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blanket  作者: 璢音
第二章:非武装の武器
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お手並み拝見!

「では、簡単にルールを説明する。」


璢夷さんの声を境に皆が一斉に静かになり、耳を傾ける。

ルールちゃんと聞かないと負けちゃうもんね。


「今、俺が持っている4つの宝石を一チームに1つずつ配る。制限時間内にこの宝石を奪った班が勝ちだ。」

「その宝石を奪い合えばいいのね。」

「そういう事だ。ゲーム開催場所は、校庭から噴水広場までだ。あそこは広いから、多少暴れても平気だろう。…後、ルールとしては、相手が深手を負ったら直ちに攻撃を止めること。いいな?」


皆が一斉に頷く。


自分の身を守る為に制御方法を学ぶのであって、他人を傷つけるために力を使う方法を学んでいる訳じゃない。相手側から攻撃を受けた際の反撃は認められるだろうけど。

殺意ある攻撃から身を守る為には、そしてこの力で誰かを守る為には、防御手段を知っているだけではダメなんだと思う。


それを考えると、このバトルは意義のあるものに思えてくる。


深手を負わせちゃいけない。でも力を抜いては意味がない。難しいところだね。


「そして、この戦いトーナメント戦!順はくじで決めるよ〜」


即興で作られた宝石が袋に入れられて差し出される。

てっきり黒板にあみだくじでも書くと思ったのだけれど、違ったみたい。

あれは籤としても使われるんだ。


「どう宝石を守るかが鍵になりますね。」

「くじ誰がひくんだ?」


冷静に解析するカインさんと、籤に興味を示すケインさん。


宝石の守備以前に、どのチームと当たるかって結構重要な気がする。

ここはリーダー役の人に引いてもらいたいところだけど・・・。


緋威翔さんがこんな提案をしたのは、私が考えごとをしている最中だった。


「月華さんが引くのはどうですか?」

「へ?」


素っ頓狂な自分の声が聞こえる。

緋威翔さんの放った言葉が頭の中に反響して何度も繰り返された。


私が・・・籤を引く大役を?


「うん、賛成。」


…え?


「ちょっと待って!私、とーってもくじ運悪いよ!?」


何とか引くのを免れたいなぁと思い、必死に反論してみる。

だけどその思い空しく結局私が引く事になった。


だって私以外の人はみんな賛成しちゃってるし、何を引いても気にしないと私に言ってきてくれたし・・・何より、私は押しに弱い。

みんなの意見を押し返すのは、さっきのでやっと。


それで無理だったんなら、諦めるしかない。


私は籤の入った袋を持つ人のもとへと向かった。


「ではこの箱の中から1つずつ宝石を取ってくれ。宝石にはAかBと書かれている。同じアルファベットの班と対戦だ。」


なんか責任重大だなぁ・・・こんな大役、私がやって良かったの?

でもここまできてしまった以上、もう覚悟を決めるしかない!


…えいっ!!


私は勢いよく籤を引いた。


えーと、“B”の青い宝石?

ラピスラズリっぽいけど・・・あまり宝石には詳しくないのでわからない。


「Bのチームって…何処?」

「あっ!私達の所です!」

「なら…A対D、B対Cだな。」


政宗さんが私と同じアルファベットの書かれた赤い宝石を持っているのが見える。

あれはルビーかな?それともガーネット?

とりあえず、私たちの班は政宗さんの班のメンバーと対戦することになったらしい。平和主義者っぽいメンバーが(政宗さん以外にも)いるけれど大丈夫なのかな?


「Aの宝石のチームが先だろ?」

「なら僕らは後ですね。戦いをじっくり見ましょうか。」


Aと書かれた赤い宝石と、青い宝石を持つ両チーム代表。

Aチームは璢夷さんが持っていて、Dチームは今のところ聖夜さんが持っている。


うーむ、A対Dかぁ・・・。

何となくAチームが有利な気がするけど、どっちのチームが勝つんだろう?


私は呑気にそんなことを考えながら、外に向かう両チームメンバーの背中を見ていた。


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