一年委員長に降り注ぐ二発の拳-1
呼吸すら鬱陶しい。
こんなじめじめした日が始業式とは笑えない冗談だ。
午前も午後も降水確率は十パーセントというのは本当なのだろうか。
嗣乃は当然のごとく自転車通学を決断し、陽太郎も何も言わずに従った。
このカップル未満の力関係が見えてくる光景だ。
長かった夏休みの労役もやっと終わりを告げ、二学期が始まった。
俺達は変わらぬ量の労役と授業という二足のわらじを履かされる無間地獄へと突入した。
あと三ヶ月もすれば、去年までの俺にはまるで関係なかった学園祭などというイベントが待っている。
始業式が終わる寸前、厚い雲の隙間から太陽の光が降り注ぎ始めていた。
グラウンドにギチギチに詰まった生徒達を段の上から見るのは、なかなかに壮観で気分が良かった。
「いやー、一度でいいから突撃! って言ってみてーなぁ」
と、隣の条辺先輩が言うのも納得の整列っぷりだ。
生徒自治委員会からの連絡事項は終業式に引き続き、陽太郎が壇上に立って自治会からの報告を読み上げた。
そんな始業式もささっと終わり、生徒達は教室へと収容された。
朝七時半から始まった自治会の仕事も、これで一段落だ。