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セカンダリ・ロール  作者: アイオイ アクト
第九話 少年と少女 、相悩む
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少年と少女 、相悩む-2

「が・く・え・ん・スワ~~イ!」

「「スワ~~イ!」」


 姉さん、先輩方がおかしいとです……。姉さんいないけど。

 交野先生がアゴを突き出し、右の拳を振り上げて宣言した。先輩方もそれに呼応した。

 先生は元々おかしいから気にならないが、真面目な旗沼先輩も山丹先輩もそれに従うとは。

 自治会室はすし詰め状態だった。

 中にはまだ顔も知らない先輩方もいた。

 自治会には家業の手伝いその他で忙しい人が在籍している。やむを得ない理由がれば自由参加だ。


「なんも知らない一年生のために説明しちゃるで。なんで学校名に学園とつかないのに学園祭と言うか……ノリだ」


 うそぉ。

 一年全員で交野先生に突っ込みたくなるのをこらえる。


「文化祭なんつー名前付けても文化的側面なんて元々あんまりねーからな! どっちかっつーと経済参加だし。この地域に『学園祭』ってのがないからな。そんじゃぬまっち! 今後のスケジュールっちゃってぇ!」


 教師にあるまじき崩壊した和製英語を合図に、旗沼先輩は立ち上がってスケジュールの説明を始める。

 A3サイズの紙に分割印刷して張り合わせた大判の紙がすでに黒板に貼ってあり、それに沿っての説明だった。


「先生が説明を忘れた球技大会ですが、今年の種目はソフトボールです」

「あぁーワリぃ!」


 一切悪びれてないな。


「学園祭の話に戻ります。当校の学園祭は三日間行われます」


 高校の学園祭だの文化祭だのの規模はでかいのは分かっていたが、五月から動かないと十一月に間に合わないとは。

 学園祭実行委員会もこの時期に発足し、華の部分であるコンテンツはそちらが担当するようだ。

 物品管理から各委員会の配置、警備、誘導他の裏方の更に裏方は俺達の仕事という訳だ。


「一年生の皆さんはよく聞いてください。物品管理は私達の仕事の中で最も重要です。昨年は絶望的に足りなかったので、管理には特に力を入れます。今年は更に仕事が増えました」


 旗沼先輩が絶望的なんて表現を使うとは。


「机、パイプ椅子が老朽化しているので全数点検の必要があります。三年生の先輩方も参加可能な方はなにとぞよろしくお願いします。何か意見がある人はいますか?」


 陽太郎が手を上げた。これだけで上級生の女子がキャイキャイ何かを言っている。イケメン爆発しないかな。


「どのくらい劣化していたらの選別基準は決まっていますか?」

「それについては見てから検討しましょう。あまり厳しくして数が足りなくなってしまうのも問題です」


 その後も色々と意見が出たが、大きな問題になりそうな指摘は無かった。


「一年生は球技大会班と学園祭班に分かれていただきます。白馬君、汀さん、瀬野川さん、酒匂さんは球技大会班でお願いします。白馬君が中心になってください」

「はい!」


 ハーレムじゃないか白馬君。主人公要素があるなぁ。告白する前から振られているところ以外。


「他の方は学園祭班とします。力仕事が多いので、皆さんはくれぐれも無理をしないようにしてください。フロン……向井さん、中心になってください」


 おぉ、大抜擢。

 隣に座る桐花の碧色の瞳孔が満開なまま固まってしまった。


「桐花、返事」

「ひゃい!」


 何その返事。すごく可愛い。

 桐花は満面の笑顔の条辺先輩に頭をぐいぐいなでられ、他の女子の先輩達にも頑張れなどと声をかけられていた。


 世の中不公平だな。

 俺のようなキモヲタが「ひゃい」なんて声を出したらきめぇとか死ねとかどこまでも堕ちろとか言われるのに、桐花の「ひゃい」は愛でられるんだな。現実嫌い。

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