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第27話 シェルターの核について

次回は月曜日〜

 咲夜との交流は、まずは登下校から始めた。


 住所は奈月と雅博のマンションからは少し離れていたが、奈月の健康改善も含めて徒歩で迎えに行ってからの合流。


 帰りも余程用事が無ければ、送ってあげたりこちらの部屋に来てもらったりと。どう見ても、付き合いたてのカップルと同じ行動パターンでしかない


 しかしながら、まだ付き合っていない。


 救難活動としての、シェルターでのパートナーとしての契約を結んだだけの関係だ。奈月が、意識では自分の現実世界での生活が長過ぎたため、感覚が鈍いのもある。


 初恋通り越して、コミュニケーション能力が乏しいのだ。雅博との接触がなければ、こちら側で『学生生活再開』も叶うことがなかったが。そこへの誘導はスタッフが意図的にしてもおかしくない。



(……と言っても、咲夜と本質的に結ばれるわけ……ないか)



 この世界での『加東奈月』には、いずれ肉体を返さないといけない。今はただ、互いの並行世界での救難活動をしているまで。同じだけど、違う存在である互いのパートナーを傷つける行為はしたくないのだ。


 咲夜を選んだのも、こちらの奈月の本能かもしれないと信じている。



「あの、今日もおやつどうぞ……」



 それなのに、咲夜はその事情を知らないせいか。


 奈月を餌付けしたいのか、単に気にかけてくれているからか。お菓子作りが得意だからと……奈月とのランチタイムで、いつも手作りのお菓子を出してくれるのだ。


 スフレ系も多いが、たまには和菓子も。正直言って、どれも完成度が高くて美味しい。胃袋を掴まれた感が半端なく、罪悪感が募る一方だった。


 現実側にいるはずの、こちらの奈月は逆に咲夜を確保しているのか。その上で、現実ではこんな『彼女候補』が待っているのだと突きつけられているのか。


 しかし、本気で美味しいので毎回リスが餌付けされるように……味わって咀嚼しているのだった。



「ありがと。ところで、まちゃから聞いたけど。シェルターの核に俺のAI使っていいの?」



 結局、雅博をそのあだ名で呼ぶのも、早いうちに決まった。咲夜は呼ばないでいたが、メメの方はちゃん付けで呼ぶくらいの仲になっている。


 ともあれ、シェルターの本格的な作業を行うのに、宗ちゃんを使用する必要性が出て来たのだ。



「あ、うん。奈月くんがその段取りしてたの。早いから、びっくりしたよ。……普通、パートナーが決まってから、どちらかの端末をシェルターの核にするんだけど」

「アクセとかじゃなくて、『フィギュア』とか『人形』にしたから?」

「うん。私も、お気に入りのぬいぐるみは用意してたけど」



 自分のためだけに、宗ちゃんを改造しただけだったが。思いもよらないところで、役に立つとは……きっかけはなんであれ、なんでもしておくべきだった。


 ちなみに、その宗ちゃんのフィギュアは今日持参済みだ。

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