~す♪」
「……」
やる気のない祝福をおまけで頂き、俺は一人では食べきれないピザを持って居間に移動した。
「ピザ、食うか?」
「やったぁ!」
「気が利くじゃない?」
「早かったですね」
ん? 早かった??
「えっと、静香ちゃん?」
「はい、私が頼んでおきました。 ついてからでは遅いでしょう?」
テキパキと飲み物やケーキを用意する静香ちゃん。 持ってきた袋に入れていたのか。
俺が脱ぎ散らかした仕事着も片付け、適当に置いていた雑誌も一瞬で縛ってゴミ箱の横に置いてくれた。
凄いよ。 もう熟練のママさんだよ。
「えっと……お代は……?」
「こんな美少女三人とクリスマスを過ごせるんですよ? しかも、サンタコスのオプション付きです。 こっちが貰いたいくらいですが、なにか?」
「いえ、なんでもございません!」
俺は君の将来が心配だよ!!
「イェーーー!」
「うわわっ!?」
凛子ちゃんと美沙ちゃんの白熱バトル。
コントローラーを握り、実際に体を動かしながら対戦バトルをしている。
美沙ちゃんはあまり上手ではないな。
凛子ちゃんは上手だが、激しく体を動かすタイプ。
飛び跳ねるたびにパンツが見えてしまっている。 小学生らしいクマさんパンツだ。
「……」
「桃〇する?」
「しません」
クール系美少女の静香ちゃん。
うちの猫たちと戯れている。 家ではペット禁止らしい。
しかし最近の子は桃〇しないのかね。
「にゃ、にゃ!」
「ふふふ……」
うちのポコ太が静香ちゃんの手玉に取られている。
あぁ、あんなに気持ちよさそうにお尻を振るなんて。 情けないぞ、ポコ太!
「ゴロロ、ゴロロロ……」
もうなんかだらしなさすぎるポーズで静香ちゃんのふとももに挟まれるポコ太。
ポコ太よ、貴様それでもオスか! ええーい、中に潜ってヒィヒィいわせんか!!
俺はジェスチャーでポコ太に伝えようとするが、なかなかに伝わらない。
「……」
静香ちゃん、その冷たい視線はおっさんを殺せるからやめてください。
「トロトロっ、美味しい~~♪」
「んーー! おっさんにしてはいい仕事したわ!」
静香様の仕業です。
遊んでピザ食ってテレビ見てやりたい放題のお子様たち。
誰も桃〇してくれないし、なんなんだよもう!
「アマノッチー! 一緒にお風呂入ろ~~」
「「はぁ!?」」
いくら小学生相手とはいえ、一緒はマズいだろう??
小学生だからマズいのか!? たしかこいつら五年生だったはずだし。
俺と美沙ちゃんの驚きの声が重なった。
「天野さん家のお風呂は立派ですからね、天野さんと違って。 四人でも入れるでしょう?」
たしかにうちの風呂は立派だ。 温泉好きの両親がこだわった岩風呂。 家族みんなで入れるくらい大きいのだ。 掃除する俺の身にもなってほしいね。
「いやいや、ちょっと待ってよ、静香!? こんなおっさんと一緒なんて嫌よ!!」
「でも美沙、あなたもう食べたじゃない」
「?」
「ピザよ。 その豪華ピザはサービス代の一部だもの、しっかりとご奉仕しないと捕まってしまうわよ?」
「ええーー!?」
あぁ、分かりずらい静香ちゃんジョークか。
よく美沙ちゃんをからかって遊んでるやつね。
「そんなぁ……。 っ! これが狙いだったのね!? この、変態ロリコン猫狂いっ!!」
「おわっ!?」
蹴るでない!
金の泡のやつがこぼれちゃうから。 あぁもう、ズボンが。 パンツまで濡れちゃったなこれは。
「ったく。 ちょっと風呂入ってくるけど、火には気を付けてくれよ?」
「はーい」
「はい」
「う……ごめん」
小さく謝った美沙ちゃん。
なんだかんだ猫にも優しいし、ちゃんと謝れるところが偉いよね。
「ん、気にするな」
「っ触んなっ!!」
頭撫でたら全力で弾かれた。
照れてんのかね?
◇◆◇
「ふぅ……」
足を広げて肩までゆっくりと浸かる。
あぁほんと最高。 一度一人暮らししたけど、風呂が恋しすぎて戻ってきちゃうのも無理ないわ~~。
「あれ?」
停電?
急に電気が消えた。
「ついてるな……?」
窓の外。
他の民家は電気がついてる。
あいつらがなんかしてブレーカー落ちたかな……。
「ったく……」
まぁいいか。
もう少し入っていたい気分だ。
ガチャ。
「!?」
音が。
浴室のドアを開ける音。
「アマノッチー!」
「おわ!?」
お風呂は体を洗ってから入りなさい!!
ってそうじゃない。
凛子ちゃんが風呂に入ってきた!?
「失礼しますね」
「し、静香ちゃんも!?」
凛子ちゃんとは違いゆっくりと浴室に入ってきた静香ちゃん。
「はい。 お背中、お流しさせていただきます」
なに言ってんのこの子?
一番まともそうに見えて、実は静香ちゃんが一番やばいからな。
「あぅぅ……やっぱ、うちはいいよぉ……」
入口のところで頭だけでこちらを見ている美沙ちゃん。
「電気は消したから大丈夫ですよ」
いや、うちの風呂、天井ガラス張りだから。
満点の月明りで割と見えちゃうのだよ。
「んん……」
恥ずかしそうに。
手で隠しながら入ってきた美沙ちゃん。
いや、無理しなくていいんだぞ。 静香ちゃんジョークに騙されるな!
ってすでにジョークじゃないし!?
「ではこちらへ」
「いや、だからね?」
「天野さんは少し意識しすぎですよ? 小学生相手にそんなに……まさか、本当に……?」
「はぁっ、なんかすごい背中、流してもらいたいなぁ!!」
俺は全力で風呂からでて、シャワー前の風呂椅子に腰かけた。
「クス……」
え、なんで笑ったの?
月明りで見えた俺の***を見て笑った? そんな訳……ないよね……。
背中が洗われている。
「こう?」
「そうね、でもまだあまり意味がないわね」
なにか実験しているようだ。
なにかは突っ込まないが。
「もっと大きくなってからじゃないとね」
「はうぅ。 アマノッチに揉んでもらうもん!」
マッサージか。 風呂から上がったらしてやるよ。
「では私は頭を。 美沙はビールをこぼしてしまった前をお願いね?」
「「え!?」」
驚く俺と美沙ちゃんを無視して、静香ちゃんが頭をシャンプーで洗い出した。
細い指先が俺の頭を心地よい力強さで洗っていく。
頭皮の蹂躙。 中年男の汚れと油が落ちていき、血行が良くなる。
「気持ちいぃ……♥」
「……」
なんというテクニック。
思わず声が漏れた。
こりゃ、ポコ太もゴロゴロ言っちゃうぜ。
「っ!」
「うちだって、――出来るんだから!」
あれだよね、荒々しい新人さんのテクニックって痛いだけだよね!
「痛でででっ!?」
痛気持ちいい……!?
◇◆◇
「バイバーイ、アマノッチ!」
「ごちそうさまでした」
「……」
サンタコスの小学生三人が帰っていった。
美沙ちゃんの家に泊まるらしい。
すぐ近くなので、まぁ送らなくても平気だろう。
「はぁ……疲れた……」
嵐のように去っていった。
「片付けもしてくれたのか」
俺は片付いたコタツに足を入れ、また一人で動画を見ながら酒を飲む。
「どうした、ポコ太? ……寂しいのか?」
ポコ太がうろうろしていた。 帰ってしまった静香ちゃんたちを探すように。
「はは、またそのうち遊びに来るさ」
後一本飲んだら早く寝よう。
明日もクリスマス。
いつもと変わらない……クリスマス。