第四話 歩くお花
「公園楽しいな~。」
「楽しそうで何よりね。」
「いいのかなあ?」
公園には池がある。おさかなさんいるかな?
「あれ?この辺の磁場が異常だけど、イミトさん何かした?」
「私じゃないわ。でも、なんだがこの辺りに魔力溜まりが出来ているみたい。そんなに強くないけど、変な話ね。」
「こっちの世界には、イミトさんの世界でいう魔力ってのは存在しないはずなんだけど。」
「だとしたら、漏れ出たのかもね。魔力があると異常が起こるわ。見に行った方がいいと思うのだけれど。」
「すぐに僕を持って走って。あと、氷空透を避難させて。」
「見えなくなっちゃったわ。」
「らんらーん。あれ?君は誰~?」
ほんわかした見た目のお花が歩いている。にこやかな顔でこちらを見つめている。
「やあ、いい天気だよね~。お日様に日向ぼっこしたいよね~。」
「ぐぎょあるわぁつっ!!!!!」
「っつ、なんなんだこの音。」
せっかくのいい気分が台無しだ。おい、あの花野郎。なんてことしてくれたんだ。
「って、おかしいだろ。花が動いてるなんて。あいつの魔法か?だとしたらろくでもないことになるぞ。」
イミィの仕業だとすると、こいつは危険かもしれない。
「ペットボトルあたぁっっく!!!!」
コーラの入ったペットボトルを投げつける。うわっ、コーラがこっちにもかかった。もったいない……。
「うぎょるおおおおおおっ!!!!!」
「ひぃっ!なんだよこいつ。」
だが、ダメージは食らったらしい。しゅわしゅわと音を立て、白い煙を出している。
「うううううううぐうぐううあああっ!!!」
やべ、こっちに来やがった。
「全力で逃げる!!!」
せめてディーフェがいたら。
「氷空透!後ろのそれなに?!」
「あら、魔力に当てられたのはお花なのね。どうとでもなるわ。」
「いいところに!って、これイミィがやっただろ!?」
「失礼ね。私のせいじゃなくてよ。」
「白き吐息よ小さきものに永遠を。零下喬。」
おいおい、魔法か。
「これ俺も巻き込まれない?!」
「大丈夫よ……たぶん。」
「ちょっと、これ大丈夫なんだよね?!」
「温度を極限まで下げて、一時的に冷凍しているだけよ。元に戻すときは気をつけないとだけど。それに、一応生存機能をつけてあげたわ。」
「早く元に戻してあげて!!」
「今日、この日のことは決して忘れない。少しづつ意識が戻った時、体が全く動かず、全身が氷漬けのように冷えていたことを。」
「氷漬けのようじゃなくて、氷漬けになっていたのよ。」
「とにかく戻ってよかったよ。それで、その花はどうするの?」
「初めて見た種類の魔物だから、持ち帰って研究するわ。たぶん特質はたいして変わらないはずだけど、植物の魔物にしては見た目がだいぶファンシーだわ。」
「あのさ、聞きたいんだけど、これってイミィがこっちの世界に来たのが原因なんじゃないの?」
「さあ?わからないわ。とりあえず今日はもう戻りましょう。」
「戻っていったね……。これ、本当にどういう仕組み何だろう。」
「考えてもわからないものは、とりあえずいいんじゃないかな。それよりもうこんな時間。子守歌を歌ってあげるよ。」
「今日はもう少しこれについて考えたよ。」
「明日また考えようよ。~♪」
「まだ、眠りたく……ぐぅ。」
「こっちに来て本当に良かった。安全に処分できればそれがいいんだけど、そうもいかないよね。それにしても磁場の流れ……。魔力が何かはわからないけど、公園の時と同じことはまた起こるかも……。その時は……。」