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blanket  作者: 璢音
再び戦いへ
78/139

本人は本当に本が好き

このファミレス編、番外編じゃありませんよ。ちゃんと本編ですよ。次の武器所持者もその内ちゃんと出ますからね。


さて今回は(リスィ)と氷椏のいるB班。


「あ、璢娘さんお帰りなさい。どこの班に遊びにいってたんですか?」


ここはB班。

シリウスが送ったスパイ(まぁ自分の事だけどね)がいる。


今の名前は天本栞な訳だけど、名前からして星とか天体系の本が大好きな人に見えるよね。

あながち間違いじゃないのがムカつく。


「ごめんなさいねぇ〜。シリキ様って聞こえたからついついA班に寄っちゃった。」


各自軽く食事はとっており、今はゆったりと会話を楽しんでいる。


意外なことにここにいるメンバーは皆読書家らしい。会話がなくなった時に耐えきれなくなったらしき沙灑が、緋色のテディベアをカバンから取り出したところから始まり、お互いに好きな本の話とかで盛り上がった。


話にのぼっているその本を自分が書いているなんて知らない彼らは、緋桜はどんな人かを予想したりなんかもしていた。あまりに自分とかけ離れた人物像が完成していたのでこちらとしてはあまりいい気になれない。


「それにしても皆読んでるんだね、緋色のテディベア。僕も読んだことあるけど、あれって正直微妙じゃなかった?」

「そんな事ないわよ〜。最後の方なんかもう感動して涙が出てきちゃったもの。ね?沙灑くん?」


沙灑は黙ったまま軽く頷いた。顔は相変わらず本で隠したままだ。


「私も、とてもいい作品だと思います。」


ふぅーん。まぁ表面からみればそういうことにならなくもないのかな。

実際あれはいい話と簡単には言えないんだけどな。結構載せてない話とかもあるしね。

紺色のテディベアの話とかさ。


「皆はどんな話は好きなの?」


メロンソーダで喉を潤しつつ聞く。


やっぱり本についてとなると、ついつい無駄に話したりしちゃうな。

普段はあまり話さないようにしてるんだけど、こればっかりは駄目だね。

仮にも小説家だからね、逆らえないよ。


「私はやっぱり恋愛ものかしらね〜。最近は王道のものからちょっと外れたようなものが好きよ。」

「例えば?」

「人じゃなくて、料理に恋しちゃうお話とか、とある特殊な服装についつい目が行っちゃう男の娘の話とかね〜。」

「料理に恋?」

「そう!恋するあまり一から、つまり素材からってことね。そこから拘って拘って拘って、自らの愛する料理を追い求めて行くのよ。」


それ本当に恋愛小説って言えるのかな…。

まぁ、好みは人それぞれだからね、それは知ってるし、理解もしてる。


「私は歴史ものとか、ファンタジーとかが好きです。でもゲーム系のお話と神話が一番好き…かな。」

「氷椏ちゃんも幟杏ちゃんと一緒でゲーム好きなのよね。」

「ついつい異世界ものとか、ゲームものとかばかり買ってしまうんですよね。」


ゲームものか。命がけのーとかそういう類かな。それとも単にRPGの世界観タイプかな。

あのタイプは確かに面白いし万人受けするからね、ハマる気持ちもわかるよ。

でも設定が細かくてそこを理解してないと躓いたり、キャラが多くなりすぎてこれ誰状態になったりもするからなぁ。


神話か、マニアックなところがきたね。

自分も神話は好きなんだ。やっぱりこう、昔の人の想像力とか尊敬しちゃうね。

星を繋ぎ合わせて生き物にしたりする。その発想力と一つ一つの話に教訓があったりリアリティがあったりして、人間より神の方が人間らしかったり。


自分と一番遠いものを身近にしてしまう力は凄いとしか言いようがないね。


「沙灑くんは…」


話を振られた沙灑が必死に鞄を漁り始める。

少し経つと片手に持った本で顔を隠しつつ、もう片方の手で何度も本を机の上に置いた。


置かれた本が積み重なる。


丁度背の部分がこちらに見えたのでタイトルをみると、どうやらホラー系、推理系、ファンタジーといくつかジャンルがあるようだ。


気の弱そうな沙灑がホラーを読むとは思わなかったな。人は見た目によらないってやっぱりそうだね。


「沙灑くんってホラー読むのね。私びっくりしちゃった。これ、璢夷は知ってるの?」


またも沙灑が無言で頷く。


「栞くんはどういう本が好きなの?」

「僕は…簡単には絞れそうにないな。なんせ今まで読んできた本が沢山あるから。」

「どんなのを読んでいたの?気になるわ。」

「冒険記とか童話から始まって、最近は推理ものとか心理もの。恋愛ものもたまには読むよ。」

「冒険記ね。小さい頃そういうお話大好きだったわ。」


「小さい頃から好きな話とかってありますか?」


会話が止まらない。もっと話していたい。

ついついスパイのことなんて忘れて本について語ってしまう。

どの小説家がいいだとか、どういう話が読みたいだとか。

普通の高校生みたいな会話を楽しんでしまっている自分がいる。


「こうしていると、任務の事とか忘れちゃいそうだな。」


おっと、これはまずいな?


「そうですよね。つい最近まで武器持ちと戦ったり情報集めたりしてたなんて思えない。」

「やっぱりそうだよね。」


ふぅん、この学校にも任務って呼ばれるようなものがあるのか。


「氷椏ちゃんなんかはあの部屋の管理してるんでしょう?実践こそないものの、知識は一番あるんじゃなぁい?大変でしょう、被害者からのメールを見たり、投稿された情報を纏めるのは。」


実践せず、部屋を管理?どういう事だろう。

さっきの任務と関係があるんだろうか。


氷椏と幟杏は転入生だったはず。その二人が入ってすぐに情報の管理を任されたということ?

いくら教師たちがそれらと関わりたくないからといって、押し付けるのはどうだろうか。


「いえ、私は大丈夫です。二人で武器を共有している関係でこのような形でしか貢献出来ないですし…申し訳ないです。」

「そんな風に思う必要はないわよ。貴女のサポートがあると任務がやりやすいもの。自信を持って!」

「…はい。」


沙灑も心配そうに両手で開いた緋色のテディベアから目の辺りから上を覗かせる。


目が合ったのだろう氷椏が微笑んだ。

それに気付いた沙灑はまた本で顔を隠す。


「任務、僕はまだ行った事が無いんだけど、どういう流れでいくの?」


左手にグラスを持ちながらそれとなく聞いてみる。からりんと氷が綺麗な音をたてた。

ストローは炭酸の力に押され、上へ上へと向かう。その力を押しのけてストローをさす。静かに吸えば、喉を過ぎていく清々しさ。


でも心の中は泥々とした液体が溜まっているかのよう。


素直に楽しめないのは仕方がないけど、こう、違う出逢い方をしていればなんて考えてしまう。こんな事考えてる場合じゃないのにさ。


「え?まず氷椏ちゃんのいるミッションカウンターでミッションを選ぶでしょー?」

「情報と探索機械をもとにして依頼人と話をしたり、武器所持者と会ったり…。」

「その後は状況によりけりかなぁ。保護だったり弱らせたりね〜。」

「そっか。臨機応変な対応を求められるんだね。」


沙灑が頷く。


「ねえねえ〜。この話はまた学校ででもするとして〜。私も聞きたい事があるんだけどね?」

「璢娘さん?」

「皆はどんなコスが萌える!?あ、シチュでもCP(カプ)でもいいわよ!!」


ぐいぐいと迫るように畳み掛ける。

そのせいか答えざるを得ない状況にさせられた。話題を変えようにも浮かばないし、間が空きすぎた。


「えっ…と?それはどういう?」

「例えば!」


勢いよく璢娘がテーブルを叩く。痛かったのかすぐに手を引っ込めてひらひらと動かしていた。


「王道はほら、幼馴染同士とか!地味子ちゃんと学園内No.1のイケメン王子とか!召使と王女とかとか!」

「あぁ、カップリングって事ね。」

「そうそう!」


小説を書くにあたり、恋愛ものを一時的に漁った過去がある自分はその言葉を理解し使う事ができた。

氷椏はわかったようなわからないような感じで笑みを浮かべている。

沙灑は困ったように左右を見る。誰かに助けを求めているみたいだ。


「カップリングなら…司書と社会人を推すかな。」


なるべくあっさりと述べる。あつく語って変な風に見られるのも嫌だし、黙っているのも違う。だから必要最低限だけ述べた。


「司書さんかぁ、なら学校の図書室の司書さんと生徒なんてどう?」

「いいんじゃないかな。」


適当に肯定しておく。


「氷椏ちゃんと沙灑くんは?」

「私は…その、素性を隠した男女がいいなって…思います。」

「あ〜。仮面舞踏会系ね!なら罪人と姫とか?」

「そんな感じです。」


む、意味はちゃんと通じてたんだ。


「沙灑くんは…はい!ホワイトボード!」


てれれれってれーと聞き覚えがあるようなないような音声をつけながら懐より小型のホワイトボードとペンを取り出す。


「璢夷から預かってきたのよ〜。」


沙灑はそのホワイトボードを受け取ると、少しの間ボードを構えじっとしていたが、ふと思いついたような仕草を見せてからせっせと書き始めた。

書き終わると恥ずかしそうにボードを璢娘に手渡す。


「なになに〜?お、そうきたかぁ!」

「ホワイトボードにはなんて?」


「動物と動物ね。うんうんわかるわかる!同じ種族だとほっとするようなCPになるし、宿敵への禁断の恋とかなると燃えるのよねー!」

「衣装ならやっぱりドレスが可愛いです。」

「僕は極東の国の衣装とかもいい線いくと思う。」

「勿論普段の服装でもいいわよね〜。ね、沙灑くん!」


なんだかんだで共通の話題が多いな、ここの班は。楽でいいんだけどさ。


「シチュはシチュは!?」

「そっと二人寄り添うような…こう、月夜とか湖の畔とかが似合う感じで。」

「図書館でハプニング」

「氷椏さんに同意、ね。沙灑くんらしいわ。」

「璢娘さんは?」

「そうねぇ、やっぱり肉食系女子が草食系男子に猛アタックとかが好きね〜。」


となると、璢娘は自分からアピールしていくタイプって事か。氷椏と沙灑は奥手だね。

自分?さぁ、知らないな。


「後は天使とか悪魔とか、人間じゃないコが人間に恋をしてっていうのもいいわねぇ。」

「人間に恋をした天使が堕天使に…なんて話、あった気がします。」

「あるね。シェムハザの事じゃないかな。」

「人間のどこに魅せられたのかしらねぇ、私は天使の方が美しいんだとてっきり思っていたから、疑問に思うの。」

「天使にはない一面に惹かれたんでしょ。それ以外は彼らしか知らないよ。」


天使を惑わす程の美貌というよりも、人間の持つ感情とかに惹かれたんじゃないか?そう考えたけど、実際はどうなんだろうね。

神様も人間に恋するあたり、美貌も理由の一つとして考えられなくもないけど。


「あの、急にこんな事いうのもなんなんですけど、私も質問していいですか?」

「いいと思うよ。これまで順番に質問してるしね。」

「来世があるとしたら、どうなりたいですか?」


来世ときたか。あまり未来のイメージはないけれど、強いていうのなら。


「来世は男性がいいかな。それで、本を書いて……本にまみれて暮らしたい。あと、友人は沢山欲しいな。」

「本を書くって、どんな?やっぱり小説なの?」

「うん。小説。舞台は…そうだな。学園がいいかな?」

「貴方が書くならきっと面白い本が出来る。」

「そうね、氷椏ちゃん。」


沙灑も頷く。


人間観察は割と得意だし、情報収集も苦手じゃない。小説家としてやっていくだけの力は現時点であるつもり。来世に引継ぎはできないと思うけど。


今の力としては、近くにいる人の仕草や言葉を見たり聞いたりする事ででどんな関係なのかは察しがつくくらい。


例えば、近くのテーブルに座ってる男女二人組。仲がいいしパフェを食べさせあったりしていて一見カップルにみえるだろう。

だけど二人のふとした時の仕草が酷似している割にそれが時間差で起きている。

これは一方がもう一方を意識している事による反応ではなく、元々の癖だという事だ。


そして会話が殆ど食事のこと。美味しい?とかなに食べる?とか。

普通カップルならお互いに起きた出来事とかを話したりするだろう。でもこの二人はしていない。かといってぎこちなくもない。いたって自然体だ。


この情報から導き出した回答は、二人は家族である。もっといえば、兄妹である。

ここに来たのはただ単に食事をするため。この後は特にぶらつく事もなく直帰だろう。


「私はね〜、どんな生き物にでもなれるのなら私は花になりたいかな。蝶々でもいいわね。短い命を精一杯輝きながら生きているものになりたいわ。」

「沙灑はー、何々?鳥?鳥になりたいんだ。理由は空を飛んでみたいから、ね。なるほど。」

「氷椏ちゃんは?」

「私は本になりたいです。本って時間が経っても必要としてくれる人がいるから。」


本になりたいだなんて、そんな人もいるのか。でも気持ちは分からなくはないよ。本はいくら時が経とうと存在し続ける。必要とする人もいるし、大切にする人も沢山いる。

愛書としてずっと所持していられるなら、幸せだろう。


「もしそれが実現したら僕は氷椏の父親になるのか。おかしな話。」

「ほんと、そうね。」


そんな事を言うと、三人が笑う。


本当におかしな話だよ、全く。


シェムハザという単語を見たり聞いたりすると、前にプレイしていたソシャゲを思い出します。シェムハザ…推しキャラだったんです。


そんな事はさておき、タイトルは緋桜かつ今回の話の主人公リスィたん…じゃなかった栞くんのイメージでつけました。

本っていう漢字をタイトル内で重複させたかっただけですふざけすぎました。反省と後悔はしてません。えぇ。


(そういえば、ファミレス編はちょいちょいネタというか伏線があるよ!探してみてね!←)


次はC班飛んでD班だよ!

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