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セカンダリ・ロール  作者: アイオイ アクト
第七話 幼馴染の心は、どこにあるのか
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幼馴染の心は、どこにあるのか-1

 昨日、休んで医者行けという母上の優しい一言にガッツポーズをしてしまったのはミスだった。

 体力を使い尽くしてしっかり眠れたからか、俺はスッキリした気分で教室までたどり着いていた。


「おはよ!」


 ノートに何かを書いていた向井桐花にわりかし大きな声でおはようと言ってしまい、驚かれたというか引かれてしまった。


 向井桐花はいつの間に手に入れたのか、自治会ジャケットもとい作業着をしっかり着用していた。方には『向井』とばっちり刺繍されてあるった。

 襟まで付いているファスナーを一番上まで上げているので、顎が少し隠れてしまっていた。なかなかあざとい着方ではないか。


 一時間目は交野先生の現代社会だった。

 携帯は流石に駄目だが、声に出さない情報のやり取りは真面目な生徒を邪魔しない限りOKというルールになっている。

 授業が始まるや否や、向井桐花はA4サイズの紙を俺に差し出してきた。そこにはびっしりとゴシック体で部活名が印字されていた。


 忘れていた。俺達の最初の仕事って帰宅部狩りだった。

 個々の部活名の下には人数と活動日、初心者可否など評価項目も入っていた。


『どこにあったの?』


 と、普段ほとんど使っていない俺の小さなメモ帳に書いて見せた。


『自治会室の資料』


 と書いてよこされた。

 なるほど、この資料は使える。

 それぞれの部のデータはコレで揃った。後は実態調査が必要か。

 事前に部活に関する情報があれば、二の足を踏んでいる連中も体験入部程度はしてくれるかもしれない。

 同じことを委員会でも行わないといけないが、それは部活に比べれば簡単そうだ。

 向井桐花がこんな提案を考えたなんて。

 既に自治委員としての自覚が芽生えているのか。俺は全然自覚できていないな。


『これ絶対やろう』


 なんとなくポジティブな気分だったので、歯の浮くような言葉を書いてしまった。

 向井桐花からは『ありがとう』と返ってきたので、やはり向井桐花からの言葉足らずな提案だったんだろう。まずは手近な俺に見てもらおうってことか。


「んだこれ? 色気ねーな」


 あわわわといった態度で桐花が俺のメモ帳を交野先生から取り返そうとしていた。

 俺の「絶対やろう」なんて古風な熱血発言まで見られてしまった。

 恥ずかしい。

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