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blanket  作者: 璢音
第一章:始まり
1/139

姫の決意、平和への祈り

【unarmed armとは?】


直訳→非武装の武器。


元は武器で無かった物であり、人の負のエネルギーが作り出してしまった負の遺産。


その武器の所持者の一番大切な物(又は、執着した物)が武器化した物である。


武器の能力は人それぞれ。



【その他】


非武装の武器を作り出してしまう人には共通点(原因)がある。


・トラウマがある


・ストレスがたまっている


・本音を言えない


…etc。


☆その原因を取り除いてしまえば大体の人は非武装の武器が元の物に戻る。


だが、中には原因を取り除いても武器化が解除されない人や、非武装の武器を2つ持っている人もいる。


☆非武装の武器は、力の制御が出来ないと暴走してしまう為、制御出来るように政府が学校を作った。



「どうにかして街に平和を…」


姫はこの国がどうしたら平和になるのかを考えていた。

浮かんでは消えていく案と消えない不安。

焦りを浮かべた彼女は母親の形見を握りしめる。


「ならいっそ、武器を消してしまうのはどうです?」


ベッドのカーテンの向こうで議員の一人が呟く。

あぁ、そうするしかないのだろうか。

私には国民を幸せにすることが出来ないのではないか。

民の為にと私がしたことは果たして正解だったのだろうか。


民に直接聞くことが出来たならどれだけいいだろう。

人々が悲しむ理由を、苦しむ理由を私が知ることが出来たなら。

彼等の言いなりになんてならなくてもいいのに。


「貴女様にならできる筈でしょう?」


姫はゆっくりと頷いた。


そう、彼女には出来る。この国では稀な強力な魔力の持ち主だからだ。

彼女の手にかかれば簡単なこと。


「貴女様の力を使えば…武器は消え、争いは小さくなる…そうでしょう?」


「さぁ…準備を。」


迷う彼女を導くようにもう一人の議員が呟いた。


「えぇ…」


姫は重い腰をあげベッドから降りた。簡単に支度をすませると先程ベッドから降りた時とは比べものにならないくらい素早く移動する。否、テレポートしたのだ。

議員を残したまま先に広間に来た姫は落ち着くために深呼吸を一つ。


白い柱に囲まれた大きな広間は度々儀式や魔法を行使する際に使っている。そのせいかところどころに姫の魔力……目には見えないし、素質がある者にしか分からないーーが光の球のようにふわふわと浮遊している。

姫はそれを目で追いながら指先を軽く動かした。


空間に漂う光の球のように指先から魔力を放出される。

見事なまでの淡い光に目を移し二人を待つ。


広い空間の中に一人となれば、嫌でも色々と考えてしまうものだ。

彼女もまた、そうだった。


彼女の母は争いごとを嫌った。そして平和を望んだ。

民の幸せな笑顔が見られるのなら、自分さえも捧げられる程に民を愛した。

民は応えてくれた。今彼女がこの豪華な城に住んでいるのも、彼らが義務をはたし快く納税をしてくれるからこそだった。


『貴女には幸せになってほしい。私らを幸せにしてくれたのは貴女達だから。その為ならば私たちはどんなことだってできる。』

『平和に過ごせるのならば煌びやかな服も、豪華な食事もいらない。国の象徴である貴女があるべき姿を保つために協力は惜しまない。』


愛し愛された女王は、まさにトップに立つ者の鑑だった。

私も母のような女王になれるだろうか。

限りなく白に近い、女神のような存在に。




姫は今、決断を迫られていた。


隣国では戦争が勃発していると聞く。

このままにしておけばこちらに飛び火する可能性もある。

何よりも……彼女…姫には、心配する人物達がいた。

戦争に巻き込まれることになった哀れな善人達、火種となった友人、そしてその友人の愛する人、そしてーーーーーー。


彼らの事を想うと、胸が張り裂けそうだった。

この国の姫であり次期女王である以上、この国から離れ戦場に行くわけにはいかない。

この国には軍隊はいない。派遣をすることも当然不可能であるし、この姫がそんな事を出来るはずもなかった。


こうするしかないのだ。


彼女は選択をした。自分たちのいる世界を平和にする為に、そして大切な人々を救うために。例えそれが、自身を脅かすものになるとしても構わない。


決意を固めた彼女の瞳には、強い光が宿る。


暫くしてから徒歩できたと思われる二人がこの広間にやってきた。


さて準備をというように姫を中心に二人が詠唱を始める。

これは結界魔法だ。姫が他の人に魔法詠唱を邪魔されないようにするもの。

姫は光の壁に囲まれたことを確認すると床に向かって指先で魔方陣を描き、

呪文を唱え始める。


どこの言語かわからない。不思議な抑揚。

議員の二人は耳を傾けたが何を言っているのかが分からない。ただ不思議と包まれるような温かい感覚がした。母の胸に顔を埋めている子供のように微睡みに支配されていきそうになる。


二人が眠ってしまいそうになっている間に魔方陣は力を貯め光りだし、

一定の光を溜めてから一瞬眩い光を放つと、光を失う。……魔法は成功したようだ。


姫はかなり力を消耗したのか静かに目を瞑り呼吸を整えている。


「成功ですね、姫様。」


疲労した姫を見て議員はにっこりと笑う。

その表情には何かを達成した喜びと底知れぬ闇が混じっていた。


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