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第9話 意外と買い物上手??


「奈月、キノコ嫌いか?」

「? ううん、特には」



 刻みご飯でも代表格のそれは、小さい頃は集合体恐怖症みたいに見えて嫌ってはいたが。だんだんと味のあるそれに、稀に松茸をと父親が奮発してくれた時は重宝したものだ。



「んじゃ、包丁はまた今度にして。キッチンハサミの良いの買って……蒸し野菜風におかず出来んの、教えてやるよ」

「……手慣れている?」

「動画とかで、見てっと食いたくなったのがきっかけだけど……ハマった」

「そ、そう」



 最後の真剣な言い方には、沼にはまった勢いを感じ取れ……奈月は大人しく、他の好き嫌いにも素直に答えていく。



「肉は豚もいいけど、鶏と半々も食感変わって美味いし。さっぱり系が好きなら、味付けの種類は柚子胡椒もいいな? ちょい高いけど」



 これな、と見せてくれた棚には『パスタソース』の並びでしかなかったが。言われてみれば、味付けだけが欲しい場合……自分で合わせるのが大変だ。奈月は料理を一切したことがないので、アレンジにしても便利だと思ったくらい。



「キノコはなんでもいいの?」

「んー、えのきの方が結構買えるし。しめじも好きなら、そっちもおすすめ。青菜で香り苦手なら、小松菜がカルシウム多い」

「まずは、君のレクチャー通りにするよ」



 油は買う必要があるかと聞けば、ちっちと雅博は指を左右に振った。



「料理初心者抜きに、俺がこの方法をおすすめすんのは。油が既に入ってっから、わざわざ入れる必要ないんだよ。物足りないんなら、慣れてから足してみろ」



 なので、彼がこれな、と。小さめのノンコレステロールとやらの油ボトルをカゴへ入れる。そのサイズなら、たしかに使い切りしやすい。



《こういうのをメモするのに、ステータスの中のメモ機能を使うといい。スクショ機能を教えてあげよう》



 宗ちゃんの説明によると、木枠のように手で動作すれば導入されるという優れ物だった。現実世界に、是非欲しいデバイスだが磁場の乱れが格段に上なので慎重に行こうとも決めた。


 この様子をスタッフが見ているのなら、国外特許と同じ申請書類を今頃作成しているかもしれない。



「あ、そだ。肉で思い出したけど。ラム肉とか食えそう?」



 ステータスの機能に奈月が感動していたら、雅博が別の話題を挟んできた。



「いや、そもそも食べたことないかな? ジビエも入れると、あんまり」

「今夕方だろ? セールで切れ端のパックが値引きされんだよ! 美味い保存法教えっから、行こうぜ!」

「あ、う、うん?」



 主婦というか、自活している上でセール品はたしかに大事だが。目が獲物を狩るハイエナに見えかけて、グラサン越しでも怖いと思いかけてしまった。


 そのまま、肉コーナーまで引きじられて、二人で四パック獲得。調理は奈月の家でと、荷物をふたりで分けて持っていたところ。



「……お隣さん?」

「…………俺もバイトしてたし、気づかなかった」



 スタッフの誘導だったとしても、頼もしい限りだと嬉しく思う。


 なので、ジュース類は雅博が部屋から持ってくると言い……奈月は完全にひ弱でないが、少し重いマイバックを引きずるようにして中に入れるのを頑張った。

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