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blanket  作者: 璢音
再び戦いへ
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歴史書を紐解いて

前回の展開とはちょっとズレる、けど重要なお話。

第一章 世界一幸せで平和な国、セミリア・ファル王国


セミリア・ファルはこの世界で一番幸せな国と謳われた王国である。

人々は女王を中心に見事な街を築き貿易を盛んに行っていたため、周りの国とも交流を持つ機会が多かった。セミリア・ファル王国と関わった国々は口々にあの国は夢の国だと伝える程。

女王と元老院で成り立つこの国の政治は、この国に住む人々に安心という言葉で示された。他の国と違い、重い税を掛ける事は無かった。それに、守るべきものを守るという決まりがある為に、古き良き歴史の中で営業を続ける者に対しては援助をしていた。

作物が凶作になってしまった場合は、女王がその作物を買い取り国民に与えた。それ故に、この国に貧困という文字は無かった。

国民のことを考え統治している女王の人気はとても高く、国民は皆女王を愛していた。だから仕事をしない者もいなかった。


それでもたまにおきる喧嘩。それに対し女王は心を傷めていたという。喧嘩が起きた際は報告が女王の元まで届く。そうすると女王は自らその地へ行き、双方の意見を聞き和解をさせた。


力による統治でなく、愛による統治だからこそ国民もそれについていくのだろう。


第二章 隣接する国々


セミリア・ファル王国の周りには、幾つかの国が隣接している。その内の一国は、最近独立したばかりの小さな国だ。


【トリスティア王国】

最近キルシャ王国から独立したばかりの小さな国。人口もセミリア・ファル王国より少なく、国土もそれ程広くはない。

実力主義なキルシャ王国から離れ、この国に移籍した芸術家や音楽家が多いのが特徴。まだ国になったばかりで、その傾向は現れていないが、いずれ芸術と音楽の国になるだろう。現時点では、織物が有名である。



【フィアーノ・ミステリア王国】

セミリア・ファル王国より少し大きな国。

人口はセミリア・ファルと同じくらいだ。

最新の技術とやらを使い、魔法に対抗しようとしているらしい。この国には魔法が使える人が少ないが故の苦肉の策だろう。噴水・川・海等、水に恵まれた国として有名である。宝石業が盛ん。



【キルシャ王国】

少し前まで近くの国と戦争ばかりしていた国。武器の輸出で儲けていた国だが、セミリア・ファル王国の姫、イアが使用した魔法により武器が作れなくなってからは魔法の研究が盛んになった。名物はこの国独特の豪快な料理。トリスティアに関しては、独立を黙認した面がある。今は少し落ち着き、法の改正などに力を入れている。


フィアーノ・ミステリア王国とは交流・貿易が盛んであり、旅行をしにいく民も少なくない。友好関係は良好と言えるだろう。

一方、収入源を無くされたりした関係か(もっとも、賠償金は受け取っているのだが)あまりセミリア・ファル王国に良い印象は持っていないと言える。

トリスティア王国に対しては手を出さないと言っており、関係を回復する意向だ。


第三章 セミリア・ファル王国と隣接する国々の王族・政治


【セミリア・ファル王国】


セミリア・ファル王国は本書で度々触れている通り、女王が統治する王国である。


女王ミラを始めとした王族には、国王カミュ、その娘イアがいる。

国王カミュは、この時代には珍しく、婿入りをしている。…というのも、国王カミュはセミリア・ファル王国よりも小さな国の王だったからだ。その事に対し他の国は疑問を抱いていたが、国王カミュが政治に全く口出ししていない訳ではないという事が分かると疑問を抱くのをやめた。


政治に関しては女王だけでなく、元老院も参加している。

元老院は12とプラスαで構成されておりそれぞれに星や星座の名前がついているのが特徴だ。

各星座の人々の中から優秀な者を選び、その星座の人々の代表として一人が元老院に入る。

元老院といえば、頭の固そうな老人が集まるイメージだが、セミリア・ファル王国の元老院メンバーの中にはまだ成人したばかりの者や、未成年者もいる。その歳で既に天才とまで謳われる面々ばかりなので、国民から批判は起こっていない。


【トリスティア王国】


トリスティアの国王はキルシャ国王に長年仕えてきた側近である。非常に温和な性格で自由人。

実力主義を唱えていた国王に最初は従っていたものの、芸術や音楽に規制が敷かれたことにより反発。

同じような考えを持っていた民が団結し、独立を果たした。


政治面ではセミリア・ファル王国を見習い、同じような方法をとっている。

代表は投票で決まり、それが年毎に更新されていく形だ。

代表者の数は24。大体セミリア・ファル王国の二倍の人数である。


自由に、楽しく、美しくをモットーとしており、芸術家や音楽家達には援助金が出るなど、何かを作ることを推奨している国である。そんなこの国の住民はマイペースながらもしっかり者が多い。

他国と貿易をしなくても自給自足が出来るほど、自然豊かな国である。

芸術というのは絵画や彫刻だけでなく、畑や庭、牧場や建物、料理などもそれに該当する。

美しいものを皆で作ろうという思いで纏まっているようだ。


キルシャ王国以外の国々とは仲が良く、お互いに貿易をしたり旅行をしたりする。

中にはトリスティア王国に芸術を学びにくる人もいるらしい。

正当な手続きをすれば、この国にいる間援助を受けることも可能であり、トリスティア王国で認められたとなれば、他の国へ名を轟かせることも可能だと言われている。


【フィアーノ・ミステリア王国】


フィアーノ・ミステリア王国を統治しているのは王ではなく、王子である。…というのも、王がその座を息子へ譲ったからである。この王子に妃はおらず、その座を狙う他国の姫は多い。

王子は漆黒の髪を持ち、紫色の目をしている。本を読むのが好きでよくセミリア・ファル王国に直々赴き本を借りているという。他には鳥類が好きであることや、甘味好きで知られている。

女性との噂は全くというほどない。その事から世継ぎの心配をしている臣下もちらほら。


この国にはあまり魔法を使える民があまりいないため、どうにかして魔法と同等の力を持てるようにしようと研究しているらしい。

もっとも、王子は例外で強い魔力を持っているとされ、自身は魔法の研究をしているという。

しかしその研究は極秘とされ、国民には情報が与えられないのが現実だ。

魔法は使えないものの、(まじない)や占いを行える者は少なくない。


他の国よりも降水量が多く、水に関しての知識が豊富である。

雨が降っても洪水などの被害が起こらないのは、その知識があるからだろう。

滝や川、海は観光の名所にもなっており、天然石などがお土産になるようだ。また、漁業も盛んである。

どの国とも関係は良好。それぞれの文化や技術を学びにいく者も少なくない。

医療・天候・生き物等に関しては他の国よりもずば抜けた知識を持つ。


かなり法が整っており、罪を犯した者への処罰などは細かく決められている。

そしてその法は国民代表との会議で決められているらしい。

国民代表というのは文字通り国民の代表となる住民のことだが、それぞれ貴族の代表と平民の代表の二種に別れる。どちらも代表を決めるのは国民で、代表はそれぞれの意見を持って会議へ参加する。

勿論、平民と貴族の意見はどちらも同じ価値の意見として扱われ、最初に纏まった意見を提出することが義務付けられている。

会議は一般へと公開されており、会議に出席することは出来なくでもその会議を見ていることは可能だ。

もし、代表が元の意見とは違うことを伝えようものならば厳しい処罰が与えられる。

その会議での王子の役割は意見を聞き質問をすること。どちらの肩も持たず、正当な意見を取り入れるために、王子の独断で法を変える事はない。

最後に国民投票を行い、賛成の多い意見が法へ反映される。


【キルシャ王国】


王国を統治しているのは元英雄で今は王となったベルモット。

元々はディールズ王が統治していたのだが、病に倒れた際に世継ぎが居なかったため、ディールズ王の部下であり、国民から人気の高かったベルモットが選ばれた。

ディールズ王が統治していた間は実力主義の傾向が強く独裁社会となっていた。

武器の輸出が盛んで他国と戦争をすることが多く、植民地を増やしたり、闘技場を作り民と民や猛獣などを戦わせたりしていたが、ベルモットが王となってからは少し落ち着き、現在では闘牛と豪快な料理が名物になっている。が、ベルモット本人は剣技を極める事を夢としていたため、武器がこの世から消滅した事に対する気持ちはあまり良いとは言えない。セミリア・ファル王国との仲と魔法研究に力を注いでいることがそれを示している。


キルシャ王国に法という法はなく、ただ暗黙のルールのようなものがあるだけだ。

自分より上の立場の者に逆らってはならない。もし逆らった場合は決闘をするというような解釈になる。

逆らって負けた場合は完全服従。主が決めた事に決して逆らってはならない。もしそれでも逆らう場合は全国民から敵とみなされ殺されるだけだ。もし勝った場合は下克上となる。

決闘のルールは王が決める事になっているため、申請が必要である。

今ではベルモットにより法を作ろうとする動きがでているが、この先どうなっていくだろうか。


トリスティア王国はディールズが王であった頃に反発し、ベルモットが王となってから独立している。

そのため、ディールズ王は反発勢力に毒殺されたのではないかと噂されている。が、詳細は不明。


ベルモットとしてはトリスティア王国との関係を良くしたいと考えており、トリスティア王国側もキルシャ王国の王が変わったことから関係修復に期待しているようだ。案外仲が直る日も近いのかもしれない。








◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


この前図書館から借りてきた本に目を通すとこのようなことが記されていた。

この歴史書の著者は不明だが、王族の情報などを取り扱っていることから位の高い人物だと推測される。


この書の中には他にも、建国から今に至るまでの経緯や、宗教、観光スポット、歴史的建造物、気候、生き物についてなど事細かに記されていた。そう、これも夢で見たとおり。ならばこれは単なる偶然とは言い難い。前世という言葉を使うのならば、前世の者が僕達に伝えたいことがあったのだろう。

母が僕に伝えた事も、これに関係しているのだろうか?もしや母もあの頃に夢を見ていた?

……今となっては知る事が出来ない。


そろそろこの本を返さなくてはならない日が来るが、まだ調べたい事が多い。

後で図書館の方に期間を延長してもらうよう電話を掛けることにしよう。

この本を誰かが予約することはほぼあり得ない。あの女性達以外は。

もし、予約をしているようなら仕方が無い。返すことにする。


集中していたせいか、本を読み始めてからかなりの時間が経過していた。

体が糖分や食事、飲み物を求めているように感じる。

まだ本を読んでいたい気持ちはあるが、一度食事をとってから再開することにした。

ソファーから腰をあげ、キッチンへ向かう。なるべく時間は無駄にしたくないので簡単なものをつくることにした。冷蔵庫の中からハム、卵、レタス、チーズなどを取り出す。今日はサンドイッチにしよう。丁度食パンもあることだし。


フライパンを出し、油を少しひいて火にかけ、続いて卵とハムを熱する。

卵はみるみる内に目玉焼きになり、ハムもいい焼き色になった。塩胡椒をかけると、その匂いが蒸気とともに鼻をくすぐる。お腹が鳴った気もするが気にしない。目玉焼きとハムを保温している内にお皿と食パンを準備し、そこにそれぞれレタスとチーズをのせる。レタスの方には目玉焼きを、チーズの方にはハムをのせた。そして食パンを二つ折にし、サンドイッチの完成。飲み物は冷蔵庫にあった牛乳で我慢する。

リビングへ戻り、食事をとっていると誰かが部屋をノックする音が聞こえた。

タイミングが悪いと思い、一瞬宏満の顔が浮かびイラっとしたがノックの音を聞く限りあいつではなさそうだ。食事を中断し、ドアへと向かう。のぞき穴から外を見ると、ゴシックロリータを着た女性が立っていた。なんだ、琴春か?いや、琴春とは髪型が違う。


「そこにいるのはどなた?」


そう問いかけると女性はペコリとお辞儀をし答える。


「新入りのパーゴス・クリュスタッロスです。今日はリスィさんに挨拶をと思いまして。ですがどうやら食事中のようですね。……すみません。」


新入り…?あぁ、もしかして宏満が言っていたのはこの子か。

確かに負の感情が滲み出ている。これは逸材かもしれない。


「いや、いいよ。なんなら一緒に食べる?」


「いえ、結構です。邪魔しては悪いですし。」


言葉ではそう言っているが、部屋に興味を示しているのが分かる。何を期待しているのかは知らないが、まぁ聞きたいこともあることだし無理にでも部屋に招き入れることにする。

最初は断っていたものの、何度も大丈夫だと伝えるとしぶしぶ部屋へ入った。

彼女にソファーに座るように促し、テーブルを挟み話を進める。

本棚に興味を示すパーゴスにちょっとした質問を投げかけてみた。


「何か気になる本があるの?」


「はい。」


やけに素直に答え、ある一点を凝視しているのでその本が何なのかは簡単に推測できた。


「あぁ、緋色のテディベアだね。」


パーゴスがこくりと頷く。白銀の髪がさらりと動き、こちらを見据える瞳が紫な様を見て僕はある人を連想した。ーーフィアーノ・ミステリアの王子。

王子は漆黒の髪をしていた、と記してあったが同時に魔法を行使する際は髪が白銀に変わるとなっていた。

まぁ、目の前にいるのは女性なのだから、連想するのはおかしいかもしれない。

だが、前世の話となれば別だ。前世も現世も同じ性別になるとは限らない。


そんな事を考えながら、本棚に近寄り緋色のテディベアを手にとってパーゴスの目の前へと置いた。

パーゴスは食い入るように本を見つめパラパラと捲っていく。


「あの。」


パーゴスが手を止め本を閉じると同時にハッとしたようにこちらをみた。


「何か?」


「リスィさんは、あの緋色のテディベアを執筆した方ですよね。HNは緋桜さん。 」


「どうしてそう思う?」


「帽子が作中に出てくるものとそっくりだったから。それと、この緋色のテディベアがカラー版だったから。市場に出ているものは挿絵が白黒でもう一方のテディベアの色には触れられていなかったけれど、物語に出てくるテディベアは緋色と紺色だったんですね。貴方の机に置いてあるあの紺色のテディベアがその実物。緋色の方は日向家の誰かが持っている。違いますか?」


「その通りだよ。でもこのことはどうか内密に頼むよ。バレると色々とやっかいでね。」


「はい。勿論です。」


「逆に今度はこちらから質問しよう。君はーーー××さん、だね?」


「えっ…!?」


驚いたのもそのはず。だってこちらの情報を掴んだのはほぼ最近のことだろうに、こちらからは前々から情報を掴まれていた。その事実は彼女にとって驚くに値するもの。


さて、××さんはどう動く?




この話は後でちょっと修正が入るかもしれません。

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