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blanket  作者: 璢音
第三章:戦い
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同じ武器を所持する者

 私達の前に対峙するように立っていたのは、紛れもなく晃さんだった。

 やっと見つかった彼は、私達に友好的な態度は示さなかった。そもそも、対峙するように立っている時点で友好的ではないと言える。


月華「貴方に聞きたい事が……」


 私の言葉は、彼の言葉で遮られる。


晃「君達……何故僕を追って来るんだ!」


 どうやら彼は私達がレーダーで追跡してここに来た事を知っていたらしい。……いや、今の時点では断言出来ないけれども。


 カインさん達とは一度会っているが、私達は初見だ。彼が焦るのも頷ける。


晃「乙波といい君達といい、何でここまで色んな人に追われなきゃいけないんだよ…分からないよ……」


緋威翔「……本当は貴方も薄々分かってるのではないですか?僕達はともかく、乙波さんが貴方を追う理由は」


 緋威翔さんの言葉で晃さんは動揺したのか、黙ったままこちらを見据えた。


 暫く沈黙が続く。最初に沈黙を破ったのは、晃さんだった。


晃「……乙波の事を知ってるのか……?」


 それは、沈黙の間に彼が考えていた事をそのまま述べた言葉だった。


月華「えぇ、知っています。……乙波さんと晃さんの関係も」


晃「!!」


 今彼が思った事は、表情を見ればすぐに分かった。まだ名乗っていないのに、私が名前を正確に告げたからだろう。


晃「……ははは、そういう事か……」


セイラ「?」


晃「君達は乙波の仲間だね!だから僕を追ってくるんでしょ!?」


カイン「違います。私達は貴方を保護しに来たのです」


晃「さっきもそんな事を言っていたね……でも、僕が武器を出した途端に君達も武器を構えた。あれも“保護”の為といえるの?」



 武器を所持する者を抑制する者が私達。つまりそれは相手が武装した場合のガード・武器への攻撃も仕事の内に入る。


 私達だって納得はいってない。だからこそ話し合いで協力してもらいたいと願う。だけど皆は中々理解してくれない……。


ケイン「お前が俺たちに協力してくれれば話しは丸く収まるんだぜ?お前が協力してくれないからこうなってるんじゃないか」


セイラ「この協力には“承認”は存在しません。例外を除き“強制的”に協力してもらう事になります。それでも貴方は抵抗を続けますか?」


晃「そうやって実力行使する所、あいつと一緒だ」


“あいつ”って誰の事……?


カイン「この武器達にはまだ未解明な所が沢山あります。だから武器の威力も分からない。それ故に僕達は学校で学ばされているんです」


緋威翔「でも君は、勉強(それ)をしていない。だからこそ危険です」


月華「貴方の武器がもし、暴走を始めてしまったら、どれ位の被害が出るか……それを止める為の保護なのです」


 晃さんが考えを改めてくれればそれで良い。だけどそう簡単にいかないって私には分かってる。だって彼等には解決しないといけない事があるのだから。

当の本人達が問題を解決し、気持ちが落ち着くまでは、抵抗し続けるだろう。



晃「僕は、大丈夫さ」


 彼が急に放った言葉で私達は一斉に首を傾げる。今の言葉の意味が全く理解出来ないからだ。


月華「どうして?」


晃「僕が……僕が戦える筈は無いんだ」


 さっきまで敵対心を感じさせていた瞳は、まるで色を無くしたかのようだった。強気の子が、弱みを見せた……そんな感覚。

 彼にも、乙波君と同じように心に突っかかった何かがあるのだろう。


カイン「何故です?仮にも先程私達に武器を向けたじゃありませんか」


 カインさんの報告では、武器を持った少年が晃さんだと言っていた。武器もその目で確認している。それに晃さんもさっき「武器を出したら」と言っていた。

 だが、その続きではカインさんは晃さんが「逃走」したと言っている。つまり、彼は一度も戦っていない……?


 今のカインさんの台詞でも、「武器で攻撃した」では無く、「武器を向けた」と言っているということは、彼は武器を構えただけで、能力は使わなかったという事になる。


……何故?


晃「僕は“武器を使った事がない”んだ。乙波とは違って。ただ、同じ武器なのは知ってるし、これも武器だと分かってる」


月華「何で武器を使おうと……使わなかったの?」


晃「僕は弱虫なんだよ」


 それから晃さんは自ら語り始めた。自身が何故武器を使わないのかを。


晃「……僕は逃げることしか出来ないんだ。現実から目を背けてるんだよ」


 乙波さんから逃げた事にも関係があるのだろうか?


晃「僕は、乙波から逃げるという選択をしてしまった。BADENDになるのも当然だね」


 逃げるという選択……?それって他にも何か選択肢があったって事なのかな……?


晃「あの時NOと一言でも言えたなら、HAPPYENDだったかも知れない。それこそ、自身が傷つく事になってたかもしれないけど」


緋威翔「……過去から目を背けたって、過去はずっとそこに存在する。いつかは直視しなければならない……」


 晃さんの言葉に、緋威翔さんが反応した。ぼそりと呟いた言葉は重く、深かった。


 直面している現実、それを直視出来ない晃さん、同じように“武器”と“学校”に逃げている私達……。


セイラ「BADENDなんて存在しない。だってまだ終わっていないもの。私は貴方の口から真実を聞きたい」


 シィンと静まり返った空間で、セイラちゃんが宥めるように晃さんに問い掛ける。


晃「……」


 少し納得するような顔でこちらをじっと見た晃さんは、その閉ざされた“何か”を開いたようだった。


晃「僕は――」


「「キィイィイイン!」」


全員「!?」


 さっきも体感したこの感覚。これは乙波さんの力に違いない。感情が高ぶっているのか、先程より威力が増している。


 カインさんが持っているレーダーも危険を察知し、サイレンらしき音が鳴り響いた。


カイン「……こ、これがnoise……!」


 カインさん達は始めての体験だ、noiseによる振動波を脳に直接当てられる感覚。脳を揺さぶられるような……。


ケイン「……ッ」


セイラ「なんて悲しい……音」


晃「乙……波?」


 それぞれの思いが錯綜する中、会ってはならない二人が会ってしまった。感情に身を任せた乙波くんと、戦う力の無い晃さん。どちらが有利かなんて目に見えている。


カイン「先程決めたフォーメーションで行きます……よ!」


ケイン「おう」


セイラ「了解しました」


 私達は先程の2つのチームに分かれる。私と緋威翔さんは乙波くんの担当だ。


 もし、戦う気のない晃さんに攻撃をするようであれば、止めなければならない。

 でも、今回の武器化は二人の問題でもある。部外者の私達がどうこう言える立場でもない。


私達は、どの選択肢を選べばいいのか……


 乙波くんと晃さんの争いに首を突っ込まないほうがいいのか。

 乙波くんの本音を、晃さんにぶつけさせるべきなのか。


 晃さんの過去を乙波くんに伝えるべきなのか。


 過去を精算して先に進むべきなのか。


………答えは――。

乙波と晃がついに会ってしまいました(´・ω・`)


吉と出るか、凶と出るか…

それは月華達にかかってます。


次回もお楽しみに。

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