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blanket  作者: 璢音
第二章:非武装の武器
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第二戦、Bチーム対Cチーム

○登場人物○


菅谷(すがや) 真琴(まこと)


菅谷家の長男。今は想い人の事で色々考えているので大人しいが、実際はかなり明るい。姉と妹に囲まれたせいか、たまに女装するなどの一面も。


unarmed arm→昔懐かしい物



※皆の呼び名を「名前」に統一しました(苗字呼びだったり名前呼びだったりして混乱すると思うので)

第二戦、開幕。

皆が一斉にバッ、と後ろに下がる。これは前の試合と同じ。


私は、急いで緋威翔さんと共にこの場を去る。


緋威翔「こっちです、月華さん」


緋威翔さんの誘導のもと、やってきたのは噴水広場。さっきの試合で美麩さんと静さんが戦っていた場所であり、決着のついた場所。私には重い場所だ。


私達は二人のチームを組んで行動するという作戦をとり、この状況に至る。戦えない私は、強そうな緋威翔さんとチームを組み、セイラちゃんがケインさんと行動し、残ったカインさんが単独で行動をしている。


今、宝石を持っているのは……カインさんと見せかけて私だ。まさか戦えないような私が持っている等誰も思わないだろう、という心理を利用した作戦である。


緋威翔「ここなら、視界が遮られる事もありませんからね」


月華「そうですね」


辺りには噴水と小さな花畑があるだけなので、見晴らしが良い。敵が来ても難なく気付く事が出来るだろう。


緋威翔「暫くベンチに座ってましょうか」


近くにあったベンチに二人で座る。幸い、周りに人の気配は無い。そこで、私は前々から気になっていた事を質問した。


月華「緋威翔さん、一つ質問していいですか?」


緋威翔「勿論。何を聞きたいですか?」


緋威翔さんはにこやかな顔をしつつ、快く承諾してくれた。


月華「その帽……じゃなかった。緋威翔さんって、トランプが武器でしたよね」


緋威翔「そうですよ」


月華「マジック……なぁんて出来ますか?」


緋威翔さんは不思議そうな顔をしつつ、トランプを取り出した。


やっぱりマジック出来るんだ!でもどんなマジックだろう…?よくある予告的なやつかな?


彼の手の中で、パラパラ……と綺麗にシャッフルされていくカード。その手さばきに思わずわぁ、と声をもらす。


するとパッ、と一枚のカードが飛び出す。それを彼は器用にキャッチした。


月華「そのカードは……」


緋威翔さんの手にある一枚のカード。それを彼は「投げた」


まるであの時、静さんを壁に張り付けたように。


「ガサガサッ」


草むらに投げたらしく、カードの的になった草むらが音を立てる。


「痛っ」


中から人の声も聞こえた。彼はここに人が隠れている事を知っていて投げたんだ!


緋威翔「そこに隠れていた人、出てきなさい」


優しくも、威厳のある声で語りかける。するとワサワサと草むらを揺らし、一人の男性が現れた。



月華「真琴さん!」


出てきたのは、菅谷(すがや) 真琴(まこと)さんだった。


この人の武器はまだ見てない。故に何が能力か分からない。注意が必要だ。


緋威翔「何故隠れていたのですか?」


真琴「何故って……分かるでしょ?だけど、まさか二人でいるとはなぁ……」


真琴さんには予想外の出来事だったらしく、形勢が不利だと思い、隠れていた……と。


緋威翔「…………」さっ、とトランプを構える緋威翔さん。その姿に動揺したのか、真琴さんは一歩下がった。一度攻撃を食らっているせいか、慎重である。


真琴「……やるの?」


緋威翔「場合によっては」


真琴「……そっか」


半ば諦めたような顔をしてから俯く真琴さん。深呼吸してから、再度顔を上げる。


……来る!?


真琴「じゃあ形勢不利でも戦うしかないね、逃げたくないし」


手に持っている謎の球体、そして平べったい何か。何だかは分からないが、太陽光に反射してキラキラと輝いている。



真琴「昔懐かしい遊びをしよ?」


一瞬にしてキラキラした何かを周りに投げる。私達の周りに沢山それが降ってきた。何かと確認しようとして身を屈めてみると、それがビー玉である事が分かった。


彼の武器は、ビー玉か。


真琴「ビー玉ってさ、一個一個色があって綺麗でしょ?」


楽しそうな声で、真琴さんが語りかける。確かに、色とりどりのビー玉は綺麗。赤、黄色、緑、青……

光輝くビー玉は、何とも言えない風情がある。


彼は指でビー玉を一つ弾いた。カチンと次のビー玉に当たり、更にそのビー玉が転がり始める。まるで連鎖のように次々と転がる玉。その内に、私達の周りにあったビー玉が全て転がり始めた。


緋威翔「ふむ……」


じっくりと観察している緋威翔さん。何か考えがあるのだろうか?


私は特に何もする事が出来ず、ただ、転がるビー玉を見つめ立っていた。すると、冷がビー玉に反応したらしく、飛び出した。


冷「ひー!」


飛び回る冷。たまにビー玉の上を滑るように転がって(?)ゆく。


それを見ていた緋威翔さんが、成程というように相槌を打つ。


緋威翔「この上を転がっていけば移動が早くなると」


真琴「その通り。でも君達にはまだ難しいよ?」


まるでローラースケートのようにササーッと滑っていく真琴さん。私も試しに近くにあったビー玉で転がってみようと試みる。


……が、バランスが取れず尻餅をついてしまった。


月華「痛っ……」


真琴「そんな簡単には出来ないって言ったでしょ」


無理に利用しようとしている私達の姿が滑稽なのか、真琴さんは笑った。そして意味深な事を呟く。


真琴「実はさ、他にも武器あるんだよね」


緋威翔「!?」


真琴さんは、手に持っていた何かで素早く緋威翔さんを狙う。緋威翔さんは、何とか武器であるカードでその身を守った。

緋威翔さんが持っていたカードの束に何かが刺さる。

そんな簡単に武器であるカードが突き抜ける訳ではないが、真琴さんがビー玉で加速した力を使った為だろう、その何かは全てのカードを突き抜けていた。


緋威翔「剣玉……!?」


カードに刺さった何かを見るなり、緋威翔さんは剣玉だと判断した。そう言われてみれば、糸があり、その先に球がついている。


今はその玉の部分を真琴さんが持っていることから、あの持ち手の方で攻撃したと分かる。本来玉を刺すべき場所に、緋威翔さんのカードが刺さっている。


真琴さんはカードが刺さっているのを確認すると、玉の方を引っ張り、剣玉の持ち手を引き寄せた。それと同時に緋威翔さんのカードも引っ張られていく。


月華「まさか、真琴さんの武器は昔の玩具全般……!?」


真琴「正しくは俺のお爺ちゃんが子供の時に遊んでた玩具」


緋威翔「こんなに多くの武器を持っている人は聞いた事がない……!」



最高2つの武器を持つ人は確認されている。だけど、この時点で真琴さんは、ビー玉と剣玉、そして平べったい何かを既に所持している為、3つの武器を持っている事になる。


真琴「あー、これはね。一つとして数えるんだよ。さっきもいったでしょ、お爺ちゃんが子供の頃に遊んでた玩具だって」


真琴さんは、手に寄せた剣玉の持ち手を持った。そして、玉が刺さるべき場所に刺さっているカードを全て取り、パラパラと地面に捨てる。


緋威翔「……それをまとめて一つ、と数えるのですか?」


武器を失っても、冷静さを失わない緋威翔さん……凄い。推理力も衰えてない。


真琴「そうだよ。……ところで、前から気になってたんだけど、月華さんは戦えないの?それとさ、緋威翔さんのその帽子、明らかに不自然だよね」


不自然。確かに緋威翔さんの帽子にはその言葉が合っている。無駄にじゃらじゃら付いている鎖、そして錠前。デザイン上そうなっているようには見えない。


緋威翔「帽子に関しては答えられません。僕自身余り知りませんから」


真琴「……それは残念。じゃあ保健室で寝ててよ。もしかしたら夢で理由を知れるかもしれないからね」


真琴さんの構えた剣玉が、緋威翔さんを狙う。剣玉の先に付いた玉が、振るという動作によって徐々に力を増していくのが分かる。


このままでは緋威翔さんが大怪我を負ってしまう!


私は咄嗟に二人の間に割り込んでいた。目の前に飛び出して来た剣玉の玉を見て、怖さの余り目を閉じた――。

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