第五話 戦士エリック
天球はその光を失い、空の半分を闇で覆っている。
夜の帳とはよく言ったものだが、天球はまさしく帳だった。空を覆い尽くす星々が、まるで切り取られたようだ。明るいうちはまるで落ちてくるような圧迫感があったが、こうして闇が空を覆い尽くしているのを見ると、今は逆に吸い込まれていきそうな錯覚を覚える。
パチパチと音を立てて爆ぜていた薪が、その形を失ってガラと崩れた。
俺は新しい薪をくべようと、竈の周りを見回したが予備の薪は用意されていなかった。
「ああ、気にすんな。そのままでいい」
エリックさんが片手を振って、そう言った。
彼はイケメン中年のパーティの長剣と盾を持っていた人だ。
さて、どうしてエリックさんと二人でこうして焚き火を囲んでいるのかというと、いわゆる夜の見張り番である。交代制の夜番のその最初の順番に選ばれたのが俺とこのエリックさんだったというわけだ。
ユーリアと一緒が良かったのにと思ったが、君らをセットにしたら見張りにならんとアレリア先生に一蹴された。そんなに顔に出てただろうか。
「で、どこまで話したかな?」
「ミルナなんとか国で牛頭の魔族が現れたところですよ」
「ミルナリンドだな」
エリックさんは見た目はごついおっさんなのだが、話してみると意外と面白い人で、今は彼の話を聞いている。
彼はアルゼキア王国よりかなり東の方の国の出身で、若いころから戦闘系スキルの伸びが良かったらしい。しかしそれで増長し、喧嘩ばかりしていたが、ある日冒険者に喧嘩を売ってしまった。自分よりレベルが高いとはいえ、戦士レベルでは上回っていたし勝てると思ったそうだ。しかし結果は惨敗。彼はその結果に納得が行かず、その相手に何度も挑戦したのだが、その度に苦渋を飲まされたそうだ。
相手もよく付き合ったもんだなと思うが、そういうことを繰り返しているうちに、戦い方を教えてもらうようになり、気が付くとその冒険者のパーティの一員みたいになってしまったのだという。
もともと乱暴者として実家では鼻つまみ者の扱いを受けていたので、これ幸いとそのパーティが別の町へ向かわなければならない依頼を受けた時に、一緒に出発したのだそうだ。
その後も戦闘系スキルは順調に伸びて、その仲間とはうまくやっていった。
しかしミルナリンドという国で魔族との戦争に巻き込まれ、冒険者として強制徴募されてしまった。
魔族軍に奪われた農村を奪い返すためにミルナリンド軍と冒険者たちの合同軍は千人近い規模で出撃。魔族の数は百から二百という報告だったから、楽な戦いになるはずだった。しかしそのことが油断につながったのだろう。農村に辿り着く前に合同軍は魔族の夜襲を受ける。混乱する野営地で仲間ともはぐれたところで、エリックさんの前に現れたのが牛頭の魔族だった。
「奴のステータスを見た瞬間に絶望したぜ。レベルが98に戦闘系スキルもたんまりだ。正直、背を向けて一目散に逃げるべきだったんだろうな。だが足が竦んで動けなかった」
「エリックさんでも、ですか」
「俺でも、ってほどでもないな。なんせ奴が剣を一振りする度に人間が宙に舞うんだ。怒号、悲鳴、咆哮、全部混じりあって何が何だか分からない。自分が震えてるのか、大地が震えてるのか、だが不思議なことに盾だけは手放してなかった。奴が来る。俺は動けない。剣が振りかぶられた。血の色に染まったその鉄の塊が俺に向かって振り下ろされた。足が動かない。回避できない。受けるしかない。脳裏に浮かんだのは、他の奴らが一撃で宙を舞う姿だった。横から来るその斬撃を俺は上に向かって受け流した」
エリックさんは一拍置いて首を横に振った。
「いや、受け流そうとしたというべきだな。衝撃が来て、気が付くと天幕の残骸の中でぶっ倒れてた。俺は立ち上がった。そのまま寝てりゃいいのにな。その辺に落ちてた槍を引っ掴んで、奴の背中に向けて突っ込んでいった。槍は奴のケツにぶっ刺さった。奴は苦悶の声をあげて振り返った。俺は槍を離せば良かったんだが、奴のケツにぶっ刺さったままの槍に振り回されてコケた」
コロンってな。と、エリックさんがコミカルに表現するが、状況を考えればそれどころではない。
「奴は咆哮をあげて剣を振り上げた。今度こそ死んだと思ったね。だがそうはならなかった。奴に目掛けて無数の矢と魔術が降り注いだ。もちろん俺にも流れ矢が来たよ。肩と足に何本か刺さった。だが俺の怪我なんて大したことじゃない。奴の体力は半分以上削れてた。奴は膝をつくかと思ったが、咆哮をあげて走りだした。脇目もふらずに一目散に逃げたんだ。追撃は無理だった」
なんせ腰が抜けてたからな。と、エリックさんが苦笑する。
「俺は放心したまま、なにがなんだか分からずに地面にへたり込んでいた。そこに兎人の魔術士がやってきて、俺に治癒魔術を施した。その後ろからエラく思いつめた表情の男がやってきて俺に詫びと礼を言った」
それがフィリップさんだったらしい。兎人の魔術士はルシアさんと言う名前だったそうだ。
「反撃のタイミングを窺っていたんだが、俺の一撃で隙を突けた。だが俺を見殺しにしても構わないという判断でもあった。そういうことらしい。俺は正直、助かったことだけでもありがたかったから、気にすんなって言った」
漏らしてないかのほうが心配だったんだ。とエリックさんはおどける。
「で、その後、ミルナリンドの本隊のほうが壊滅的な打撃を受けたことが伝わってきた。こっちに来た牛頭の野郎は囮だったわけだ。魔族は冒険者たちを足止めして、その間に総力で本隊を叩き、反撃される前に引き上げたんだと。両軍合わせて200人近い死者と、同じくらいの数の負傷者が出た。夜が明ける前に撤退の判断が出て、天球が輝き出すと合同軍は撤退を開始した。その再編成の間に俺は仲間が全滅したことを知った」
「それは――」
「だけど悲しいというよりは悔しかったな。せめて仇を討ってやりたかった。その後、フィルに誘われて彼らの仲間になった。盾役を探していたと臆面もなく言われてな。俺はフィルのそういうところが気に入った。ルシアは嫌そうだったな。俺のことが邪魔だったんだろう」
「ルシアさんというのは、もしかして」
俺の質問にエリックさんはニヤリと笑みを浮かべる。
まさにこの瞬間を待っていたという顔だ。ミルナリンドの話自体が俺をここで食いつかせるためだったのかもしれない。
「お前の想像してる通りだと思うぜ。ユーリアの母親だ」
俺は思わず身を乗り出した。
「じゃあフィリップさんが」
どこから見ても親子には見えない。だが考えてみればユーリアは空いている時間にはイケメン中年の側にいることが多かったような気がする。年齢的には親子でもどこもおかしくはない。
だがエリックさんは肩をすくめた。
「フィルは違うって言ってるけどな。俺も真相は分からん。聞きたいか?」
「そりゃ、もう」
「じゃあミルナリンドの話はもういいか。結局、領地は取り戻せなかった負け戦だ。その後も俺たちは転々として、仲間が増えたり減ったりしてるうちにルシアが妊娠した」
「えっ!?」
「彼女は相手はフィルだと主張したが、フィルは否定した。ルシアがフィルにお熱なのはみんな知っていたが、実際そういう関係だったかは誰も知らなかった。少なくとも俺にはルシアの片思いに見えたな。だけどフィルだって男だから、なにがあったかは分からん」
エリックさんは苦笑いを浮かべる。
案外、彼にも思い当たるフシがあるのかもしれない。
「結構な修羅場があって、ルシアがイカれたみたいになっちまって、フィルを刺して姿を消した。幸いフィルの怪我は浅くて、ルシアから逃げようということになった。逃げたのはルシアのほうなのにな。でもその時の俺たちは本当にルシアが怖かったんだ。水系統の魔術士を敵に回すのは本当に怖いからな。フィルの治療もそこそこに俺たちは荷物をまとめてその国から逃げ出した。その後ルシアがどうなったかは分からん。だが最近になってひょっこりルシアによく似た娘がフィルの元に現れて言ったんだ。貴方の娘ですってな。それがユーリアだ」
「うわぁ……」
あまりの生々しさに言葉が見つからない。
妊娠騒動に刃傷沙汰とか、まるで昼メロの世界だ。てっきりイケメン中年とユーリアの母親の恋愛話でも聞かされると思っていたので、完全に不意打ちだった。
「ルシアさんはどうなったんですか?」
「ユーリアの話では流行病で死んだらしい。それで母親から聞いていた父親を探して旅をしていたそうだ。結構な貯えを残してくれていたらしくて、金には困らなかったって話だな。で、フィルは父親じゃないって否定したんだが、ユーリアが信じなくてな。放り出すにも忍びないし、優秀な魔術士だし、って居ついてる。フィルとしてはお前とユーリアがくっついてくれたらって思ってるんじゃねーかな。俺としてはユーリアが来てから飯が美味くなったからこのままがいいけどな」
「刺されませんかね、俺」
「そりゃお前次第だろ。ワン」
なんか知らない内に思いっきり地雷を踏み抜いていた気がする。
だけどユーリア可愛いんだよな。正直、こんな地雷なら踏んでも構わないって思えるくらいには。
「ルシアさんはユーリアに似てましたか?」
「面影はあるな。ユーリアがもう少し成長したらそっくりになるかもしれん」
「そんな美人に言い寄られてたんならフィルさんもクラっと来ても不思議じゃないですよね」
「まあ、だがフィルはモテたからなあ。女に困ってなかったろうし、仲間に手を出したら面倒なことになると思ってたんじゃねーかな」
「じゃあエリックさんはフィルさんの言い分を信じてるんですね」
「それは分かんねーよ。だがルシアの狂いっぷりをこの目で見たからな。あー、だが、なんとも言えねえ」
エリックさんは頭をガリガリと掻いて唸る。
本当に分からないのだろう。
これがユーリアにフィリップさんの特徴が現れていたら話は楽なのだが、そういうところはまったく見えない。
「フィリップさんにとってユーリアは邪魔なんですかね?」
「うーん、邪魔ではないだろうが、内心は穏やかじゃねーだろうな。ユーリアがいて飯が美味くなって、稼ぎも増えた。いいことだらけだが、ユーリアはフィルを父親として接してるからな。あいつは損得勘定ができすぎるから、ユーリアを手元に置いておいたほうが得だとは思ってるんだろう。だがお父さんなんて呼ばせないし、ユーリアが言葉に詰まりながら自分の名前を呼ぶのをどう思ってるかは分からん」
「そういえばユーリアはなんで共通語が苦手なんでしょう?」
「兎人は自分ところの言葉を優先するからな。娘にもそっちを教えたんだろう」
「なんか複雑ですね」
「まあな。俺は考えるのが苦手だから、飯が美味くなったからそれでいい」
「単純ですね」
言ってからしまったと思ったが、エリックさんは笑って、単純なほうが楽でいいと言った。
「世の中はどうでもいいことを難しく考える奴が多すぎるんだ。美味い飯食って、綺麗な女を抱いて、それ以外に何が必要だ?」
「それはエリックさんが強いからですよ」
腕っ節ひとつで世の中を渡っていけるなら人生は確かに単純だろう。
だが俺にあるのはひょろい体と、この世界では役に立ちそうにない知識ばかりだ。となればこれからどうするのかを考えなければならない。もちろん体を鍛えて強くなって単純に生きるという選択肢もあるだろうが、それもレベルが上がって、強くなる才能が俺にあれば、の話だ。
「で、ユーリアは落とせそうなのか?」
唐突にエリックさんは聞いてきた。
いや、女を抱くという話があったからそれほど唐突でもないのか。
「エリックさんから見てユーリアはどうなんです?」
「ちっこい兎ッころだな。胸だけは育ってるが、まだまだガキだよ。話にならん」
「ルシアさんはどうだったんです?」
「そりゃまあ、土下座してもいいくらいにはいい女だったな。だが、土下座した上で溺死させられちゃかなわんからなあ」
「ユーリアを口説かせる気なのか、諦めさせる気なのか、どっちなんですか」
「俺から見たら面白ければなんでもいいんだよ。お前が溺死しても笑って埋めるくらいはしてやる。ただ護衛の仕事が終わってからにはしてくれよ。特別報酬が無くなるからな」
「お酒飲んでません?」
「こいつは残念ながらユーリア製の真水だよ。水魔術士がいるときは仕事中に酒は飲まないことにしてるんだ。いない時は、水が腐るんで葡萄酒を持って行ったりするけどな。ああ、早くアルゼキアに帰って一杯やりてーな」
「そういえば俺でもお酒飲んでいいんですかね?」
「はあ? ダメなこたねーだろ。奢ってやるから付き合えよ」
「そのお金、俺を護衛した分の追加報酬ですよね」
「そりゃそーなるな」
二人して肩を揺らして笑う。
「それで、だ。レベル1。魔術士になるのか?」
「どうなんでしょう? なれるならチャンスは逃したくないですね」
「そりゃそうだ。俺はそっち系はからきしでな。魔術が使える奴が羨ましいよ」
「魔術士スキルが無いんですか?」
「ああ、親は頑張って何度も洗礼を受けさせたらしいんだが、うまく行かなかった。弟はうまくいったもんだから、親の関心は全部そっちにいっちまってな。俺は喧嘩ばかりしてたら戦士スキルばっかり伸びていったってわけだ。まあ、魔術士スキルが無い分、戦士スキルがよく伸びたからな。お陰で生き延びてる」
「戦士スキルってどんなのがあるんですか?」
「お、興味があるか?」
エリックさんがずいっと乗り出してくる。
「はい。どんなものがあるのか教えてください」
「いいぜ。戦士スキルってのは要は武器を扱うためのスキルだ。ありとあらゆる武器スキルは戦士スキルを根にしてる」
「根、というのは?」
「そうだな、こんな感じだ」
そう言ってエリックさんは木の枝を使って地面に“せんし”と書いてそれを丸で覆った。
「これが戦士スキルだ。ここから武器スキルがまるで枝のように派生する」
戦士スキルの丸から何本も線を伸ばす。
「例えば長剣スキルから、斬撃、刺突なんかの技スキルに派生する」
線の先に書いた丸からまた何本かの線が伸びる。
「こんなふうに枝みたいに分かれていくから、スキルの枝って言われてる。逆に別れる手前を根と言うんだ」
完全にスキルツリーってやつだな。これ。
ますますこの世界がゲームなのか、ゲームに似た異世界なのか分からなくなる。
「戦士スキルを取らないと武器スキルを取れない。武器スキルを取らないと技スキルを取れないって感じですか?」
「そうだ。ついでに言えば枝のスキルは根のスキルのレベルを追い越せない。戦士レベルが上がらなきゃ武器レベルも上がらないわけだ。だから職業スキルのレベルを見ればそいつの強さはだいたい分かる。だがあくまでだいたいだ。例えば戦士レベル6の長剣スキル1の刺突スキル1の奴と、戦士レベル3の長剣スキル3の刺突スキル3の奴とで、どっちの刺突が鋭いかと言われたら、えっと、まあ、だいたい合計して考えればいい。これもだいたいだけどな」
「スキルは目安ってことですね」
「まあな。スキルの数値ばっかり見てたら足元を掬われる。昔の俺がいい例だ。だがスキルがついてる奴が、ある程度より弱いなんてことはありえねーからな。自分より強い奴ってのははっきり分かる」
「でもエリックさんはそれでも立ち向かったんですよね。牛頭の魔族に」
「そんな格好いいもんでもねーけどな。あの時はとにかくがむしゃらだった。もうあんなことはしたくねーよ。次は逃げるね。一目散だ」
真顔でそんなことを言っているが、この人は今でも盾を持って戦っている。ということは、このパーティではやっぱり盾役として、敵の正面に立ちふさがっているのだろう。
きっと新たな強敵が現れても、最後まで一歩も引かないに違いない。
「ああと、スキルの話だったな」
その後もエリックさんから戦士のことについて色々と教わった。
武器スキルと技スキルがいわゆる攻撃スキルで、防御スキルは色んな枝に分かれている。盾は戦士スキルの枝として派生する一方、回避は戦士スキルではなく体術スキルの枝として派生する。一個の枝としてありそうな防御スキルというのは存在しなくて、その代わりに防具スキルというグループが存在する。これは重装、軽装などに分類され、それらの防具を扱うためのスキルだ。
つまり戦士の道を選ぶにしても、どの武器を使い、どんな防具を身につけるか、早いうちに決断して特化していくことが重要になるということだ。
エリックさんは、長剣刺突、盾全般、軽装、体術回避を中心にしている。敵の攻撃を一手に引き受ける壁役だ。防具スキルが軽装なのは、冒険者として旅をするには重装は重すぎるかららしい。重装備というのは軍隊などで防衛の場合や、あるいは十分な支援を受けられる環境でしか使われないものだそうだ。いわゆる全身鎧というものだろう。
「だが魔術士を目指すならこれらは一切合切関係ない」
「そうなんですか? 魔術士でも防具スキルや、回避スキルはあったほうがいいと思いますけど」
「それらを取るまでに必要なスキルが多すぎる。レベルアップの時に取れるスキルはそんなに多くない。学者はスキルポイント仮説というのを主張してるが、話が小難しくて分からん。その辺は先生に聞くんだな。とにかく魔術士を目指す者は魔術以外には関わらないものだ。料理やらしてくれるユーリアのほうが珍しい。魔術士の数が少ない理由のひとつでもあるな。貴族か、召使を抱えられるような金持ちにしか無理さ」
「なんか俺には無理そうな気がしてきました」
「実際のところ難しいと思うぜ。レベルワン。お前さんはすでに色んな経験をしているからな。レベルが上った時に魔術士スキルを得られる確率は低いと見ていい。それでもまあ、できるだけなにもしないように気をつけるこった。帰りに馬に乗ることになるが、それだけで騎乗スキルが手に入るかもしれないんだぜ」
「でもなにもしなくていいんですか?」
「構わねーよ。それも俺らの仕事のうちだ。お客さんのお前はできるだけ余計な経験を積まないようにしてりゃいい。たとえ帰り道で魔物と遭遇しても後ろに下がってじっとしてるんだな。まあ、基本的に遭遇を避けるんだが、万が一ってこともありうるからな」
「分かりました。気をつけます」
それからもしばらくエリックさんと色んな話をしているうちに、見張りの交代の時間がやってきた。続きはイケメン中年と大剣さんが担当するようだ。俺とエリックさんは音を立てないようにそっと天幕に入ると、まだ温もりの残る寝床に身を横たえた。
天幕は小さく、近くで眠るアレリア先生とユーリアの寝息が聞こえてくる。
女性と同じ天幕で眠るのはどうかと思ったが、そのために荷物を増やすわけにもいかないのだろうから、当然だ。それにこれだけ人がいる中で何かできるわけもない。
それに自分でも思っていたよりずっと疲れていたようだ。
俺は目を閉じると、その寝床がイケメン中年か、大剣さんが使っていた寝床であることも気にならず眠りに落ちていった。
スキルの説明回です。
次回は10月6日0時更新です。




