秋のおとズレ
従来の日本の気候は、春夏秋冬の四季がはっきり分かれていて、季節の風景や食材、イベントが楽しまれていました。
が、最近は夏と冬の期間が伸びて、春と秋が短くなっているように思われますね。
森の中でクコの木が赤い実をつけていた。
小さなタヌキくんと、頭に王冠のようなものを乗せた白いおサルさんがいる。
二人は、せっせとおダンゴをまるめていた。
「んとね。白猿さん。これはお月見でお供えするダンゴだよね」
「そうだよ。子狸くん。穀物の収穫時期に、お米のダンゴを月にお供えして、豊穣の感謝して翌年の豊作を祈るんだ」
「んとね。それはわかるの。でもね。ぼくは、お月見って9月にやるものだと思ってたの。今は10月なの」
「お月見は、中秋の名月の夜にやるものだ。これは旧暦の8月15日。今のカレンダーでは9月中旬になることが多いけど、2025年は10月6日なんだな」
「どうして、今年はズレてるの?」
「2025年の旧暦では『うるう月』と言って、6月が2回あったんだ。だからズレている。2017年と2020年も、中秋の名月が10月になってたぜ。うるう月については、以前にもお話ししたんだよな」
参考『世界うるるん、時の旅』
https://ncode.syosetu.com/n9072hz/
「そうだったんだ。ところで、お月見の日を十五夜って言うんだよね」
「月の見かけは、『新月』『上弦の月』『満月』『下弦の月』となってまた『新月』になる。この周期は29日半だ。新月から数えて十五日目が満月になる。毎月あるものだけど、通常は『十五夜』というと旧暦8月のものをさす」
「その日の夜にお月見をするんだね」
「地域によっては、『中秋の名月』の翌月の十三夜にもお月見をやるところもあるようだ」