嵐のように鳥のように
今年の目標としてこの小説を2週間内に1話進めるというのをあげたので、今回から2週間毎の日曜に最新話をあげる事にしました。
予約掲載ってやつ?ですかね。何せこの機能を使うのは初めてでして。
という事でこの話は1月11日から掲載される筈です。次回は1月25日となります。
掲載不可能な場合は活報にて報告します。
いつまで保てるかは分かりませんが…出来る限り頑張っていきたいと思いますので宜しくお願いしますね!!
ーー俺らの任務は、ありとあらゆる食材を購入し、あの場へ戻る事だ。
勿論、ただ買えばいいってもんじゃない。
どんな料理を作るか考え、それに合った食材を選ぶ。鮮度や時間も考えなくちゃいけない。
じゃなきゃ、調理班に失礼ってもんだ。
食材だけ買って後は任せたなんて、そんな真似出来るもんか。…いや、俺だったらするな。
だって…
だってよ……
霧雨ちゃんが防衛班なんだよぉぉおお!!
もしも!俺が戻るのが遅かったばかりに傷が出来ていたりしたら!
そんなの考えたくもねぇけど、もしもの可能性は否定できねぇ。
だから一刻も早く戻って、調理班が活動出来るようにして!そっからは防衛班に移って霧雨ちゃんの隣で戦う。これっきゃねぇだろ。
俺、ケインは誓います!一番最初に戻って霧雨ちゃんのナイトになります!!
「ケイン!手分けして食材をーー」
「うぉおおおお!!」
近所のスーパーまで全力疾走。
本当は武器を使った方が速いけど、住宅街は道が狭ぇから出すにはちーと向かないんだよな。
ん?誰か何か言ってたか?
まぁいいか。別に対した用じゃねぇだろ。
第一は速く戻ること!だから気にしないぜ!
アスファルトの道は平らで走るのが楽だ。
土のように凸凹して走りにくいなんて事もないし、雨でぐちゃぐちゃになる心配もない。最近雨は降ってねぇから関係ないか。
「ちっ、赤か…。」
運の悪いことに、赤信号に捕まった。
こんな時だからかいつもより長く感じる。
早く、早く変われよ!
だが、いつまで待っても変わる様子はない。
信号を無視して通っていくチャリに乗った男。いけないことだとは知りつつも、緊急事態に揺らぐ。
「チリンチリン!」
自転車についたアレの音がする。
誰かが自転車が通る道を遮ってるのか、それとも警告をしたのか?
「……ない」
車が通りすぎる音で掻き消された誰かの声の断片が聞こえると、信号の色が変わった。慌てて右左を確認して走り出す。
渡りきる直前にこの信号機は歩行者が渡るためにボタンを押さなければいけないタイプだと分かった。
さっきの人が押してくれたんだな。
慌てすぎて周りが見えていないと分かり、反省した。
目的地はすぐそこだ。
食材にかける費用は一人3000円。
出る直前にあの暴れてる子の兄から渡されている。
でもこんなんじゃあの子が満足するほどの食材は集まらないだろう。
他に資金としては、所謂ポケットマネーがある。あの子を救う為…もとい霧雨ちゃんを救うためなら例えすっからかんになろうとも構わない。
俺の財布には7000円が入っている。
それを全部使っていろんな食材を持って帰ろうじゃないか。
入り口でカートと籠をGET。会計する頃には満杯になってるだろう。
籠は一つじゃ足りないか?二つにしておくか。
店内に入り最初に目に付くのは野菜だ。
キャベツやもやしやトマトやじゃがいもなどまぁ兎に角色んな野菜がある。
……野菜は腹に溜まるか?
キャベツなどの葉っぱを食すものはサラダ等になるようにあっさりめの味付けで食べることが多い。
あまり腹に溜まらないだろう。
じゃがいもは…溜まる、か?
ええい面倒くさい!
俺は各野菜から少量ずつカートに入れていく。一つ目の籠の四分の一が埋まった。
次は魚だ。
魚…刺身となると少量でも野菜の数倍のコストがかかる。
ただ、肉料理がメインになることを考慮すると…肉肉肉肉肉肉は辛いな。
やっぱ魚も必要だな。
何がいいんだ?
と、とりあえず鮭は買うか。
普通に焼いてでもムニエルでもいけるしな。
後は…ん?烏賊か。
噛み切るのが大変な分、満腹中枢が働くか?
よし、これも買いだな。
次はっと、納豆に豆腐?豆エリアか?
近くにはこんにゃくもあるな。
豆腐とこんにゃくは買って行くか。豆腐は多めでっと。肉の代わりに使うことも出来るとかよく聞くしな。
肉のエリアだな。安くてボリューミーな肉を適当に選んでいくか。この辺はよくわからん。
ん?何か忘れているような…ハッ、米!
米がねぇじゃんか!
あと大事な卵もねぇ!
調味料は多分調理場にまだあるよな?
ならその二つを買っておかねぇと。
どんどんとカートが埋まって行く。
よくよく考えたら、籠二つ分満杯に買って持ち帰れるのかってところ。
この辺にしておくか。またくればいいよな。
会計をすると三千をだいぶ越していた。
やっぱりこの金額じゃ、足りねぇよな。
片腕で米を、もう片腕はその他の食品を抱えて俺は早歩きをする。走りたいのは山々だがそれだと卵を割りかねないし、そこまでスピードは出ないだろう。
さっきの信号でまた捕まる。
今度はすぐにボタンを押したからすぐに信号は変わった。
ファミレスに戻ると相変わらずそこは戦場だった。
清掃班が片付けてはいるものの硝子の破片の処理に時間を取られ、飲み物等の処理に手が回せないらしい。
それに防衛班がいるから、片付けようにも近寄れないんだろう。だから隅の方から作業を進めているに違いない。
霧雨ちゃんはといえば、武器である傘を手にして相手が放ってくるフォークやスプーンを弾いていた。
幟杏が武器を使っている為に丸腰となった氷椏を傘を開きガードしたりもしているようだ。
「ケインさんお帰りなさい…っ、早かったですね。」
「あら、もう戻ったの?流石体育会系馬鹿ね。」
「霧雨ちゃん!すぐ俺も参戦するから!待っててくれよ!」
「ケインさん、早く厨房へ。防衛戦は長引くほど不利です。」
「はいよ!悪かったね。すぐいくぜ!」
氷椏に指摘され、そそくさとその場を後にする。この調子ならあと十数分で霧雨ちゃんを守ることに専念出来そうだ。
「待たせたな!調理班。」
「早かったな。冷蔵庫はこちらだ。」
指示に従って冷蔵庫に向かう。
肉や鮭や豆腐やこんにゃくや卵は冷蔵庫に、野菜は野菜室に、じゃがいもとか冷蔵しない野菜と米は冷蔵庫の近くに置いた。
「甘味系に使う食材は卵くらいか。んじゃ、誰から作るんだ?」
「僕としては静くんの腕前が見たいかな。」
「はーん。じゃ、俺からいくか。ケインだっけ?お前。」
「ん?あぁ俺?そうだけど。」
「追加してほしい食材がある。今から言うから買ってきてくれ。」
「らじゃー。」
静は俺に食材の注文をしながら米の準備に入った。分量を決め、水でといでいく。
話しながら作業なんて器用なもんだと感心しながら俺は注文を聞いていた。
ふむふむ?
ウインナーとネギを御所望とな。
じゃ、さくっと行ってきますか。
今回はこの2点だけだったのでダッシュでいってダッシュで帰って来た。
多分五分もかかってねぇな。
「ご飯炊くのに時間がだいぶかかるからな。他のも作るか。豚挽肉と生姜と…玉ねぎはあるからいいな。」
「挽肉と生姜な。了解。」
「なんかケイン君ってば静くん専属みたいだね。」
「違うけどな。皆もなんかあったら言ってくれよ?」
「じゃー僕ケチャップお願いしようかな。」
「ケチャップ?まだあるんじゃねーの?」
冷蔵庫を覗くと、確かにそこにケチャップは無かった。
「マヨも買っとくか。あとオイスターソースとかも買っておくか?」
「俺からはバターを頼む。幾つか買ってきてくれ。向こうでも使うだろうからな。」
「向こう?」
「スイーツ班の事ですよ。」
「へぇ、じゃああの奥にいる三人がそうなのか。ならお前らはご飯係りか!カインはスイーツにしなかったんだな。」
「えぇ、まぁ。」
どっちかってーとスイーツの方が多く作ってた気がするんだけどな。スコーンとか。ジャムもそういやお手製だったな。
「じゃあスイーツに使うものも買ってくるぜ!」
そう話してまたスーパーへ向かった。
「あら、また来たわね。」
「これで3回目だね。パーティでもするのかね?」
バイトさんにそんな事を言われたが俺は気にしない。言われたものと必要だと思うものを集めていく。
「あ!ケインくん。今どんな感じ?」
「今誰か話しかけたか?って千佳か。どんな感じかって言われてもなぁ。まだ食材があまり届いてなくて何もできてない。」
「えっ本当?うわぁ、じゃあ急がなきゃ。ケイン君は何を買って行ったの?」
「肉とか魚とか野菜とかだな。今、スイーツの材料と静の欲しがってる食材を買いに来た。」
千佳はそっかぁ〜と言いながら悩ましげにカートを揺らしている。
カゴにはまだ何も入っていない。さっききたばかりなんだろう。
「私が思うに美味しいものを作ることも大事だけど、まずは落ち着かせるためにとにかく食べ物を用意した方が良いと思うんだ。」
「例えば?」
「お餅とかお好み焼きとか。一気にいっぱい作れそうじゃない?」
「そうだな」
「あとカップ麺とかさ。時間を考えたらその案もイイかなって。」
うーん、量より質な奴なら微妙だけどあの子はどうだろうな?見境なく食べてそうだけど。
「じゃあ試してみりゃいいんじゃないか?正直、料理の事はイマイチわかんなくてさ。」
「そうだね〜。じゃあ買って行ってみる!」
そう言ってカップ麺のコーナーに一直線で向かっていく。
千佳と分かれてすぐ、さっきまでしていた事を思い出し急いで揃えて戻り始めた。
「お、沙灑じゃねぇか!」
途中、かなりの量の荷物を自転車に乗せた沙灑と会った。
沙灑はこちらに気付くと軽く会釈をして応えてくれる。
「何買ってきたんだ?」
返事はないが、片手で自転車を抑えながらもう片手でビニールの袋を開いてくれた。
中には粉類が何種類かと牛乳や生クリーム等が入っている。更には小さな瓶のような何かやチョコレートなどスイーツに使いそうな物が入っている。
どうやら沙灑はスイーツの材料を集めてきたらしい。
今のところ俺と千佳がご飯系、沙灑がスイーツ。比率は丁度良さそうだ。
信号が近くに見え、まだ赤だったのでゆっくりと横断歩道の元まで向かった。
沙灑は自転車に乗り、今すぐに漕ぎ出せるよう準備をしている。
俺も乗せてほしいくらいだったが、沙灑の方が体格的に小さいし、荷物で後ろも埋まっていた。
サドルの後方には見事にダンボール箱が縛り付けられている。きっとこの中身も食材だろう。
信号がやがて青になると、重そうな荷物に似合わず軽く漕ぎ出していった。すぐに追いつけなくなり、背中も遠くなっていく。
あっちの方が楽そうだ。
多分あれは電気自転車だな、なんて思いながらファミレスに向かう。
ファミレスもとい厨房はかなり賑わっていた。段々と食材が届き調理にとりかかっているんだろう。
ご飯ももうすぐ炊けるようだ。
静は野菜を切っていて、璢夷は魚や肉を捌いている。真希は璢夷に教わりながら鶏肉を切っているようだ。
カインはというと何かを煮込んでいる。
俺は買ってきた食材を冷蔵庫にいれたりした。それと同時に静に到着を伝える。
「次は……まぁいいや、適当に追加してけ。」
「了解。」
奥の方では緋威翔とセイラと月華がスイーツ作りにとりかかっている。
何やらカチャカチャと混ぜる音が聞こえてきている。音からして液体だ。
「兄様、お疲れ様です。」
「ケインさんお疲れ様ですっ。」
「少しお休みになってはいかがですか?」
緋威翔が休むよう勧めてくれるが断った。
食材が途切れたら調理も出来ない。
「いや、まだ他の奴らも戻ってねぇし。」
「沙灑くんと千佳ちゃんとアルバートさんは戻って来ました。私達の手際を考えるとそんなすぐに食材がなくなるなんて事は…。」
「分かった、じゃあ少し休むぜ。何か必要なものがあったら言えよ?すぐ行くから。」
そう言いながらも床にへたりと座り込んでしまう。これじゃ強がってるってすぐバレるよな。みっともねぇ。
でも荷物を持って早歩きしたり、スーパーまで走ったりをほぼ休みなく繰り返していたからか、だいぶ疲れているのは確かだった。
皆の優しさに感謝しつつ、俺は水を貰い座って休憩を取るのだった。




