あなたたちの存在が日本の【緊急事態】です 岸田首相「憲法改正」を指示へ
筆者:
ご覧いただきありがとうございます。
実は22年7月にも似たようなことを書いたんですが――自分でもややこしいと思ったんでもう1回リベンジします(笑)。
質問者:
緊急事態条項って改めてどういうところが問題なんですか?
災害などに対応できなければ問題だと思うのですが……。
筆者:
確かに今の日本に緊急事態条項が無ければ迅速な災害対応などは難しいかもしれません。
しかしながら、いま議論されている日本の緊急事態条項はそれ以上のマイナスの要素を孕んでいるんですね。
自民党2012年案をベースに問題点を分析しますと、重要なトピックスとしては3つあります。
1 “緊急事態“の定義が不明
2 無限に任期を伸ばすことができる。参院の意味なし
3 海外と違って「安全装置」が無い
と言う感じですね。
質問者:
そもそも、緊急事態条項が適用されることが起きた際に、いったいどういうことが起きるんですか?
筆者:
2012年自民党案の99条によりますと、
・内閣は、法律と同一の効力を持つ政令を制定できる
・内閣総理大臣は、緊急の財政出を行い、地方自治体の長に対して指示を出せる
・国民保護のために発せられる国等の指示には、従わなければならない
・衆議院は解散されず、国会議員の任期および選挙期日の特例を設けられる
と、4つの政府の権力強化の効果があります。
特に3つ目は国民に対する義務化の規定になっており、
国民が指示に従わない場合には罰金や拘留、財産没収などの処置がとられる可能性があることから権利を侵害されてしまう恐れがあるのです。
質問者:
なるほど、そこまで政府の権力の拡大の可能性があるのですね。
まだ今回の素案は分かりませんが内容次第では本当に危ないのですね……。
筆者:
まず1つ目の問題ですが、「緊急事態」というのは政府が認定するわけなんですがその定義が不明瞭です。
そのために2や3とも関わることなんですけど、過度に政府が危機を煽りまくって
「緊急事態」と言うことにしてしまえば無限に権力の拡充を行えてしまうわけです。
また多くの場合はこれらの「緊急事態」の中で一番重い“戦争“に標準を合わせているのですが、実情は災害や感染症、内乱と認定されても発動するために状況に合わせて細かく規定していく必要がある内容なんですね。
それについては、わざわざ憲法改正をせずとも新型インフルエンザ等対策特別措置法や災害対策基本法や関連法整備によって対応可能とも言えるのです。
それで今の法案で対応できないというのは、政府の不作為(怠慢でやっていない)であり、憲法に規定するかどうかの話ではないはずです。
この個別法について議論していくべきなのです。
質問者:
なるほど、まずは「緊急事態の定義」が注目ポイントなんですね……。
筆者:
次に衆院の任期を“緊急事態”と言うことにして、実質的に“無限”とすることができます。
衆院の期限を延長するのではなく、
本来であれば参院が6年任期、3年半数改選なのでそれを活かしていかなければそれこそ存在意義が問われます。
政府としては「投票ができない懸念がある」としていますが、
本来であれば、いかなる緊急事態でも投票ができるようにネット投票などの整備に全力を注げばいいのではないかと思われます。
単なる権力増強のための方便にしか聞こえません。
岸田首相が支持率が低下しているのに随分と余裕そうなのも、
もしかしたら緊急事態条項による“任期無限の政権”を実現できると思っているのかもしれませんね(笑)。
質問者:
確かに……なんだかおかしいような気がしますね。
筆者:
最後に「安全装置」の議論がされていないんですね。
95%以上の国が緊急事態条項を創設しているということが、推進派の大きな理由としてあるのですが、それらの国々にはこの条項を乱発しないように“安全装置”が付いています。
特に政府が認定するので第三者である裁判所の判断が必要となります。
日本においては憲法に対しての判断を下す専門の「憲法裁判所」がありません。
質問者:
普通の裁判所ではダメなんでしたね……。
筆者:
ええ。現在の最高裁では内閣総理大臣が指名しているのでほとんど役に立たない可能性が高いです。
昭和35年6月8日最高裁判決のいわゆる「苫米地事件」では「衆議院の解散」については行政権に裁量があるために「法律の争訟」(裁判ができるかどうか)に当たらないとして訴えを退けています。
これはかなり古い判例なので今現在の憲法解釈としては何とも言えませんが、この延長線上で「緊急事態条項」につきましても「法律上の争訟に当たらない」と裁判所に言われてしまい裁判すらされない可能性があるんですね。
今のままでは完全に政府の暴走を阻止できないのです。
憲法裁判所を設置してから緊急事態条項の議論をしなくてはいけないのです。
憲法裁判所も政治に“忖度“しないように、司法内での公選によって選ぶなどの工夫が必要だと思いますけどね。
質問者:
特に定義と憲法裁判所については大きく影響を及ぼしそうですね……。
3つの問題点は分かりました。
しかし、憲法9条については改正する必要についてはどうなんでしょうか?
筆者:
ゆくゆくは9条改正も必要だと思います。
今の憲法がGHQの事実上の「押しつけ憲法」であることも間違いない要素ですからね。
ただ今の時点でも“解釈”を変えることで事実上の軍隊である自衛隊を持てています。
そのために、憲法9条を改正したところで、防衛について直接プラスになることは無いです。
せいぜい、自衛隊の方々が公的に認められることぐらいでしょうかね。
それよりも、どういうときに米軍が具体的に反撃をしてくれるかどうか条約を結ぶと共に、国連の敵国条項を外すように働きかけたほうがよっぽど日本の安全度は上がるように思えます。
本質としては日本の国土や国民を守れるかどうかが一番大事なのでそこに焦点を当てていただきたいですね。
質問者:
なるほど、確かにそうですね……。
しかし、一般的に政府がプラスと言われていることとは何かズレている気がしますね。
筆者:
マスコミも政府に同調して、上記のことを適切に伝えていないことが問題だと思いますね。
マスコミは情報を絞ることによって国民の思考を操作する事実上のプロパガンダ機関と化しているのは本当に害悪だと言えます。
気づいた人から発信しなければ間違いなく国の舵取りは誤った方向に突き進んでいくことでしょうね。
質問者:
マスコミの人達も従わなくてはクビになってしまうから大変なんでしょうけどね……。
筆者:
後言えることがあるとするなら、正直なところ今の政府に全く持って信頼ができないんですよ。
22年に超過死亡が多く出たことについて“原因不明”とするなど総括すらできていないことは問題と言えます。
22年にはそれまで伸び続けていた平均寿命も、東日本大震災のあった2011年以来短縮しています。
この原因がコロナ死なのか過剰なコロナ対策のせいなのか、綿密に分析できなければ同じ過ちを繰り返します。
また、使途不明金としてのコロナ対策費11兆円がどうなったかについても検証がされていません。
このような振り返りすらできていない政治家・官僚たちに“緊急事態”の認定をまともにできるとは思えないんですね。
マスコミや野党も政治資金の問題に熱を上げるのも結構ですが、こうしたことももっと追及して欲しいように思いますね。
質問者:
確かに、22年は過去最悪の11万人の超過死亡らしいですからね。
超過死亡の基準の数字は高齢化も考慮されての数字のようなので明らかに異常な数字ですよね。
筆者:
そうなんです。
こうした、過去の分析もできない人たちが23年10月には「内閣感染症危機管理統括庁」を創設したり、緊急事態条項などを検討しているというのは「片腹痛い」と言えます。
まずはきっちりと過去を振り返って分析をするべきなのです。
申し訳ないですがこの30年間経済成長することができていない、少子化をずっと改善できていない、あなたたちの存在そのものが日本の「緊急事態」だと言っても過言では無いのです。
「緊急事態」とも言える存在に生殺与奪権を任せて“悪用できる可能性がある”と言うことは大変恐ろしいことを生じさせかねないと思っています。
質問者:
それはちょっと言い過ぎかもしれませんけど、数字の上では全く成果を出していないのは事実ですよね……。
筆者:
とにかく、今の政府に1%たりとも信頼が置けないので「緊急事態条項」を含む憲法改正案には絶対的に反対です。
できる限り最大限の抵抗をしていきたいと思います。
この一連の考えにつきまして問題と思われた方は、是非とも周りの方にも広げていただければと思います。
いずれ素案が出てくるでしょうからその時にまた解説したいと思います。
と言うことでここまでご覧いただきありがとうございました。
今後もこのように時事問題や、政治・経済、マスコミの問題について個人的な視点で解説していこうと思いますのでどうぞよろしくお願いします。