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詩歌集2

貴方待つ鉄砲百合


百合という名の少女

まだ十六の若い娘

白く美しい肌はまるで

純白の百合の花そのもののよう

見目も花のように麗しい少女


少女には将来を約束した男がいた

だが 国のめいで男は戦に行くことになり

男は戦に出る前に

少女に誓った


必ず戻り

君と夫婦めおとになる

だから 待っていてほしい


そう言って、男は戦に行った


少女は男が戦に行ったその日から

毎日 毎日

普段待ち合わせにしていた丘の上

そこで 男が帰ってくるのを待った


雨の日も 風の日も

丘の上に行っては

男が迎えにくるのを待っていた


だが 男が戦に行って一年後

男が戦死したという訃報が届いた

少女はその訃報を受け入れることができず

その後も丘の上に行った


だがある日

少女は流行り病に侵された

それでも少女は

あの丘の上に毎日行った


そして少女は…

丘の上で男を待っていると

そのままその丘の上で亡くなってしまった


すると少女の亡骸は

凛とした百合の花になった

鉄砲のような形をした百合の花

鉄砲百合


男と約束した丘の上には

毎年 白く美しい鉄砲百合が咲く

少女はまだ あの丘の上で

愛しい男が来るのを待っているのだろうか…



挿絵(By みてみん)



因みに鉄砲百合の花言葉は「純潔」「威厳」「甘美」だそうです。

お読みくださりありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 儚くて美しい詩ですね。 [一言] 夏目漱石の夢十夜を思い出しました。
[良い点] 待っているさ。 花を残して 会いに行く。 忘れないさ。 君を残してなど 世界の果てには行けぬ。 ともに、行くぞ!! 我、風になりて、そなたを迎える。 永久の幸せとともに 果たすべきことを。…
[良い点] 素敵な物語と美しい鉄砲百合ですね。 百合の花は可憐で美しいがゆえに、悲しい話と結びついているような気がします。 美しい花と儚さはどこか連想されるものがあるのかもしれませんね。 今年もまた丘…
2023/06/11 07:12 退会済み
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