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blanket  作者: 璢音
再び戦いへ
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真相

こうなった今、全てを話そう。

何もかも包み隠さず、嘘を話さずに。

誇張もしない、真実を。


確かに最初の頃、菫を可愛らしいと思っていた事は事実だ。でも、付き合う事の重要性は今一分からなかった。


自分は幼馴染の花菜美といて楽しかったし、そこに菫がいる事でもっと楽しくなった。それだけで充分だった。

だけどもしどちらかと付き合うなんて事になれば、花菜美か菫のどちらかとは中々一緒にいられなくなる。


俺は正直、花菜美と菫が仲良くいられればって思ってたんだ。花菜美は昔から友人が少ないタイプだったし、菫は花菜美の数少ない友人だった。二人の仲が良ければ、俺は必要がなくたって構わないと思ってた。


それがどうだ。ひっくり返してみれば菫は花菜美をダシにして俺に近づこうとしていた事が分かったり、花菜美は花菜美で対抗心燃やしたのか知らねぇけど告ってくるわ。自分が思い描いた方向とは真逆に進んだ訳さ。


菫を選んでも花菜美を選んでも二人は仲良くいられない。そんなの嫌じゃないか。


花菜美にあんなことを言ったのは悪かった。あの時は焦っていて……まぁ、もう少しおしゃれに気を使えとは思ってたけどよ。

でもそのせいで純粋だった花菜美はどんどん荒んでいった……。


荒んでいくとともに開花していったもんだから驚いたよ。


見違える程に可愛くなった。一般的にはな。だけど俺は純粋な頃の花菜美の方が良かったんだ。

俺の一言で、俺に認められたいが為に自分を磨いてきた。それが分かったから二回目の告白は受けた。そこまでさせた事の償いも含めてな。


でもやっぱり違った。

俺が求めていたのは……俺が好きだったのはあの頃の花菜美だったんだ。

見た目は変わっても、中身は変わらないで欲しかったんだ…!!


昔は何かあるごとに恥ずかしそうにはにかんでいたのに、付き合った時にその面影は全くなかった。

積極的になったのも変化の一つだ。

少しの変化も長年一緒にいる俺には分かった。その分悲しかった。

俺の知っている花菜美じゃなかったからだ!


そう思うと花菜美が誰かに乗っ取られたように感じてきたんだ。花菜美の姿をした別人のように思えてきた。そのせいで何をしていても落ち着かず、結局花菜美に当たってしまった。



全ては俺の責任だ。

気がついてやれなかった俺が悪かったんだ。

なにも言わないでいても分かっていて欲しいなんて思っていた俺が愚かだったんだ。


伝えなきゃわからないのは当たり前じゃないか。当たり前の事をしないで傷つけるだけ傷つけて、花菜美が後にひけなくなって武器を生み出してしまった。


どれもこれも俺のせいじゃないか。


花菜美が俺を憎むのは当然のことだ。


「分かってやれなくて、ごめんな。」

「そんな、そんな事ないよ!タクヤは…タクヤはっ…!」


泣きじゃくる花菜美は、あの頃のまま。

小さい頃に何かあるごとに泣いていたあの時のまま。救ってやれなかった、あの頃の……


「花菜美。あの時のようにまた笑ってくれよ。」


何だか懐かしく思えて、右手で花菜美の頬を撫でてそのまま涙を掬う。色も質も変わってしまった髪が指に触れるがそれさえも今は愛おしい。


「タクヤ…私は前からずっと、アンタの事好きだったんだよ…!何で気付いてくれなかったの、馬鹿…!」

「俺は元から馬鹿なんだよ。」


そう言って、笑う。

花菜美もつられたのか少し微笑んだ。


俺の知らない花菜美に交じる、懐かしい花菜美。


「今のお前はとっても可愛いぜ、花菜美。」

「………!」


◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


二人の表情を見れば分かる。あぁ仲直り出来たんだなって。なんだかほっとしてしまって力が抜けて行くのを感じた。


周りを見ればみんな二人を見つめ微笑んでいる。祝福するかのような笑顔だ。

話の途中で入室してきた璢娘さんは満足げに笑顔で頷き、璢胡ちゃんは目に涙を浮かべながら微笑んでいる。


「あ、あたしのブーツが…!」


花菜美さんの驚きの声で視線を二人へ戻すと、確かにブーツが光を放っている。淡い金色の光が放出されていた。


「そのブーツ、クリスマスに買ったやつだよな。まだ履いててくれたのか。」

「あったり前でしょ、アンタから貰った初めてのプレゼントだもん。」

「そうだったな。」


ブーツについている紐が解けて浮かび浮遊する。光のせいか、焦げ茶色だった筈の靴紐は赤く見えた。

その紐が花菜美さんの指に絡みつく。更にはタクヤさんの指にも絡みついた。

二人の小指同士を繋ぐ靴紐は恋人同士を繋ぐ赤い糸のようだ。


「お幸せにね。」


璢娘さんが笑顔で声をかけると二人は笑顔で応えた。


光が消えていくのを見届けると、花菜美さんがタクヤさんの寝転がっているベッドの端に座った。


「タクヤ!新しい靴、買ってよ!」

「あーもう、仕方ねぇな!買ってやるよ!」


どうやら二人は新たな宝物を探すみたいだ。


私もいつかあんな風になれるだろうか。

そんな事を思いながら、私は二人の姿を見つめていた。

花菜美編これにて完結。

次の武器所持者はどんな子かな?

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