影で頑張るお姉ちゃん
やっとE班…あとF班と単独の二話でとりあえず一区切り。
私達の班は確かE班だったかな。
思ったよりも参加人数が多くて班がどこだったかなんて忘れちゃったよ。
「折角の歓迎会だ。あの三人は班のメンバーではないが、こちらはこちらで楽しむとしよう。」
「そうですね…。」
「ま、気楽にいこか。」
周りを見れば皆それぞれで会話してるようだし、あまり席を移動したりする姿は見られない。
新しく入ってきた人が気になるけど班にならなかった以上、この場で接触するのはあんまり良くないか。
「めっちゃ周り盛り上がってるんやけど〜。こっち何を話そか?」
「何でもいい。」
そ、私は別にどんな話題でも構わない。最初の話題は種程度でいいんだよ。だってその方がどんどん広げられるだろう?そっちの方がやっぱり楽しいじゃないか。
「そうだな…。まずはメニューでも開きながら考えるか?話し込むのは食後でも構わないだろう。」
「せやな。」
各自メニューを開く。
メニュー表は私とアルバートで一つ、そして璢夷と政宗で一つ。
何だかカップルみたいだって?ありえないね。私とアルバートとか互いに反発しちゃうだろうしね。
うーん、政宗と璢夷はありかな。兄妹みたいに見えなくもないけど。
「亜里亞さんどれにするん?」
「そうだね、とりあえずスープでも飲もうかね。」
「コーン?それともミネストローネとかか?」
「コーンスープでいいや。」
真里亜は今誰と話してるかな。いい男GETしてるといいんだけどね。
それこそ目の前にいる璢夷みたいな気が利く天才とかね。
間違ってもアルバートとか何考えてるかわかんない奴とかはナシ。
ここはお姉ちゃん頑張っちゃおうかな?真里亜の未来のお婿さんを探してあげようじゃないの。
まずは璢夷から攻略していこうか。
「三人はさ、好みとかあるの?あ、食べ物じゃなくて異性の話ね。」
メニューを眺めていた二人と横にいる奴がこっちを見る。
璢夷と政宗はお互いに顔を見合わせてから言った。
「いきなりどうしたんだ?」
「私は優しくて静かな人ですけど…。」
政宗の求める条件は優しいことと静かなことか。うん、妥当なところ?
拘りすぎずかといって全く条件がない訳じゃない。丁度いいんじゃないかな。
せっかく政宗は可愛いんだから、もうちょっと拘るくらいがいいとは思うけど、きっと言ったら戸惑いつつ否定するだろうな。
「俺は“マリア”みたいな…」
「聖母マリア様?それとも…」
ちょっと待て。今真里亜っていった?
真里亜って言ったの?アルバートが?は、ちょっと訳がわからないんだけど。
私の大事な妹は絶対渡さない。
真里亜は素敵な殿方と一緒になる定めなんだから。
「せ、聖母マリア様みたいな慈愛に溢れてて白のイメージの…」
って肝心の璢夷の好みが聞けてないじゃない。
「璢夷は?」
「あまり考えた事がないのだが…、そういう亜里亞はどうなんだ?」
「私?私はね、3Kが揃ってればオッケーよ。」
「3Kってどういう意味や?」
3Kも分からないかー。これは完全にダメだね。アルバートはもうちょっと勉強した方がいい。日本語もね。エセ関西弁とか笑えないよ。
「3Kは高学歴、高収入、高身長だな。」
「3Gでもいい。」
「璢夷!解説任せたわぁ。」
「強引、ギャップ、あと一つは…ジェントル?だったか…。」
「凄い正解!」
紳士的でギャップがあって、強引なとこがある人って素敵だよねー。
こう、一瞬の内にきゅん!って感情を持っていかれる感じが堪らない。
「今は色んな言葉があるんですね…。全然分からなかった。」
「それに合わせて言っておくか。3Aだ。これの解説は無しだぞ。」
「A!?」
あら予想外。そう来たか。3Aね…。
待って3Aって何?
「甘えん坊とか?」
「温かい?」
「慌てん坊もAやな。」
璢夷はそれを聞きながら微笑む。
むむむ、やられた!
これは分からないや。ごめん真里亞。
「政宗、どれにするか決めたか?」
「ま、まだ…。」
「俺はラーメンでも食おか。」
「じゃあ私はたらこパスタ。」
「私は煮込みうどんにします。」
「皆麺類か。面白いな。なら蕎麦にでもするか。」
まさか皆麺類なんてね。変なの!
「こうして話す機会はあまりなかったが、どうだ、学生生活は楽しめているか?戦闘ばかりで疲労してないか心配でな。」
「私は楽しいです。戦闘は嫌いだけれど、一人じゃないって気が付けたし、皆優しいし…。」
政宗が即答する。
確かにみんながいるから楽しいっていうのは理由の一つだよ。一緒に過ごす人が嫌な人だったら逆になっちゃうけど、全くそんなことないもん。
「疲れるっちゃー疲れるけどでもやりがいがあるからな。」
「まぁまぁかな。もっとエンジョイしたーい。」
いろんなところに遊びに行ったりしたい。
今の状況じゃ叶わないけど、でも諦めた訳じゃないから。忙しくても、いつか彼氏とか友達とかと絶対‘‘夢国’’に行ってみせる。
そのためには身の回りの安全の確保を優先しないとね。悩んでも仕方が無いし、どんどんミッションを受けて行きたいところ。
「俺は正直、気が滅入りそうだ。」
「え?璢夷が?」
璢夷にとってはこんなの楽勝みたいな感じがするけど、そうでもないのか。
まぁ過大評価っていうか頼りにされすぎというべきか分からないけど、璢夷はそうだもんね。周りから天才とか絶対無敵とか言われてるもん。プレッシャーとかもあるよね。
「世界にはこうして苦しむ人が沢山いると改めて思い知らされたからな。それに……救えなかった命が出ようものならそれこそ…な。」
「そんな気にする事はないと思うけど。だって私達は神様じゃないし。協力する事は出来ても、矯正は出来ないから。」
「変わろうとする気持ちがあるかないかで変わってくる…。璢夷さん、もし貴方の前で誰かが傷ついても、決して貴方のせいではない。」
「気にしすぎや璢夷は。どこまでいい子ちゃんやねん。」
ちょっと。折角いい感じに話が進んだのに何で最後にマイナスの事言うの!
「そういう風に振舞っているつもりはないんだがな。」
璢夷はアルバートが言った失礼な言葉に対し微笑んだ。うんうん。璢夷は素だもんね。
意図して優しくしたりしてる訳じゃない。
「モテる男…憎いわぁ。」
ぼそっと言ってたけど聞こえてるからねそこ。そういう事言ってるうちはモテる男になんてなれないね。
「お待たせしました。」
「お!ラーメン!」
ウェイトレスさんやウェイターさんが続けて麺類を持ってやってくる。璢夷の蕎麦以外はみな湯気を立てていた。その湯気と一緒にいい匂いもしてくる。
「じゃ、いただきまーす。」
「いただきます…」
「いっただきぃ〜!」
「いただきます。」
料理が到着すると我慢ならないというようにフォークがすすむ。あっと言う間に皿の底が見え、パスタは姿を消した。
私が食べ終わった頃にはアルバートは食べ終わっていて、璢夷は少量、政宗はまだまだ料理が残っていた。
璢夷は体のことも考えてゆっくり食べてるんだろう。政宗は…猫舌かな。うどんをすくう度に息を吹きかけて冷ましている。
「次はデザート頼もか?」
「まだ二人が食べ終わってないし。ジュースでも飲んでなよ。」
「せやな、とってくるわ。」
アルバートがおとなしく席を立った。
ちょっとは気配りが出来るみたいね。
「ねぇねぇ璢夷、政宗。」
「何だ?」
丁度食べ終わったらしく、箸を置く璢夷。
「ちょっと相談がね。聞いてもらえる?」
「私で良ければ…。」
「勿論だ。」
二人には聞きたいことがある。
それは私の大事な大事な二人の弟妹のこと。
「真琴真里亜のことなんだけど、出来ればあの二人をミッションに行かせたくないの。どうしたら二人をミッションから遠ざける事が出来ると思う?」
「多分、あの二人なら亜里亞さんが言えばしたがうと思う…。渋々に、だけど。」
「二人を大切にする事はいい事だがそれでは二人は成長しないぞ。逃げてばかりだと逃げ癖がつく。」
私の我儘だっていうのも分かってるけど、二人にはやっぱり怪我をしてほしくない。元気で明るい二人でいてほしい。だから私はミッションに行かないといけないってなっても、いやむしろ二人の分も行かなきゃいけないってなっても向かうくらいの思いはある。
だって真琴は強い子だから平気でも、真里亜は繊細で清楚な女子。出来るだけ荒事から遠ざけたいって思うのは当たり前でしょ?
それに変な虫がついたりでもしたら…!
お姉ちゃん泣いちゃうよ!
「亜里亞さんに、真琴さんや真里亜さんがミッションに行かないほしいって行ってきたらどうするんですか?」
ううっ。もしそう言われたとしたら。
すぐに浮かぶ二人の真剣な表情。
真琴はキッと強めな表情、真里亜は今にも泣きそうでーーそんな顔をされたら。
「二人をそのままにして任務にいけるわけがない。」
「でしょう?」
「無理に遠ざけるよりも、二人を守れるよう側にいる方がいいだろう。力を貸してくれる仲間も沢山いるしな。」
政宗や璢夷の言う通り。
私は二人を縛る為にいるんじゃない。
二人を守る為にいるんだから、前に立って二人を導いていく見本にならなきゃ。そのためには…。
「ありがとう!二人とも!」
二人が満足げに微笑んだ。
この学校には本当にいい人が多い。
ここに入れてよかった。
「なんの話してたんや?」
「ふふ、なーいしょ!」
E班は亜里亞さん視点でした。
亜里亞さんはちと特殊でして、場合によってキャラが変わるみたいです。キーワードは真里亜。
あまり本編では出てきてない影キャラ。ごめんね亜里亞。
因みに亜里亞が一番上、次が真琴で一番下なのが真里亜。
次はF班。急がなくては。




