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第19話 宗ちゃんの改造のため

《ほう? ボクをデバイスとしてでだけでなく、『確立化』させようと?》

「うん。どこの『俺』でも、共有出来るAIがあれば……並行世界の地軸のひとつにもなると思うんだ」



 シュミレーターのコンテナに入る前の、『自習していた記憶』がぼちぼち戻った奈月は……実のところ、少々焦っていた。


 こちらの世界でも、五年以上前から大きな自然災害が大陸各地で起こり……一部は移民を補えないほどの戦争まで発展していたのだ。


 やはり、技術革命は起きていても災害ばかりは自然の摂理。


 そして、人口爆発に伴う、動物本能による奪い合いが『生きる場所』とくれば。


 1999年であれ、一気に未来技術が爆発するのも道理でしかない。おそらく、現実側の2020年代の感染症問題も同時に起こったのだろうが。端末を通じての情報関連に、そう言ったのはなかった。


 であれば、『未来技術の端末強化』を今の奈月なら少し補えるに違いない。


 AI、曰く、未来技術が詰まったロボットにすればいいのだ。


 某国民アニメの見過ぎかもしれないが、結局は資源が足りずに『見てくれ』のロボットぐらいしか現実では実現し難い。


 しかして、こちらは端末強化を市販のアクセサリーに組み込むことから、設定可能の世界だ。


 宗ちゃんにはそもそものIDとしての、擬似AIになっているので。外側をきちんと作ってやればいい。


 現実側で、奈月が自身をアンドロイド化させたように。『人形』で組み替えてやればいいことだ。幸い、こちらの世界では少し資金を工面するだけで可能な範囲の技術だった。


 と言っても、片手の指全部も要らないとは、技術者を多く雇い入れる姿勢を変えた対価なのだろうか。



《ボクをロボット人形に組み込む……。端末の一種にわざわざ……か? しかしながら、君のも似た状態。出来上がれば、他所の『ボク』とも繋がるかもしれないのか?》



 不思議そうに見ていた宗ちゃんだったが、ホログラムではないきちんとした媒体があるのは少し嬉しそうだった。おそらく、奈月が作業し始めた段階で他所の並行世界側の彼が『同化』の作用を起こしているのだろうか。



「RPGで、機体設計とか碌にしてこなかったけど。初心者でも、できるだけ丁寧に作るよ」

《ははは。期待しておこう。であれば……ふむ。ボクのIDから機材の連携が出来るようになっていたらしい。冷凍物ですまんが、食事の準備をしておこうか?》

「助か……え? 俺、もうこれだけで影響か何か作った??」

《一点限りでも、誤差を生むのはそんなきっかけなのだろうよ。雅博の方では『これも普通』に誤認されてるだろうさ。我々は時間軸が少し違うので、そこは影響され難い》

「……なるほど」



 まだ、人形のパーツで大きい箇所を半分に割っただけで……微々たる影響が出ているのならば。むしろ、『シェルター導入』の大きなきっかけすら奈月がVRしてきた事での影響かもしれない。



(……あんな極寒。出来れば、避難が終わったあとでならいいけど)



 氷河期を終わらせた世界が、果たして住めるかどうかの技術革命も……どこかの並行世界で起きて欲しい。逆に、現実側で起こすにしても、まだシェルターの技術を宇宙で展開する費用なんて誰が組めるのか。


 まずは、手元の作業に集中することにした。ずっと昔、奈月の祖父から教わった人形の中に作る『宝箱』の要領だけども。

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