幻獣と現状
ひが経ち、既に六月下旬。
いつも同じように毎日を過ごしている
と、こうも早く時間が経ってしまうもの。
がっこうも日常の1ピースですね。
かつては意識していなかった時間も、
ついに意識されるようになる訳です。
やみそうにもない雨に絶望し、
くしゃくしゃになったプリントを
しまいながら、進路先をどうしようか
まよう今日この頃。
すべてはこの文の中に。
目の前にいる彼は相変わらず不気味な笑顔を浮かべ、こちらを見据えていた。こちらが構えていることにも関心を示さない。その手にはメモとペンが握られている。だが必死にメモを取る様子はない。
「今後のために自己紹介しておこうか。俺の名前は麒麟。宜しくな実験対象達。確か名前はー・・・月華と緋威翔とノエル。」
げっ、名前を完全に把握してる。明らかにこっちみていってるよこの麒麟って人。
人に対して実験対象だとか言ってる時点でアウトだけどこの人、なんか変。
雰囲気といい、独特な雰囲気といい、なんといっても特異なのは・・・その目線。
まるで舐められるようなあのジロジロとした目線。あれは正直、気持ち悪い・・・。
やはり私たちを“実験対象”としてじっくり観察しているのだろう。
「実験、開始する?それともーーー遊ぶ?」
遊ぶ、と真顔で言い放つと彼は一気に間合いを詰めてきた。
私たちは反射的に後ろに下がった。
「最初の相手は誰かな?」
「私よ!」
ノエルさんがいつものように飛び出していった。多分動物的反射。戦いたくてうずうずしてしまってるのかもしれない。猫化も始まってる。耳だけじゃなくて、しっぽや目つきも今は猫だ。
つまり、猫特有のしなやかな動きと、俊敏な動き、そして爪による攻撃は健在だ。
「ほう、猫ちゃんが相手か。じゃあ動物勝負といこうか。君、麒麟って知ってるかい?あ、キリンじゃないよ、麒麟だよ?」
「知ってるわよ、あの首の長いのがキリンと幻の動物の麒麟でしょう?でもそれは関係ないわ!前は見ていなくても大丈夫なのかしら?随分余裕ね」
ノエルさんは軽く四つん這いのような恰好をとり、足をバネにして跳ねる。目の前にいる彼に飛びつくために。その手には武器である猫の爪。恐らく今の攻撃はひっかき。爪が長くなっている今、その間合いは広く、今の距離からいって簡単にひっかける。
今にも爪が届きそうなその時。
「ボンッ!」
爆発音が響いた。
音の発生場所はわからず、私も驚き一時停止する。ノエルさんもいきなりのことで動きを止めてしまっていた。
「君の能力は知ってるよ、猫化って能力だろう?まぁ、今は逆にその特性を利用させてもらうよ」
ノエルさんはその相手の言葉に黙り込んでしまった。一体今何があったというの?
「月華、緋威翔!コイツの武器はフラスコよ!気を付けて、コイツ有毒なガスや劇物を出せるかもしれなーーーーー」
「ご名答」
私達に忠告をする為に立ち止ったノエルさんを抱く麒麟。その左手はノエルさんを囲み、右手にはフラスコを持ったまま顔の方へ・・・。
「ノエルさんっ!!!」
緋威翔さんが叫んだ。焦りと共に青ざめるその顔。ただ事じゃないことが起きている・・・!
ノエルさんは身動きを取れずにいる。私はノエルさんを助けようと緋威翔さんと共に麒麟の元へ駆け出すけれど、その間に事態は深刻な方向にいってしまった。意識を失くしたノエルさんを見て、興味を失くしたかのように腕を離す麒麟。ノエルさんは麒麟の腕から離れるとそのまま力なく地面へ落ちていく。
地面にぶつかる寸前で緋威翔さんがノエルさんを受け止めたものの、ノエルさんは気を失ったまま。例のあのフラスコから気体でも発生させたというの?煙のようなものは見えなかったけど・・・
ノエルさん・・・っ、どうしよう、私には何もできない・・・っ!!!
頼みの綱は緋威翔さんだけど・・・
「ノエルさん・・・っ、ノエルさん・・・っ!」
返事はない。
「緋威翔さん、ノエルさんの様態はーーーー」
「次は君かな?月華」
「ッーーー!」
ふわりと嗅がされた薬品の匂い。特徴的な香りなのに覚えてない。
だって・・・
「バタッ」
世界が一瞬で歪んでしまったのだから。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
“緋威翔side”
あの武器の効果を使って、二人が戦闘不能。これは非常にまずい状況。
僕は二人を守りながら戦わなくてはならない。
二人は今、軽く昏睡状態になっている訳だが、効力は一時的なもの。でも相手はそれで十分なのだろう。
一人残った僕が有している情報は次の通り。
・相手はあのフラスコが武器
・少なくとも相手を眠らせる事以上が可能。
・相手は僕達を実験対象だと思っている
・それ故に殺しはしない(ノエルさんと月華さんが一時的な昏睡状態・・・というより気絶状態なのはそのせい)
・ただ、思考回路は未だに謎
さぁどうしましょう。
カードを手に取り構えるも、それを投げることは出来ない。もし二人に当ててしまうようなことが起きてしまったら。
「ひぃー!」
「ひえっ・・た・・さん?」
あれは月華さんの武器の毛布ではないですか。
そうか、月華さんの武器の能力は「生物化」だから月華さんが気絶していても効力は持続する。
ひえったさんは守りに徹したタイプの武器だ。それならばーーー。
僕はノエルさんを月華さんの横にまで運び、ひえったさんに二人を守るようにお願いした。
ひえったさんが僕の話を理解しているのか、又支持に従ってくれるかは分かりませんが・・・。
「ひー!!」
「それでは・・・勝負を始めましょうか。麒麟さん。貴方の目的は何です?」
「それは話せないなぁ。あ、次の相手は君?」
相手の武器、フラスコからは劇物も出せるはず。最初現れた時には何も入っていなかった。
その中からあの眠り薬のようなものが放出されたのだから、恐らくあのカラであるはずのあのフラスコ自体がその薬品を作ってしまっているのだろう。だとすれば実に厄介。接近戦は愚か、風も確認しなくてはならない。風上と風下に常に気を配りながら遠距離戦をするのが一番安全。・・・いや、しかしそうとも言い切れない。もっと確実なのはーーーー気体を吸い込まないようにすること。ガスマスクでもあれば良いですが、生憎そんな悪趣味なものは持ってないですし・・・。
「ひひひー」
「ん、何です・・・むぐっ。こっ、これでは息が吸いにくいではないですk---」
まるで、小学生の火災訓練で先生にハンカチを当てろと言われた時のようで・・・。
ハンカチ・・・?
「成程、ひえったさんはそれを伝えたかったのですね」
「ひー♪」
「お、その毛布生きてんの?スゲー。これはメカニズムを研究するしかないな。その繊維は普通の毛布と同じ?浮いてる原理は?重力無視?まず何科?」
「スシャッ!」
突き刺さるカード。その意味を君は知っているのかい?
「・・・ジョーカー?」
トランプは切り札っていう意味が有ります。女子二人を気絶させ僕を残したのは失敗でしたね。
今から貴方は僕の的です。貴方はいつまで研究を続けられるでしょうね?
じっと文を見れば、あの長ったらしい文に
かかれた真実が見えてくる筈。
いきなり長文になったのには意味があると
も言えます。
ですがそこは璢音クオリティ。
すべてはとあるブームから始まりました。




