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blanket  作者: 璢音
再び戦いへ
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資料

夏休みが14と15の二日しかない事が判明した・*・:≡( ε:)


今回はケイン視点です。

校内を探し回ること三十分。

いくら元気な俺でも流石に疲れる。

カインはといえば氷椏とすぐに合流して、俺と同じように校内で幟杏を探している。


あーあ、ここに霧雨ちゃんがいればなぁ。つまらない人探しに華が咲くだろうに。

彼女は今、璢夷が率いるチームと共に行動しているはずだ。俺らとは違い、外国で武器所持者の発見及び保護をしている。


俺もあの班に入りたかったと悔しがってももう遅いんだよな。


そうして霧雨ちゃんのまだ見ぬ笑顔を妄想しながら一人ぽつんと校内の廊下を歩く。ここまで探してもいないということは、まさか外にいるってことか?


勘を頼りに校庭へ向かった。


校庭の砂は太陽の光を浴びたからか熱を帯び、辺りに熱気を放っている。クソ暑い。俺は水への欲を我慢出来ずに近場の水飲み場で水分補給をした。


この日差しの中で外にいたなら今頃は校舎内に戻ってるんじゃないか。そんな考えが頭をよぎるがまだ俺は外に来たばかりだ。こんなところで負けてはいけない。


「あーもう、何処にいんだよ幟杏は…」


暑さに苛立ち頭を掻きつつも何とか校庭から噴水広場へ移動した時だった。

噴水の側にあるベンチに腰をかけ、鳩に餌をやっている幟杏を見つけたのは。


最初何をしているのか分からず、この先に何が起きるかとじっと見つめていたが、やがて時間が経つと共に目的を思い出して静かに近付こうとする。


出来れば近くに行くまでは気付かれたくは無かったが、すぐにばれてしまった。

静かに近付いた事で警戒心を持たれたのか、鳩が飛び立ち幟杏がこちらに目を向ける。


「出たよ不審者(だれかさんのすとーかー)。」


俺を見るなり蔑むような目に変わる。

何なんだ、この変化は。


「今一人でいるのは危険だ。それに情報を集めなくちゃならない。ついてきてくれ。」


不審者呼ばわりされた事は全く気にならなかった、もとい気にすることはなかったのでその話題は飛ばして本題に入る。


幟杏はめんどくさそうに一度伸びをしてから、ふーん。そう。と答えを返した。


珍しく素直についてくるみたいだ。


俺がカイン達の元へ行こうと足を進めると、幟杏は俺の視界に入らない場所…真後ろについてきた。会話をする気はないらしい。何も言わずただついてくる。


「ケイン、随分かかりましたね。」

「しょうがないだろー。」


カインと氷椏と無事廊下で合流。

やっぱり室内は屋外より幾ばくか涼しい。


「えっと……情報収集でしたよね。なら、第七教室が良いと思います。」


ミッションカウンターもある第七教室にはそれなりに武器に関しての資料が保管されている。

武器の事なら図書室よりもパソコン室よりも情報があると言える。


俺も氷椏の案に賛成し、カインも頷いた。鍵は幟杏が持っているというので特に鍵を借りにいく必要もない。


「早速行きましょう。」


四人でぞろぞろと廊下を歩き、第七教室へと向かう。途中珍しく職員室から出てきた先生と会ったが特に話はしなかった。


先生の表情から察するに、次から次へと依頼の電話やFAXが殺到しているのだろうと推測する。お疲れ様って感じだ。


第七教室に到着すると幟杏がポッケから鍵を出し、ゆっくりとドアを開いた。

中は勿論無人だ。


「さて…どこから見ましょうか…」


広い海に投げ出されたような状態になり早くも途方にくれたカインが言うと同時に誰かが大声をあげた。


「……がない!!」

「何がないんだ?」


こんな書類だらけの部屋で無くしものなんて探すのが大変そうだ。一人で探すのはさらに大変だろう。手伝おうと思い何を無くしたのかを聞いた。


「大事な資料…」


さっきの大声の主は氷椏だったようだ。

周りにある資料をかき分け、無くしものを探している。


「氷椏のばかー。」

「ファイルに入れたりはしていないんですか?」


二人が同時に話すもんだから聞き取れないじゃんか。まぁ大体分かるけどよ。


「皆の武器の資料……あぁ、どうしよう!あれには私のーー」

「そんな重要なものを無くしたのかよ!」


驚きのあまりつい大声でどなるようになる。氷椏は一度ビクリと体を震わせたかと思うとそのまま小刻みに震え出した。


「あ、氷椏泣くよこれ。」


えぇえ!?たったこれだけで!?


慌てて謝罪をしようと俯いた氷椏の肩に手をのせると震えが止まった。チャンスだ!謝るぞ!


「ごめん…なさい。」


何故か逆に謝られてしまった。

予想外の反応に慌てた俺は何を返していいのか分からず、お、おぅ。…ごめんな?ととりあえず謝る。すると氷椏はこくりと頷いた。


「ごめんなさい…涙脆くて。」

「氷椏は涙腺が崩壊してるから。っていうか涙腺ないんじゃない?」


幟杏の言葉に誰も返せず沈黙。

気まずい空気が流れ出した。

やばいやばいやばい!どうにかしねぇと!


焦る俺、申し訳なさそうな顔の氷椏、馬鹿にしたような表情の幟杏、呆れるカイン。見事にバラバラだ。


こんな時は、どうしたら…


ガッ!


突如第七教室の扉が開く。

開く音がいつもと違うから何事かと振り返った。


真希だ。


「良かったぁ幟杏ちゃんいたー…」


真希はよろよろと教室に入ってくると何もない所で躓き体勢を崩した。慌てて肩を貸してやると、ごめん。と弱々しく笑いながら言った。


そういえば俺たちより先に幟杏達を探しに行っていたんだったな。

俺も時間が掛かったが、真希はもっと掛けていたみたいだ。


「真希くん一体どうしちゃったの?」

「幟杏を探して色んな所を駆け回り疲労したってとこだな。」


俺が説明してやるとすぐ、幟杏が真希に駆け寄った。


「馬っ鹿じゃないの?そこまで無理するなんてさ」


心ない言葉を掛けているように聞こえるが、きっとこれは心配をかけてごめんって事だろ。素直じゃねぇなぁ。


「だって心配だったんだよ…女の子だし…」


真希が介入した事でこの場の空気が変わった。どうやら真希は幟杏と相性がいいらしい。幟杏が大人しくなった。


「さて、真希さんも来た事です。とりあえずこの教室内を探してみましょう。」


カインに言われた通り、それぞれが資料を探し始めた。

しかしこの教室内には山のように書類や本があるので見つかるかは分からない。


「んー、どんな感じの見た目なのかな?」

「本のような見た目のもの……表紙は茶色で…金色の糸で綴ってあるの。あと今までに会った武器所持者の資料もなくなってる…」


氷椏の話で何と無く想像はついた。

要は歴史がありそうな感じの見た目をした本っぽいものと紙が数枚。


ガサゴソと周りを探すがそれらしきものは見当たらない。代わりに紫の表紙のアルバムが見つかった。


写真はまだ一枚しかない。入学式の写真だ。

俺達は元々違う学校にいくはずだった。中には中学の同級生など知り合いもいるが、殆どがはじめましての状態だった。

それでもこんなに仲がいいのはやはり共通の悩みを持っているからだろうか。


入学式…といっても、普通の学校とはちょっと意味が違うが、俺達はその日初めて己の大事なものを武器だと認識した。

それまではちょっと不思議な現象としか思っていなかったが、校長の話を聞いて戦慄したよ、まさかこれが人を殺してしまうかもしれないなんて。


情緒不安定になると起きる現象。今まで自分を支えてきたものが周りを傷つけると分かった瞬間。暴走しそうだったな。


薄々気がついていた面子は苦い顔をするだけで、俺はそれが気に食わなかったっけな。


…………。


おっと、資料探さねぇといけないんだった。


未完成というより始まったばかりのアルバムをそっと閉じ、俺は書類にまみれた机を確認する。

一枚一枚に目を通してみるが、それらしきものはない。







一時間くらいたったか。

幟杏は既に飽きて携帯でゲームをやり始めた。真希はそれをたまに横目で見ながら作業を続けている。


カインは本棚の探索をしてるようだ。

氷椏は探すと同時に整理をしているらしい。ファイルに書類を入れたりしている。


俺も飽きてきた。





さらに30分が経過。

あんなにあった書類は氷椏の手であっと言う間にまとめられてしまった。


カインも時間が経つにつれ、目が疲労し休憩を挟むようになったが氷椏は黙々と作業をしていた。


俺?外を眺めたりしてたな。


そんなこんなですっかり片付いてしまった第七教室。探していた資料は見つからないままだ。


しっかしどこを探しても出てこないって事は誰かに持って行かれたのか?

いやでも鍵が掛かってたんならそれは無理だよな。


なら幟杏が?


「幟杏、この教室に最後に入ったのはいつだ?」

「鍵を受け取る前だけど?まさかウチがそのよく分からない資料を取ったっていうの?バカみたい。」


頭に血が上るのを抑えてなんとか追加で質問をする。


「合鍵とかはないんだよな?」

「故意に作ったなら兎も角、幟杏ちゃんがそんなことするわけないよ。」


真希の意見ももっともなんだよな。

まず幟杏にはメリットがない。

わざわざ合鍵を作ることもないだろ。


一体どこにいっちまったんだ…?



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