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blanket  作者: 璢音
ちょっと休憩休日編
42/139

休日二日目【月華編Ⅲ】

アルバート~がアルバイト~♪(↑※全く本文に関係ありません)


急☆展☆開!

重要人物登場ッ!!((

だが謎は深まるばかり……w



引き続きお楽しみください。

 アルバートさんに連れられ、真里亜さんと共にやって来たセイラさんの家。


 まだ家は先だと言うが、家に着くまでの道が長い。

 既に周りは住宅街から自然へと姿を変えていて、今私達が歩いているこの小道は森へと通じている。


「まだ先ですか?」


「まだ先や。まぁ、この辺も領地やけどな」


 この広大な敷地が領地!?セイラさんの家って凄いお金持ちなんだなぁ。私は森を抜けつつ思った。


 セイラさんの家は余程裕福だと見えて、森を抜けてから見える庭と、その庭を手入れするメイドさんのような人の人数や、その庭に咲いている花々が豪華だった。

 花については、種類豊富なだけでなく、同じ種類の違う花なども植えてあった。

 庭にはアーチや噴水まであり、まるでお城にいるような気分にさせられる。


 やっと建物が見えた所で、私は思わず歓声を上げてしまった。


「やっとだ~っ……」


 ただ、見えたのは建物の一部だ。


 大きな扉を開けて、アルバートさんは一言客人だとメイドに伝えると、私達を家の中に案内する。


 アルバートさんが長い廊下を私達を連れ歩く。すると幾つかある部屋の一つの扉が開いた。


「月華ちゃんに真里亜ちゃんいらっしゃい。アルバート、おかえりなさい。」


 それは可愛らしく清楚な服を着たセイラさんだった。


「お邪魔してます」


 私と真里亜さんはペコリと一礼すると、セイラさんはそんなに改まらなくても、と謙遜した。


「アルバート、リビングにお連れして」


「分かってます」


 独特の口調で了解の意を告げ、私達をリビングへと連れていくアルバートさんは、背中だけ見ていると執事さんのようだ。


 執事、という言葉と共に、夢に出てきたシリウスを思い出す。……が、直ぐに現実へと戻ってきた。


 リビングには大きなソファーとテーブルがあり、ゆったりとした空間か広がっている。いつもこんな所で過ごしているかと思うと実に羨ましい。


「ソファーに座っとって!」


 アルバートさんにソファーを勧められ、ここまで歩いてきた為に起こる疲労感が一気に解放される。流石に我慢出来なくなり、お言葉に甘えて座る事にした。


 改めてセイラさんの家を興味深く見ていると、至るところに調度品と思われる物が飾られていた。


 特に、特注したであろう金のフレームに宝石がついた写真たてに入っている写真にとても惹かれた。

 どうやら背景を写しているようなのだが、写真が妙に古めかしい。その写真は撮ってから随分時間が経っているのか、ほぼ全ての部分を茶色が占めていた。


「アールグレイとケーキです。どうぞ」


「あぁ、有難うな俺の分まで」


 メイドさんがテーブルにそれぞれ紅茶の入った高価そうな白のティーカップと、カップとペアになっているらしい白地の小さな皿、銀のフォークを置いた。小さなお皿には、薔薇が描かれていた。

 それぞれ私の皿は黄色の薔薇、真里亜さんの皿は桃色の薔薇、アルバートさんの皿には赤色の薔薇が描かれている。皿には茨も描かれており、なんともメルヘンチックだ。


 皿に乗ったケーキは、フルーツタルトのようで、タルト生地の上に生クリームや色とりどりのフルーツが乗っかっている。食べてしまうのが勿体無いほど優雅だ。


「ほな本題いくで~」


「あ、はい。」


 困惑する真里亜さんの横で、私は夢の話を聞かせた。真里亜さんはまぁっ、といった驚いた様子を見せる。一方のアルバートさんは、時々頷きながら真剣に聞いているようだった。


 一通り話を終えると、今度はアルバートさんが話を始める。


「俺な、この家に(居候で)いるせいか、この街の歴史には詳しいねん」


 この家にどのような経緯で来たのかを知りたかったが、本題はそっちではないようなのでスルーした。


「でな、実は俺も昨日変な夢をみたんや」


「え?」


 真里亜さんと私が一斉に聞き返した。


「ど、どんな夢をですか……?」


 真里亜さんも興味があるのか話に入り込む。


「それがな、俺がカルキノスっちゅう名前になってる夢やねん」


 カルキノス?夢の中ではやたら片仮名の名前……外国語のような名前が出ていたが、それと同じだろうか。


「そのカルキノスっちゅうのはどうも蟹のこと指してるらしいんやけどな、(カルキノス)の他にも、タウロスとかディディモスとか変な名前ばっか出てきよる」


 カルキノスとタウロスは兎も角、ディディモスには聞き覚えがある。その二人組は私の夢にも出てきているからだ。


「同じ名前の、同じ子が夢に……?」


 夢の話が段々難しくなってきた。最初は自分がそんな立場になってみたいのかという軽い感じでそれを見ていたが、どうもそれだけではないらしい。


 この夢には何か大きな理由がありそうだ。


「わっ、私も……っ」


 急に真剣な表情で訴えかける真里亜さん。これはまた何かありそうだ。


「私は、この家にあった庭みたいのを手入れする夢を見たんです。」


「それとこれとどないな関係があるん?」


 真里亜さんが言うには、その庭で作業をしている時のこと、ディディモスと話をする機会があったという。つまり、真里亜さんの夢も私の夢やアルバートさんの夢と直接関係しているという事だ。


「そないな事が……全く不思議なもんやな。」


 三人がどうしてそんな夢を見たのかはわからない。だけど、どこかでこれは本当にあった事なのではないかと思う。夢は夢として片づけてしまうのならそれで終わりだが、確証があれば……。


「まぁ、何の話をしてらっしゃるの?」


 セイラさんがリビングにやってきた。そしてソファーに座る。私たちの顔を見上げ、話を聞きたそうに首を傾げた。別に隠す事でも無いので、私たちは経緯を全て話した。

 セイラさんは話を聞くと大変驚いたようで、私達にこう洩らした。


わたくしが見た夢も、そのような感じでしたわ。」


 普段このような口調ではなく、私と同じような口調をしているが、どうやら家だと違うらしい。お家の決まりごとのようにそれは働いているらしかった。

 彼女が見た夢は、真里亜さんと同じく庭にいる部分からスタートし、その次にお城の中へ入り、イアという人物と話をしたという。そのイアは私が見た夢の中で自分自身の役だ。自分の夢にはそのような人物は出てこなかったので、別のシーンなのだろう。


「イアという人はその国の姫のようですわ。私が話した事は国の経済についてや戦争についてでしたから。」


「戦争?」


「えぇ、どうしたら戦争が終わるのかと意見を求められましたので、素直にお答えしましたわ。それとは別に、気になることがあるのですけれど、伺っていいかしら?」


「えぇ、勿論。」


「その城の前にあった庭が、私の家の庭と構造が似てますの。真里亜さんはどう思って?」


「えぇ、私もそう感じました。特にあのバラ園は。」


 歩いてくる途中の庭の奥に、確かにバラ園があった。綺麗な花を咲かせたその庭はイングリッシュガーデンのように緑が多いなか構成されていて、アーチなども設置されていた。


「セイラさん達家族はいつからここに?」


 私が問うと、セイラさんは大分昔から代々家を継いでいるのでいつからかは分らないと答えた。ならば、何処かに資料室のようなものはないだろうか。この家の歴史を知ることができれば、夢に関してのヒントになる気がする。私はすぐにそれを伝えた。


「そうなんや。この家には主……セイラの御父さんだけが入れる図書室があるんや。多分そこには一族の重要なことが書かれた書物や歴史についての本が閉まってあるんやと思う。けどな、あの図書室のカギは、セイラの御父さんが持ってんねん。彼から鍵を借りんと入れないんや。」

 


 残念そうに言うアルバートさん。そして何やら思いに耽っているセイラさん。真里亜さんは夢を回想しているのか顔が天井の方に軽く向いている。


「……それなら」


 考えがまとまったのか、セイラさんが口を開く。


「私がなんとかしてみましょう。また後日家にいらっしゃいまし」


 そう言うや否や、セイラさんはソファーを立ち、忙しそうにリビングを出ていった。残された三人はとりあえず話を続ける。


「セイラが鍵をどうにかしてくれるっちゅう事か。あいつも凄い事を考えるもんやな」


「借りるだけでもそんなに大変なんですか?」


「セイラの御父さんはやな、えらく怖い事で有名なんや」


「それで彼女は……」


 真里亜さんが独り言のように呟く。アルバートさんは表情を変えずに続けた。


「鍵をセイラの御父さんが簡単には貸してくれる訳がない」


 アルバートさんは関西人のようなイントネーションでいい放ち、そっぽを向いた。


「ほな、とりあえず今日は解散っちゅー事でええな?」


「あ……はい。」


 そう言われてしまった以上、ここに残る訳にもいかないのでそう答える。

 実際、この家の庭について等も調べたいと思っていたのだが……。


「それはいいとして真里亜、月華の家で倒れてたんには意味があるんやろ?」


「えぇ、まぁ。一緒に図書館にでもと思って……でもチャイムを押して暫く経った時、ドサッて音が聞こえて。」


 私が倒れた時の音の事か。


「冷さんがしきりに鳴いているので何かあったんだろうなって思って、管理人さんにマスターキーを借りたんです。そしたら……玄関で倒れている月華さんを見つけてしまって。パニックに陥った私はそのまま床に……」


 あまりに急な出来事だから、そうなっても仕方ない。ましてや、自分の知り合いが目の前に倒れてたいるのだとしたら。


「俺も調べたい事があるんや。一緒に行ってもええか?」


「どうぞ。」


 三人はセイラさんの家から、図書館に行く事に決めた。


 セイラさんの家で話を聞いている間、ちょくちょく紅茶は飲んで居たのだが、あまりに真剣な話になったため、ケーキは食べれずにいた。ケーキは大好きなので、実にショックだ。それを察したのかアルバートさんが、ケーキ屋さんでよく見る袋箱を持ってきてくれた。


「これに入れて持ち帰ればええよ」


「あっ、有難うございます!」


「どーいたしまして!」


 無邪気にニヤリと笑うアルバートさんに、一瞬後光が射した気がした。


 ケーキを箱に詰めた私は、真里亜さん、アルバートさんと共に、図書館へ向かう。


「お邪魔しました」

「行ってきます」


 二つの言葉が消える頃に、セイラさんのものと思われる声が応答するのが聞こえた。


「アルバート……行ってらっしゃいまし。お二人共、また来てくださいね」


 私は「はい」と一言返し、セイラさんの家を出た。

 またあの長い道程を歩きながら、私達はのんびり話を始める。


「図書館に行って、どんな本を読む予定ですか?」


「私は……えぇと、その」


「まだ決めてないんか?」


「はい、その通りなんです。月華さんなら、日頃本を読んでると思って、オススメでも聞こうかと……」


 私がそんな風に思われていたのが意外過ぎて、私は真里亜さんの目をじっ、と見つめてしまった。そう思うと、私は周りの人からどのように思われているのかが気になってくる。


「オススメなぁ……。あ、今大人気の緋色のテディベアとかはどーや?」


「あっ」「えっ」


 二人がほぼ同時に言う。

 私は、そこまであの本が人気だとは知らず、つい驚きの言葉を出してしまった。

 一方真里亜さんは、その本に心当たりがあるようだ。


「その本、確か真琴が持ってました。あ、姉もです。」


 姉とは亜里亞さんの事だろう。


「やっぱ人気なんやな~」


「その本、緋威翔さんも買ったみたいでしたよ」


「ほー、あいつが。」


「緋威翔さんもかなりの読書家ですからね。気になったのでは?」


 確か、何となく気になって買ったと言っていたような。


「それなら彼等(あいつら)も読んでるんやろな」


「……というと?」


「璢夷や紫綺達や。あいつらは大体同じよーな趣味してるし、きっと流行にも詳しいやろ?」


「でも恋愛小説ですよ?緋威翔さんは(恋愛小説を)中々読まないって言ってましたけど」


「あー、言われてみればそーだな」


 住宅地を歩いて行くと、私達の目的地、図書館が見えた。


「久しぶりだなぁ、この図書館に来るの」


 小さい頃は、何度も何度も絵本を借りに行ったっけ。


「実は私も久しぶりです」


「俺はこっち来てからあんま経ってないさかい、よー分からんけど、なんや古い図書館やなぁ」


「大分昔からありますからね。」


 図書館は、図書館というより城に近い外観をしている。煉瓦造りという古い形式で作ってあるからかもしれない。

 城壁のように高い壁に囲まれた図書館。その内部はとても広く、中に庭まであるのだから並み大抵の図書館でない事がよく分かる。


 この図書館は、政府が重要な文化遺産に定める程、歴史ある図書館なのである。


 セミリア・ファル王国時代からある、由緒正しい図書館なのだ。姫は当時国民に読書を推奨し、自身が所有する国の図書館を国民に解放したそうである。


「……もしかして」


「?」


 この図書館にも、何かしら資料があるのではないか。私の頭の中に一つの考えが浮かんだ。しかも、可能性はゼロではない。


 図書館に入り、各自自由に本を見始める。私は無論、歴史というジャンルの本棚へ向かった。その間、真里亜さんは童話の本棚へ、アルバートさんはスポーツの分野の本棚へ向かい、それぞれ本を手に取り眺めていた。


 私は、本棚に近付きセミリア・ファル王国の資料が無いかを必死に見た。


 セミリア・ファル王国に繋がる本は幾つかあるのだが、どれも詳しくは書いていなかった。ただ、この世界で最も平和な国として、文中に登場するのである。


 一つ一つ目を通している間に、ある一冊の分厚い本を見つけた。題名(タイトル)は『世界で最も平和な国、セミリア・ファル王国』だ。

 やっと詳しく事が分かると思い、私の背より少し高い所にあるその本に手を伸ばそうとした瞬間、その本がさっ、と本棚から抜け出す。


「?」


 その本を目で追っていくと、真っ白な手に辿り着く。私より背の高い青年が目の前に立っていた。



「この本に何か用?」


「え……」


 その青年の顔を直視し、声を聞いた瞬間、言葉が出なくなってしまった。そこにいる誰かがあまりにも「彼」にそっくりだったから。


「用が無いのであれば、これを借りるつもりなんだけど」


 思わずその顔に見とれ、暫し無言を貫く私。


 声は雰囲気が似ているが、質が違う。彼は柔らかな男声で、聞いていると落ち着く。一方、目の前にいる誰かは、中性的。聞いていると何だか……、固まるとでもいうべきか、凍るとでもいうか。


 何処か冷たいものを感じる。まぁ、急にじーっと見られれば、そういう接し方が普通だとは思うが。

 私は回答しないままに(おそらく)数分を過ごした。


 暫く私を見ていたその人は、返答がないと判断したのかその本を借りる為にカウンターに向かっていった。


 その人は本を借り、その本を手に図書館を後にしていく。その時、自身の携帯であろうものをポッケから取り出した。

 その携帯は最新式のものだった。

 携帯には、飾りのようなもの(但し、最新式の携帯にはストラップをつけることは出来ない)がついていた。その飾りは小さなクマのようだった。

 一つは蒼色のクマ、もう一つは携帯が空色にも関わらず、対照的な濃い朱色だ。実にミスマッチである。だが、その飾りには意味があるのだと感じた。


 そのクマが緋桜さんの『緋色のテディベア』にそっくりだったからだ。


「何かいい本は見つかりましたか?」


 真里亜さんが話しかけてきたのでその人から視線を離し、真里亜さんを見る。

 真里亜さんとの話が終わってその人がいた場所をまた見たのだが、その時にはもうその人は居なかった。


「何の本を借りたんですか?」


「えっと……有名な童話の本を。」


「俺はスポーツの教本を」


 不審に思われないようにこちらから話を振ると、最初にそれぞれがいた本棚から、気に入る本を見つけたようだ。


「月華さんは?」


「あ、えっと、借りたかった本は既に(というか目の前で)借りられて……」


「そうなんですか。どんな本ですか?」


「この国の歴史が書かれている分厚い本です」

「そないな本をわざわざ借りようとする奴が他におるんやな~。意外やわ」


「歴史好きなんでしょうか?」


「多分そうだと思います。それと……、緋桜さんのファンみたいでした。」


「何でそう思たん?」


「携帯に蒼色と深い朱色のクマの飾りがついてたからです」


「深い朱色って……俗にいう緋色ですよね……?」


「それに帽子まで丁寧に……あっ!!」


 そこまで伝えた所で思い出す。あの人は、青い帽子をしていた事を。しかも……特徴的なアレまでしっかりとついていたと。


「あれ……もしかして」


 緋桜さん、本人……?しかも、緋威翔さんは緋桜さんと接点が?


 それを知ってしまった以上、私はその場に留まる事は出来なかった。二人には申し訳ないけれど、私は……私は緋威翔さんにこの事を知らせたい。いや、知らせなきゃいけない!


「真里亜さん、アルバートさんごめんなさい!急用思い出したので帰ります!」


 二人は私の異変に気がつき、顔を見合わせた。だが、余りに表情が真剣だったからか、何も聞いてはこなかった。

 私は二人に背を向け走り出す。


 あの人の寮までは、まだまだ遠い。私は息を切らせながらも全力で寮に向かうのだった。

ついに来ました緋桜さん!((本名違ッそれはHNやww


ちなみに性別は不明です。


【次回予告】


月華は緋桜さんらしき人を見かけ、その情報を緋威翔に知らせようと必死に走る。しかし――。

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