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blanket  作者: 璢音
ちょっと休憩休日編
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休日【緋威翔の夢】

もしかしたらこの話はまた、変わっていくかもしれません。

 今日、僕は不思議な夢を見ました。誰だか分らない人影が、僕に話しかける夢です。その舞台は、何処だか分りませんが、図書館でした。沢山の本、高い本棚に囲まれたその場所で、僕は一人で本を読んでいるのです。その本の題名は、「緋色のテディベア」でした。

 これは、夢を見る前に僕が読んでいた本です。ただ単に、僕が行った本屋で気になり手に取った本でした。作者は緋桜という人ですが、僕はそれが誰だか知りません。


 人影が僕にだんだん近づいてきます。気配はするのですが、足音はしません。僕は後ろが気になり振り返ります。しかし、そこに人はいませんでした。首を傾げてあたりを見回すのですが、やはり人は居ません。気のせいかと思い、また読書に戻ります。すると、何やら声が聞こえて来るのです。


「この本、読んでくれたんだね。嬉しいよ」


 中性的で、男性か女性かは分りませんでした。声はか細く、僕に囁いているようでした。僕に話しかけているのは、作者の緋桜さんのように感じます。ただ、何故読んで欲しかったのかがわかりません。僕は、あの本屋さんで一番売れているという本を選んだのです。丁度、緋色という言葉・・・つまりフィーリングでこの本を選んだのです。

 そこからすると、僕はただ、この本に魅力を感じ、本を読んだ一人なのです。ですから、作者からお礼を言われるような存在ではないですし、嬉しいとまで言われる理由もありません。


「君は、誰ですか?」


 僕は気になり、誰も居ない図書館に語りかけます。すると、少し遅れて回答が返ってきました。


「君は、誰だか知っている筈だよ」


 僕は必死に思考を巡らせ、該当する人を考えます。しかし、当てはまる人は居ません。声からして、今までに僕が話してきた相手とは違うからです。ましてや、見た目を知らない僕からすれば、判断するための材料は声以外にありません。よって、僕はこの人を知らないと判断しました。


「姿を見せてください。」


 僕はそう聞きます。すると、本棚から一つの本が落ちてきました。夢の中だからか、机に本が落下し、ぶつかったのにも関わらず、音はしませんでした。


 落ちてきた本は、やはり「緋色のテディベア」でした。ただ、あるページが開いたままで机の上に置いてあります。


 そのページには、挿し絵がありました。


「これは――。」


 月華さん、ノエルさんと見た、あの謎の色のテディベアでした。このテディベアは、挿し絵に出ているにも関わらず、文中には出て来ないので、何色かは分かりません。


「このテディベアが君なんですか?」


「そうだよ。」


 声の主、緋桜さんは僕の帽子とよく似た帽子を被ったテディベアが、自分自身だと言います。


 そう、緋桜さんが言った後、急に図書館が歪み始めました。僕は焦り、出口を探します。

 かなり先に、出口が見えました。僕はその場所に向かって走ります。その途中で、さっきとは違う声が聞こえます。


「緋威翔!!」


 それは、女の人の声でした。しかも、はっきりと僕の名前を呼ぶものでした。


図書館にあった本がバラバラと落ち、床に当たって激しい音を奏でます。


 目が覚める直前に、緋桜さんが何かを言っていました。


「記憶……が…」


 目が覚めると、緋桜さんの言った記憶という言葉がはっきりと残っていました。







 僕はこの夢を不思議に思った。会ったこともない人、つまり緋桜さんと会話したからである。いや、そう言うのは正しくないか。


正しくは、緋桜さんと思われる人物と話をした。


 この夢には、緋色のテディベアが深く関わっている事は事実。なので、内容を振り返ってみた。


 だが、その内容はいたって普通の恋愛もの。しかもノンフィクションだという。

 とある学校に通っていた男女がある事件をきっかけに仲良くなり、周りとのトラブルを乗り越えながら、愛を深めていくという内容だ。


 主人公は女性。大人しい性格の持ち主だが、周りからはあまり好かれていない。一方、恋の相手となるのは、頭が良く、冷たい男性だ。


 ここで重要になるのが、テディベアの存在。


 テディベアは、男性の姉が作ったもので、二人を繋ぐものとして作られた。


「二人がこの想いを忘れないように。」


 そう願いを込めて作られたらしい。テディベアの頭に乗った帽子も、同じく相手を思い出すようにと、弟のトレードマークとして作られたようだ。


 緋色のテディベアは、姉の手で女性の手に渡る。


 女性は、そのテディベアを喜んで受けとり、肌身離さずに持ち続けた。

 だが、その数ヶ月後。デート中に歩道橋を渡っていた二人。階段を降りようとした際に、通行人にぶつかられ女性がテディベアを階段の下に落としてしまう。


そのテディベアを取ろうとした女性を止めるようにして男性は階段から落ち、一部の記憶を無くしてしまった。


 無くした記憶は、「家族」のものだけだった。女性の記憶は残ったものの、家族の記憶はない。

 女性は、自分のせいだと責任を感じ、何とか思い出させようとひたすらに男性の家族をするのだが、一向に思い出さない。


 最後に女性が選んだのは、テディベアを見せ、あの事故の事を全て話すこと。


テディベアを見せると、彼は少し反応を示した。それを見た女性は、上手く行くと思い、話を続ける。すると、彼は手を伸ばし、そのテディベアを持った。そしてその帽子を見る事で、全てを思いだす。


……だから、緋色のテディベアが重要なアイテムなのだ。


 ちなみに、挿し絵で出てきた謎の色のテディベアは、緋色のテディベアを作っている途中のシーンと思われる場所で出てきている。


……謎は深まるばかりだ。



 僕は夢を見た後、自然に目が覚めた。悪夢を見たような焦りも、ハッ、と目を覚ますあの感じも無かった。


 辺りを見回し不思議そうに思っていると、テーブルの上にあの本があった。


 僕はもう一度本を読もうと決意し、本に手を伸ばした。

るーー((


いやぁ色々とヤバイぞ!

これは「緋色のテディベア」を別枠で作品化するしかないな!勿論、作者は「緋桜」で!

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