マジックショー?
○登場人物○
孤中 緋威翔
冷静かつ優しげな青年。
緋威翔がかぶっている赤い帽子には何故か鎖や錠がついている。
服は茶色でスーツっぽい。
ネクタイは赤。ワイシャツの襟には赤い翼のマークが入っている。
髪は、黒に赤のメッシュ。
右目は黒、左目は赤に黒の十字がはいっている。
(設定が詳しい理由は、私があるチャットでオリキャラとして既に登場させており、イラストもあるからです。性格もかなり安定しています。)
「…」
皆黙って注目する先は、孤中さんの帽子。
鎖や錠がついた帽子を見て、いかにも怪しいっていうことであれがunarmed armじゃないかなって思ったんだと…いや、気になっただけかな?
頭、重くならないのかな。鎖とか凄く重そうなんだけど。
「僕のunarmed armは…」
手慣れたように懐から取り出したのは一式の「トランプ」だった。
…帽子じゃないんだ、がっかり。
トランプは市販のものとは柄が違う。
緋色に金の鎖の模様がついた、帽子に似た雰囲気を纏うカード。
特注品だったりして。
「そのトランプが?」
興味と蔑みの浮かんだ声で静さんが言った。
『紙製か?プラスチック製か?』と何故か愉しそうに言っている。
どうでもいい話になるけれど、トランプは小さい頃から慣れ親しんだゲームだ。
よく家族と七並べとかババ抜きとかをしたっけ。
ババ抜きは苦手ですぐ持ってるのがバレてしまうから、ジジ抜きなんかにして分からないようにしたりして。
それでも祖母や母に勝てなくて、騒いだっけ。
今思えば、いい思いでだなぁ。
私の家で使っていたのは紙製のトランプで、パララララってやるやつは出来なかったなぁ。何度も挑戦してカードに折り目をつけちゃったりして怒られたっけ。ふふ。
なんて呑気なことを考えている間に、教室の空気は変わっていた。
「その身に受ければ解るのでは?」
「ほほーう?じゃあ受けてみようか。」
堂々と、「武器」だと宣言しているものを「受けてみる」という静さん。
ありえない…。
そして、静さんが受けてみようかといい終わった瞬間、緋威翔さんは手に持っていたトランプを素早く投げていた。
そのトランプは見事、静さんを壁にくっつける。
まるで忍者が手裏剣を投げて敵を壁にくっつけるように。マジックで人にナイフを刺さないように的を狙う技のように。
貼り付けられた静さんにトランプをもう一枚投げる緋威翔さん。そのカードは完全に静さんを狙っていた。
「…何でこのカードがはずせないんだ!?」
力を入れれば簡単に外れると思っていたのだろう。余裕の表情を見せていたのが一変し、焦る静さんを助けようと皆動き出す。
「…気持ちの問題ですよ。」
余裕の笑みでいう緋威翔さん。
「君は少々生意気を言い過ぎです。次は貴方に刺しますよ?」
もうトランプは静さんの近くまで迫っていた。
攻撃を防ごうにも…間に合わない!もしかして本気で彼を…!?
「…なんてね。」
なんてね、の声で皆が一時停止した。
カードは静さんの目の前でヒラリとただのカードに戻る。そのまま床に落ちた。
「焦ったでしょう?」
「…別に!」
くすくす笑う緋威翔さんに、内心はらはらだった筈の静さん。
強がりなのは見え見えだけど、安心した。
やがて静さんを壁にくっつけていたカードもはずれ、緋威翔さんはそれを見届けトランプを拾い、席に戻って座った。
あの人戦ったら凄く強いんだろうな。
ん?待って。結局能力はなんだったんだろう。
マジックみたいなのに魅せられてすっかり忘れてしまっていた。
カードの硬化とか、投擲のスピードがあがってるとか、捉え方は色々ある。
うーん、どれなんだろう。
皆もさっきの一件を話しているようで、質問などはおきなかった。
「次、十文字!」
「はい。」
当然先生は次の人を呼ぶ。
良いのかなぁ。能力のこと、あまり詳しく言ってなかったけれど。
でも能力を発動させたのは間違いないし、制御も出来てるはず。じゃあ、いいのかな?
そんな事を考えつつ、次の人の発表を待った。
普通の学校発表会があんな事になるなんて、全く考えてはいなかった。
今回は緋威翔君のunarmed armの発表でしたね。
緋威翔くん、かなりキャラが安定しています。
ちなみに、初期設定(チャット内)では、静くんは黒い翼、緋威翔くんは緋色の翼…という設定でした。
折角なのでどこかで使うかもしれません。