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第一印象はものの数秒で決まり、しかもその印象を後々覆すのは難しい

※ 「書きたいな」という半見切り発車(更新は不定期になるかもしれません)で書いているお話です。

※ 時々思い出したかのようにシリアスパートに突入する可能性があります。

※ 主人公(男)はツンデレ(ツン9.9:デレ0.1)、ヒロインが押せ押せタイプの、女→♡→男の構図です。ラブラブな展開になれるのはずっと先の話になりそう……。

※ 別作の【BLACK ROSE】の世界観とリンクした物語です。







 何よりも一番に印象的だったのは、その瞳だった。




 目の色素が極めて薄いために、ライトの加減で虹彩の色が変わって見えるという、「七色の瞳」などと謳われるどこぞの人間の話を聞いたことがあるかもしれないが、その比ではない。


 少女の瞳は、彼女が目にしたものによってその色彩(いろ)を変える。

 アドリア海をその目に映せば、青色(コバルトブルー)に。

 バチカン庭園(ガーデン)を見渡せば、森林の(サマーグリーン)に。

 夜空(よるぞら)には吸い込まれそうな漆黒。あるいは満月の白銀色(ムーンライトシルバー)

 夜明け前の静けさの中では、澄んだスミレ色(バイオレット)に。

 黄昏どきに教会の尖塔から“ランヘル”の街を望めば、たちまち鮮やかな夕焼け色(オレンジ)になった。

 

 そして、この時は。

 アレクと同じ、「狼の目」とも比喩される、琥珀(アンバー)の色を瞳に映し出していた。


 後悔先に立たず。

 それに、一瞬でも気を取られたのがいけなかった。

 いや、正直に言うと――

 文字通り、目を奪われていたのだ。


 刹那。

 グイ、と懐に踏み込んで(しんにゅうして)きた少女が。

 何の前触れもなしに、ありったけの力を込めて。

 蹴り上げてきたのだから。


 いわゆる、男の急所(、、、、)というやつを。


「…………っ、ぅ……?!」

 恐らく同性(おとこ)にしか分からないであろう、地獄の責め苦のような激痛に、声らしい声すら上げられず、アレクは両膝から崩れ落ちる。

 それでも何とか、普通の人間なら震え上がって大泣きするレベルの鋭い眼光で少女を睨みつける。

 そんなのは何のその、彼女は悪びれた様子もなくこちらを見下ろし、自らの手を牙で噛み切って、その傷口に唇を押し当てているところだった。


「……テメ、ェ……っ、何、しやが――」

 苦悶の中に辛うじて文句を捻り出した、その時。

 両手が――手の傷はもうふさがっていた――頬に添えられ、包み込まれる。

 途端に、見た目にそぐわぬ馬鹿力で、有無を言わさず真上を向かされた。

 それから――


「……っ?!」


 歯列をこじ開けて入り込んできた舌が、舌を絡め取る。

 口内から喉の奥へと、唾液と共に、生温かい鉄の味の液体が流し込まれる。

 合わせた唇からひとしずく、赤い血が首筋へと伝っていった。


 ――突如、口づけられた。

 それも、ディープキスで。


 それだけに飽き足らず、少女はアレクの教団服の詰襟(ローマンカラー)のホックを器用に外すと、そこに顔をうずめ、首筋に沿って唇を這わせ始めたではないか!

 鎖骨の間のくぼみから喉仏、無理な体勢のせいで浮き出た頸部の太い血管を辿るようにして、下顎へと……。

 熱い吐息が皮膚の上をなぞる。


 それから。

 獲物に止めを刺す肉食獣(ハンター)のよう、と言うには随分と殺意や邪悪さに欠ける、それこそ激しい恋心を燃やす乙女のような情熱さをもって、少女はアレクの首に牙を突き立てたのだ。




 何よりも一番に印象的だったのは、その瞳だった。

 

 けれどこの時、一聖職者(エクソシスト)のアレクが、この混血魔(キメラ)の少女自体に抱いた第一印象(ファーストインパクト)は――


 まさに最悪そのもので。

 まさに強烈そのものであった。






後書きから失礼します。

初めましての方は、どうも初めまして! お目にかかっている方々、いつもお世話になっております。久保田マイ(旧m+y)と申します。

一進一退書こうか書くまいか悶々と悩んで散々ぼやいた挙句、半見切り発車で始めてしまいました!

読み進めやすい、比較的明るい雰囲気で書いてい……けたらいいなぁ(汗)

少しでも楽しんで頂けましたら幸いでございます。

それでは、また次話でお会い出来るのを楽しみにしております!

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