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第二話 現状

物凄く久しぶりの更新になります!

(一年ぶりにならなくて良かったです!)

評価やブクマなどありがとうございます!

マイペースに続けていけたらと思っています。

 


「…………」


 ピレアの言葉により、その場に居る全員の視線が俺へと向く。何故、俺の方を見るのだ。話題のアーノルド王太子殿下が、俺が居るテラス部分に居るのかもしれない。


 すると近くのテーブルにワイングラスが置かれていることに気が付く。良く磨かれたワイングラスに自身の姿が映り、その姿に思わず固まる。金髪に赤い瞳の男。ワイングラスに映った自身の姿は『聖女の調べ』という乙女ゲームの登場人物だ。俺はこのゲームをやり込んでいる為、このキャラクターが嫌でも誰だか分かる。悪役王太子のアーノルド王太子だ。

 ピレアが俺を見上げて、勝ち誇った理由が分かる。


「……っ」


 自身の姿を確認すると、頭の中に複数の映像が流れる。それは俺がアーノルドとして生きてきた記憶だ。そのことに息を詰まらせる。

 ゲームの中では、悪役王太子のアーノルドは、この進級パーティーでクラリスを断罪する張本人だ。偽聖女のピレアに唆されて、クラリスを断罪する。そしてピレアの言われるまま、弟や忠臣たちも邪魔者として排除するのだ。盲目的にピアレを愛する、完全なる悪人である。

 ワイングラスに映る俺の表情は鉄仮面であるが、内心は大慌てである。鼓動が五月蠅く、背中に伝う冷や汗が伝う。これは夢ではなく、現実だと嫌でも教えてくるのだ。

 そう考えると、俺はアーノルドとして生まれ育ち、急に前世を思い出したということになる。如何して、前世を思い出したかは謎であるが、アーノルドとして此処に居るのは都合がいい。

 折角だ。原作改変させてもらおう。


「…………」


 俺は決意を固めると、階段を降りる。ピレアは俺がクラリスを断罪する為に動いたと、笑みを深くした。


「兄上っ! クラリス姉様に! この様なことを指示されたとは何かの間違いですよね!?」

「騒がしい」


 弟であるロビンが、俺に意見をする。この場において、俺に続いて地位が高いのがロビンだ。唯一、俺に声を上げることが出来る人物とも言えるだろう。階段を降りきると、ロビンの言葉を冷たく止める。


「……っ!? 兄上! クラリス姉様を遠ざけ! ジェイドやケビンも護衛騎士から外して! 一体何をお考えなのですか!? 最近の兄上の行動はおかしいです!!」


 俺の言葉に目を見開くが、ロビンは怖気づくことなく更に俺に追求する。10歳でありながら、勇敢であり正義感に溢れる良い弟だ。だからこそ、俺は演じなければならない。俺はロビンの目の前に立つ。


「兄である。私に意見するというのか?」

「……なっ!? いいえ、兄上っ……」


 感情が乗らない様に注意しながら、平坦な声でロビンを威圧する。身長差もあり高圧的になり、悔しそうな表情をするロビンに心が痛む。本当は事情を直ぐに話して安心させてあげたいが、現状がそれを許さない。何よりも、クラリスやロビンたちの安全確保が最優先だ。


「ならば、大人しくしていろ」


 俺はロビンに釘を刺すように、肩に手を置いた。そして周囲に気づかれないように魔法を発動する。


『ロビン。クラリスの傍に居てくれ』


 触れた対象者にだけに、言葉を伝える魔法だ。周囲に怪しく思われない様に、短く要件を伝える。そして手を直ぐに話す。


「……っ! ……は、はい……」


 ロビンは俺の言葉に頷くと、クラリスの傍へと下がった。その表情には緊張感を感じているが、瞳は明るく輝いている。如何やら俺の意図を汲んでくれたようだ。出来た弟である。


「さて……クラリスの処遇についてだったな……」


 俺は平坦な声で、状況を問う。これから俺はピレアの協力者のふりをして、クラリスの断罪を回避する。そしてロビンや忠臣たちの生存ルートを確保するのだ。だが、俺の計画を周囲に知られるのは大変不味い。その為、ピレアの思い通りに行っているふりをするのだ。


「はい! アーノルド王太子殿下。クラリスは偽物なのに大聖女と噓を吐きました。王太子殿下や国王陛下そして、この国の民を騙していたのです!」

「それに加えて、本物の大聖女であるピレア様を疎ましく思ったようで、大聖女であるピレア様を虐めていたのです! 他の聖女たちも虐めていたようです! アーノルド王太子殿下には、罪人クラリスへの厳罰をお願い致します!」


 先程、クラリスとロビンに対して、暴言を吐いていた男たちがクラリスの悪行を告げた。その表情は自信に満ちているが、瞳が酷く濁っている。語る言葉に熱はなく、文字の羅列を読み上げる機械のようだ。


「そうか」


 男たちの言葉に短く答えた。俺はゲームをクリアしている為、クラリスが無実なのは知っている。男たちの言葉に怒りを覚えるが、衝動的にならないように耐えるしかない。此処でクラリスの味方をするのは簡単だ。だがそれをすれば、クラリスが危険になる。

 怒れるピレアが、クラリスに危害を加える可能性が高いからだ。それは絶対に避けなければならない。その上で、クラリスの冤罪を晴らしピレアを捕らえる。それが一番いい方法だ。


「アーノルド様っ!」


 今後のことを考えていると突然、ピレアが俺に抱きついてきた。




マイペースに不定期更新になります。

お読みいただけましたら、嬉しいです!

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