策略渦巻く試合
※今回切り替わり多いです。
(名前)になってるのはそこから先がその名前の人の心情になりますです※
画面が切り替わり、鎌田家の人が映し出されていたモニターには、安西さんと輝生さんが映し出されていた。
(輝生)
安西「あぁもうっ!何で大好きな人を敵に回さなきゃいけないのっ?」
今、隣にいる安西がずっとこんな事を言っている。言っても何も変わらないのにずっといい続けるなんてこいつおかしい。
輝生「んな事言ったってしょうがないだろ…チームで勝ってその大好きな人とやらに何か命令すれば?」
はっきり言うと、もっとこの試合に積極的になって欲しいっつーか、真面目にやれって思う。
やるからには勝たないと気が済まないから。
安西「ん!」
輝生「どうした安西?」
敵チームのメンバーでも見つけたか?
安西「そういえば、今戦ってるチームに居るじゃない!」
輝生「はあ?」
安西「藤くんよ藤くん!私探しに行ってくる!じゃねっ!」
安西は一言そう言い残しどっかに走って行った。
輝生「お前もかよ…。」
これで自分勝手に行動し始めたのは二人目だ。
全く…!
ウゼェ奴ばっかだな!
(安西)
安西「ふんふんふ~ん♪」
藤君、何処にいるのカナ~っ♪
(月華)モニターに映し出されているのは輝生さんではなく、安西さん。どうやらこのカメラは安西さんを追跡するらしい。
安西さんはかなり上機嫌な様子でスキップしていた。
安西「あー、中々見つからないものだな~、うん、ここで休憩開始!」
完全な独り言を言った後で、安西さんは切り株に座り込んだ。
…その後ろの草木の影に誰かが居ることを知らずに。
(沙灑)上機嫌の安西さんを怒らせるのは嫌だなぁ…怖そうだし…。
でもまぁ、幸運なことに安西さんはまだ僕がここに居ることに気付いてないみたいだし、ここには砂が一杯ある…
このまま気付かれないように自然を装って細工をしておこうー…
安西「きゃっ!砂が目に入った!痛~いっ!」
…任務完了…。
(月華)
何のために沙灑さんが砂を安西さんに当てたのかが分からない。単なる目眩ましかな?
…でもそれじゃああんまりやる意味ないし…
うーん、気になる。
モニターはまた画面を変え始めた。
そんなに他の人を映したいのかな?
今回は…美麩さん…?
(美麩)
輝生さんと会って対戦する筈が、誰にも会えてないなんて…情けない。
(藤田「ここら辺誰も居ないよ。」)
美麩「うん。分かってる。」
藤田さんと一緒に行動するということは、ある意味私が一番重要な役割ということになる。
藤田さんの力を最大限に活かすには、藤田さんに邪魔が入らないようにする必要があるから。
美麩「皆は今、何処に?」
(藤田「雷野は校庭西側戦闘不能、右流砂は庭園任務完了、璢夷は校庭東側に移動中。無事あの二人に会えたみたいだな。」)
(月華)さっきっから美麩さん誰と会話してるんだろう?電話でもしてるのかな…
明らかに誰か居る感じがするしなぁ…。それと、美麩さん…近くに輝生さんが居るって知ってるのかな…?
(美麩)
美麩「じゃあ私はここにいよっと…」
待ち伏せついでに噴水広場にあるベンチに座る。
上を見上げると戦ってるのが嘘みたいな青空。
…あれ…青空ってこんなに青かったっけ…?
(藤田「輝生だ。」)
あ、これもしかしてゲームの中…?
だから空の青が一定なんだ。成程。
輝生「よぉ蒼藍。そっちの世界の居心地はどう?」
輝生さんがゲーム機(?)の画面ごしに見える。
輝生「今そっちに強ボス送るから、せいぜい楽しみな?」
急に目の前が暗くなり音楽がなり始めた。
聞き覚えのある音楽。
これはRPGの戦闘シーンの音楽かな。
(藤田「中にいつまで居る気?」)
美麩「飽きるまで…?」
私は非武装の武器を構えた。
美麩「私、ゲームの主人公みたいだね。」
(輝生)
…何笑ってんだコイツ、
さっき誰かとも会話してたし…
まぁいいや。俺のゲーム空間で俺より強い奴は居ないし。救助に来た仲間ごと倒してやる。
…何か気にくわないから予定変更。
コイツを送ってやるよ…!
(美麩)
美麩「何か来た。」
ゲームの世界とはいえ、かなりリアリティーがある。多分、私が世界に入り込んでるからだとは思うけど。
私は戦闘に備え、鞄を確認したが、アイテムは入っていなかった。
輝生さん、本気で来てるみたい。勝たせる気0だよこれは。
まぁ、いいや。
所詮ゲームだしね。
(藤田「来るぞ。」)
徐々に近付く黒い影に藤田さんが気付いたらしい。
美麩「うん。」
体を動かしてみると、コマンドを入力しなくても体が動く事が分かった。
つまり、自由に動けるって事。
さてと…輝生さんが送って来たボスはコイツかな…
▼ まおう が あらわれた!
いきなり魔王…
とりあえず攻撃してみる。
▼ まおう は 1のダメージ を うけた!
(藤田「チート使ってるな、これ…」)
美麩「…つまんない。」
ゲームはもっとギリギリの戦いが面白いのに…
▼ まおう の こうげき!
▼みふ は 120の ダメージを うけた!
美麩「くぅ…っ!」
バーチャルとはいえ戦いは戦い。ちゃんと感覚はする。
…500位しかないHPを120削られるんだ…
これはキツイなぁ…
(藤田「しょうがないな…」)
▼? は かいふく を した!
みふ の HP が まんたん に なった!
(輝生)
…。
何っ!?誰だこのキャラ。
俺のデータには入ってない…
ハッキングか!
名前も「?」に設定してやがる…!
一体誰が…!
(蒼藍)
美麩「ありがとう、藤田さん。」
(藤田「紫綺で良いよ。」)
美麩「じゃあ…お言葉に甘えて…紫綺さん、そっちの準備はどう?」
(藤田「後少しで終わる。」)
美麩「じゃあ、皆に連絡しよ…」
(藤田「その前に、ここを脱出した方が良さそう。」)
美麩「…だね。」
(輝生)
さっきから、何故か蒼藍が行動しない。
何故だ?
魔王を倒す手立てを考えているのか?
…ハッキングしてきた奴なら、強い武器をここに持ってくることも可能な筈。
倒されるのも時間の問題って事かよ。
………ってあれ?
あいつらが消えた!!
何故だ!
どいつもこいつも何でー!!
(蒼藍)
美麩「輝生さんのゲーム、RPGから脱出ゲームになっちゃったね。」
(藤田「あいつ今頃騒いでるよ、きっと。」)
私は、自分の非武装の武器である「鍵」であの空間を脱出した。私が輝生さんにとって一番嫌な相手だという理由はここにある。
美麩「…かも知れないね。…さて、と。紫綺さん、これからどうする?」
輝生さんの強みは、「ゲーム内で能力を決められる」こと。
ゲームの外では、それは通用しない。だから、輝生さんの空間から出られる私は…輝生さんにとって厄介な相手になる訳。
(月華)
あれ、いつの間にか画面が切り替わってる…!
輝生さん…かな。
かなり悔しがってるみたい。
ゲーム機を見つめて「くそっ!」とか言ってるし。
あれ?さっき蒼藍さんと戦ったんじゃあ…、もしかして、輝生さんが負けたの…?
す…凄いよ蒼藍さん…!
どうやって勝ったんだろ…。
(藤田)
…そろそろ俺の力を使う時が来たな。
この技は発動するのに時間が掛かるからあんまりしないんだけど…まぁ、折角似たような属性の璢夷がいるしね、やってみなきゃ勿体ないし。
…さて、と。
準備は整った…!
後は俺のシナリオ通りだ。




