ゆかりちゃんが病気になっちゃった 4
「ふふっ、どんな夢を見てるんだろ」
真坂がそっとゆかりの眼鏡を外してあげる。
「早く良くなってね、ゆかりちゃん」
私に気が合うことも多いし、厳しいことも多いゆかりちゃんだけど真坂は自分の看病が役立っているかな~と思う。そんな中、ゆかりは夢を見ていた。
小学生の頃、ゆかりはメガネっ娘で泣き虫だった。その時は気弱だったが、真坂が気にかけてくれたのが仲良くなったきっかけではある。
「ゆかりちゃん! どうしたのー? あそぼうよー!」
「ゆかりちゃん……」
そういう活発な子【明るい子】は特に小学生くらいだと相談しやすく感じるのよね、その時の真坂もそうだった(ゆかりの思い出した心境)
「男の子たちが私のことを地味だって……」
ゆかりの泣き言を真坂が黙って聞いてあげている。
「ああ……きっと私はこのままみんなからのけものにされて生きていくんだ……孤独な運命の星に産まれた宿命なのね――!!」
小学生のゆかりはヒロイン的思考を持っていることがあった。真坂は自分の世界を持っていていいなと羨ましがっていた覚えがある。
今も昔も変わらず感じたことをそのまま伝えてくる真坂。
「そんなことないよ! ゆかりちゃんかわいいから、みんなからかってくるだけだもん!」
その時のゆかりは自分に自信を持っていなかったのである。
「そう……かな」
真坂の強引な行動に、ゆかりは呆気にとられていた。
「そうだよ! だってほら!」
眼鏡を取ってから、真坂がゆかりに自信を持たせるような褒め方をしてくる。
「眼鏡の奥のゆかりちゃんの目、星みたいにキラキラしててすっごく綺麗だよ!」
そのあとは何でだか回された覚えがある。真坂は踊っているつもりだったのかもしれないけど。
「もっと大きくなったらゆかりちゃん、もーっとかわいくなるよー!! むしろ美人なタイプかも!?」
小学校時代のそういう状況を夢で見て、ゆかりはうなされてしまっていた。
「はっ! 夢か……!! 懐かしいものを見てしまった……」
ゆかりが寝ぼけ眼のまま、目が覚めた。その時から真坂に振り回されていたんだなと思うのと、それがあったからこそ真坂と長い付き合いでいるんだと考える。
「ってちょ!! 何この状況!!」
ゆかりはどうしたことか動けない!?とあせる。そうかと思ったら真坂がゆかりの体をしっかりと抱いて寝ていた。
(……変わんないわねー、真坂は……)
完全につかまれているのでゆかりは何も出来ない。
「……あったかい」
ゆかりは真坂の睡眠を妨害することはせず、一緒に寝転がることでぬくもりを感じることにした。
翌日になった。
「ナオッター!」
風邪のせいで崩してしまった体調も回復してゆかりは一安心した。
「良かったね! 治って!! 私の治療法に間違いはなかった!」
そんな訳ないとゆかりは思ったが、看病してもらった手前、あえて黙ってスルーしてあげるのである。
「ありがとう。その……付きっきりの看病助かった」
ゆかりが改めてお礼を言う。
「いいっていいって~! 看病に飽きて途中で寝ちゃっただけだから!!」
真坂が軽い調子で彼女らしいことを口にした。
「やっぱりか!!」
ゆかりは真坂のそんな呆れた行動を今日は受け流してあげた。
「でもまぁ、伝染らなくてよかったわ。あれ? そういえば今日、陽菜どうしたんだろ?」
大抵はこの時間には教室にいるので、ゆかりは今、姿を見かけない陽菜を気にかける。
「あっ、メール。陽菜ちゃんからだよ」
ちょうど良いタイミングで真坂の携帯にメールが届く。
「あっ……」
真坂とゆかり、同時にそれしか言えなかった。携帯メールには陽菜ちゃんから風邪で欠席するという文面が届いたのである。
読んでくださった方、ありがとうございました。
続編は……厳しいかな。。
中学生メインの作品は書く可能性結構あり!?