対の能力
シリウスのチート能力発動。
封じる力と解放する力。どちらが強いかと言われれば簡単だ。
能力が高まっているほうが、強い。
封じる力の方が強ければ解放出来ずに終わる。解放する力は強ければエンドレスになる。その場合は封じる力は無力に等しいので解放のほうがつよくなる。
だが、自分と彼女の場合は違う。彼女には封じる力もある。
解放する力と封じる力がある彼女と対抗はしたくない。
もっと言えば、協力関係になりたいところ。彼女の力があれば、自分の真の力を発揮できるに違いない。
明かしてはいないが、自分の武器は錠前。及び錠前に繋がった鎖だ。
能力は封印。主に記憶を封印したりする。緋威翔が自分のことを覚えていないのも、この能力を使ったから。彼が身につけている帽子につけられた錠前は、自分がつけた。
自分の為か?いや、彼のためでもある。
忘れた方がいい過去だって存在するさ。彼の記憶はその例だ。
思い出せば今の彼が彼でなくなるだろう。間違いなく…ね。
「新しく入られるんですか…自己紹介がまだでしたね。私は美麩と言います。宜しくお願いします。」
「僕は栞っていいます…。あまり自分のことを覚えていないんだけれど…宜しくね。」
「すまん。先に自己紹介をしておけば良かったな。俺の名は璢夷だ。宜しく頼む。」
「…こちらこそ。」
「栞っていうからには読書好きなの?」
「ま、まぁ…そうです。」
「そっか。じゃあ今度お勧めでも聞こうかな。」
「武器は何なのかしら。名前の通り栞だったりするの?」
「いいえ、栞っていうのはは私たちがつけた名前なの。武器は宝石なのよ。素敵よね。」
「確かにさっき自分のことをあまり覚えていないと言っていたわね。」
「だったら能力は何なのかしら?」
「霧雨、無理に詮索するのは良くないぞ。栞、すまないな。」
「いや…大丈夫だよ。」
色々と厄介なことになって来たな。これはもう一度出直したほうが良さそうだ。
〈え?もう戻ってくるのかい?〉
頭の中に直接声が響く。この声…シリウスか。
どうせ心を読んでいるんだろう。迷惑だけど今は有難い。
もう一度姿を変えて欲しい。この姿では目立つ。
それと頼みがある。記憶操作系の武器になりそうなものを“作って”ほしい。
〈分かった。麒麟に頼んでおこう。そうだ、折角付けてもらった名前にあやかって、栞にするのはどう?〉
いいね。そうしよう。
本を読むのは好きだし、栞という名前も意外と気に入っている。折角だから使わせてもらおう。
〈OK じゃあこの場は一度僕が引き受けよう。…あ、性別はどうする?〉
動きやすそうな男性、で頼む。もうこりごりだこんな姿は。
〈そう。君ならそうするって最初から分かっていたよ。面白そうだったからつい…ね。〉
こっちはそのせいで散々だ。次回はちゃんと頼む。
会話が終わると目の前が明るくなる。もし人生にリセットが存在するとしたら、恐らくこんな感じなのだろう。或いは死ぬ間際もこんな感じだろうか。
〈武器が作り終わるまではこれを使っていいよ。〉
白い空間にふわりと栞が現れる。
銀色で細工が施されたそれには、紺色のリボンが結ばれている。
デザインは月のようだ。月を真ん中に配置し、その周りには波紋のようなデザインが続いている。
〈水面に浮かぶ月をイメージしてるんだってさ。掴み所のない君にピッタリだと思わない?〉
それは余計なお世話だ。全く、こんなところに拘らなくたっていいのに無駄なことをする。
しかしこれ…ただの栞ではなさそうだ。微かに違う能力が混ざっている気がする。
〈アルテミスを出張させてるんだよ。だから月にしてるっていうのもある。〉
ローマ神話でいうディアナか。あの神苦手なんだけどなぁ…。まぁ折角力を貸してくれるっていってるんだし、ここは素直に甘えよう。アルテミスというと狩の女神でもあったはず。動体視力とか上がったりしないかな。
《狩や月だけでなく出産を司っていたり、子供の守護神でもあるし、死や疫病をもたらす神でもあるわよ!何はともあれ宜しくね、リスィ。アタシは結構アンタのその一人でなんでもやってやろうって精神嫌いじゃないの。精一杯頑張りなさい。あとたまには一緒に遊びなさいよ。》
何故か知らないけどアルテミスには気に入られているらしい。
〈よし、準備完了。じゃあさっきの会話に戻すよ。記憶は先に操作しておいたから最初から君がその見た目だったことにしてあるし、編入理由も変えておいた。自ら志願したことにしておいたからあとは宜しく頼むね。何を考えていたかはお見通しだよ。ちゃんとこっちにも利益がないと困るね。〉
《もしシリウスへの恩を忘れたら多分ヴァルから怒りが飛んでくるよ。》
多分じゃなくてそれ絶対だよ。
流石にシリウスを裏切るような真似は出来ないさ。君を敵に回したくはないしね。
でもそれは君も同じでしょ?ならフェアにしないと。
自分は自分に得がなきゃ動かない。でも支援はしてもらってるからその代わりの事はなにかしらするさ。
今回だって自分が行かなきゃ誰も志願しなかったでしょ。そんなところだね。
君が欲しい情報は持って帰るさ。期待しといてよ。ほどほどにね。
〈期待しているよ、×××。〉
「本名で呼ばないでよ。自分の名前はリスィでしょ。シリウス。」
リスィの本名はまだ内緒。
・本名(隠さなきゃいけない理由あり)
・リスィ(コード名:意味あり)
・緋桜(ペンネーム:意味若干あり)
・栞(前回つけられた名前)
こうしてみると本当に名前多いですね。覚えるのが大変だ。




