プロローグ 2
○12月下旬―――手紙
叔父の知人さまへ
呼び名を宿題といわれて、申し訳ないことをしてしまいました。
そういえばいつも、あなたさまとか知人さまとしか言ってなかったかもしれません。
本当にすみません。
今回、呼び名を悩みになやんで、手紙を送るのが長引いてしまいました。
あしながおじさんを読んでいて、きっと教えてもらったヤマダ タロウさんという名前は偽名だと思うし……
ジョディはあしながおじさんのことを、ハゲでもしわくちゃのお爺さんでも~みたいなことを書いていて(はっきり言うジョディはすごいと思うのです)、当時にとっては中年でしょうが、現代ではお兄さんとも呼べるような年代の方だとわたしは思うのです。
だから「おじさま」とも呼べないし……そもそもあしながおじさんとして一回、出会えた(すれちがった?)から「あしながおじさん」と名付けたんでしょう。
わたしは一回もわたしを助けてくれた「あなたさま」として会ったことがないので……あなたさまのイメージがないのです。
叔父と同じぐらいの年代だろうと、あなたさまを叔父でイメージしようと思いましたが、あなたさまに失礼だろうと感じましてやめました。
叔父をきちんと知っているのならば、わかるはずです。
それなのに、わたしはうっかりしていて叔父に呼び名について相談してしまいました。
「紫のバラの人でいいじゃねえか」と言われましたが、その呼び名の元がよくわからなかったというのもあります。
しかし案の定、あの半笑いがやけに鼻についたので、いい呼び名だったのに残念だと思っていたのなら申し訳ありませんが、その呼び名はやめました。
わたしの理想とする方……というのも、あまりピンときませんし、好きなもので呼び名を決めるというのも、おしつけがましくありませんか?
この期に及んでまだ悩んでいるわたしです。
1月にはきっと呼び名を考えますので、それまで楽しみにしていてください。
メリークリスマス!
鈴より。
○1月上旬―――手紙
あなたさまという呼び名改め
エイギさんへ
あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
あなたさまの呼び名を、エイギさんにしようと思いました。
由来は、叔父にクリスマスプレゼントでもらったDVDが、思いの外はまってしまったからです。
色々調べるうちに、好きなものでもあり、名前のようだとも思いまして、エイギさまとさせていただきました。
何のDVDを観たかということなのですが、エイギさんは「プリンス&プリンセス」ってご存知ですか?
どの話も好きなのですが、わたしは特に魔女の話が好きです。
お城の中のシーンが素敵で、とても感激して、何度も見ました。
まだ観ていないのでしたら、是非ぜひ、観てみてください。
今日はいつもより文章短めですが、ご了承ください。
鈴より。