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blanket  作者: 璢音
第二章:非武装の武器
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unarmed arm発表会②

○登場人物○


右流砂(うりゅうさ) 沙灑(さしゃ)


人見知りで、いつも璢夷の後ろに隠れている。


璢夷をとても信用しているようだ。


unarmed arm→ビンに入った何か

「………」


何故か黙ったままの沙灑さん。これでは発表が進まない。


「どうした?」


心配そうに先生が聞いたけれど、本人は忙しく首を振るだけで返事はない。

その前はずっと考え事してるような顔してたけど…、何を考えてたのかな?


彼は何も話さないまま、ポッケから小瓶を取り出した。もしかしてあのビンが…?と皆口々に言うけれど、沙灑さんはやはり黙ったまま。


それを見かねた璢夷さんが口を開いた。


「沙灑は人見知りなんだ。どうか何も言わず温かい目で見守ってやってくれ。」


それを聞いていた沙灑さんは助けを求めるように璢夷さんの後ろに隠れてしまう。どうやら本当に人見知りらしい。

璢夷さんとの仲の良さをみると、二人は前から仲良しなのかもしれない。幼馴染とかかな?


「右流砂くん、ちゃんと発表しないとー…」


先生も困った顔をしながら沙灑さんに話かけたけれど、璢夷さんが遮った。


「どうしても無理そうなので、代わりに俺が。」

「そ、そうか…じゃあ頼む。」

「沙灑のunarmed armは砂です。」

「…砂?」

「あのビンに入った砂を使う事は容易に出来ます。しかし当然教室が砂まみれになる。それを考慮してでしょう。」


目に入ったりするのを予測してたって事?何も言わないから分からなかったけど、皆を想っての事だったんだね。

身長は高い方だけど、小動物みたいな人という印象を新たに受けた。


「そうか、ならいい。次!鏡!」

「はいっ…!」


思わず声が裏返る。こんな事滅多にないのに。でも焦るのは仕方が無い。だって今から恥をかくんだもん。

運が悪かったら皆に避けられちゃうかもしれない。そう考えたら震えまで出てきてしまった。やばいやばい。


しかし発表しないままというのは無理なので、覚悟を決め鞄ごと持って教卓へ向かう。


もうこうなったらやけくそだー!どうにでもなれーっ!

そう思いつつ前の教壇に向かうと足が竦んで上手く歩けない。

ちょこちょこと足を動かして進むものの、教壇が近づくにつれて震えが大きくなってきた。


これは……緊張しすぎて倒れてしまうかもしれない。

そうなったら延期になるかな?いやでもズルは駄目だよね。


善が悪戦いを始めている中、少しずつだけど教壇は近づいていた。


「おい鏡、無理するなよ?もし無理そうなら物が何かと説明さえしてくれればーー」


そう先生が心配してくれたけど、その時点でアウトだから元も子もない。

人前に立って話をするのが苦手な訳じゃない。この武器の説明をしなくちゃいけないことに緊張しているから。


説明しなくてもいいなら凄く助かるけど、いつかバレる時がくるなら早い方がいい…はず。


頭の中をそんな考えがぐるぐる回る。意識がそっちにいきすぎていたせいで、教壇のところにある段差に気がつかず、見事にこけた。


「大丈夫か?」


更に心配させてしまった。しかも恥ずかしさのあまり同時にパニックに陥る。

どうしようどうしようどうしよう!!!


「月華さん、落ち着いて!ゆっくり息を吸ってーー」


何も考えずにセイラさんの声に合わせて息を吸った。


「吐いてーーーー」


同じく息を吐く。するとスゥっとパニック状態ではなくなっていた。

恥ずかしさだけがじわじわと残る。


教壇にやってきた。

ここは発表をする場所だ。しなくちゃいけない。

覚悟を決めなきゃ。授業だっておしている。早くしなきゃ。


私は言葉を組み立て始めた。



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