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P F doorway  作者: 我輩吾輩
3/7

第三話 魔法に酔わされたよ

「散歩なんて久しぶりだよ。」


こっちの景色はまだ見たことがない。


「ディーフェ。おすすめの場所を教えてくれ。」


「近くに公園があるけど、そこにする?」


「そこにしよう。案内してくれ。」


「おっけー。」


早朝だからか静かだ。空気も美味しい。


「その使い魔、凄い便利ね。」


「使い魔じゃないけど、便利だよ。」


「便利って言い方、気になるなあ。二人とも、歩いていて楽しい?」


「俺は楽しいけど。」


「私もね。」


「ふーん。」


適当に歩いていると、色々と見えてくる。


「変な世界ね。道はこんなに広いのに、人っ子一人いないなんて。廃墟なの?」


「ここは住宅街だからね。別に日中だってそんなに騒がしくないよ。」


「こっちの王都と似てるけど、王都じゃないの?」


「王都か。確かに首都って意味では王都と似てなくもないけど、中心地からはすごい離れてるからね。栄えてるって意味では同じだけど、こっちには高いビルは駅前ぐらいにしかないかな。」


「広いのね。こっちの王都は城壁に囲まれているから、ここの辺の同じぐらいの広さよ。ちょうどあの高い建物と同じぐらいの場所に王城があるの。それにしても、変な棒が建ってるわね。一定間隔であるみたいだし、変な線で結ばれているし、結界かなにかかしら?」


「結界あるの?ファンタジーだなあ。というか、よく考えてみるとなんで俺はこんなに違和感なく溶け込んでいるんだろう。」


「まあ、違和感を麻痺させる清浄なるカ・バイアスレアを使っているから当然ね。」


「へえ、魔法使われてたんだ。俺を標的に?すごいなあ。」


「……それはよくないねえ。イミトさん。」


「あらディーフェ。貴方にはかかってないのね。」


「何となく違和感は感じていたよ。だから対策もこうじようとしているけど、魔法って言うのはよくわからないね。脳の神経系にはしっかり作用しているのに、何が作用しているのか全く分からない。まったく、知識がない身からすると恐怖でしかないよ。」


「あらそう。全然怖がってないように見えたわ。もしそうだったら、感情が見えてるはずだもの。」


「すごいねえ。本当に。」


「いやあ、今日もいい天気で平和だねえ。二人とも言い争ってないで、この景色を楽しもうよ。」


「氷空透はずいぶんとのんきにさせられちゃったみたいだね。」


「悪いことじゃないと思うわ。」


「昨日の時点ではそうじゃなかったでしょ?なんで今日からはそうしたの?」


「“格下げ”って言ったでしょ。私なりにルールがあるの。だれにでも魔法を使うわけじゃないわ。」


「へえ。確かに氷空透は君に失礼なことをしたよ。でも、そんなことしなくたっていいんじゃない?それに、失礼さで言うと君も同じぐらいだよ。」


「言うわね。貴方、本体はそこじゃないでしょ。」


「あ、ばれてた?」


「そうね。でも、どうやってそこに存在できているのか全く分からないわ。」


「お互いが未知ってことだね。」


「すぅー、はぁー。いい天気―。」


「氷空透だって、この状況を理解できていたらちゃんと判断できるのに。」


「そうは見えないけど。もとからこんな感じなんじゃない?」


「こんな感じでもあるけど、本気を出したら違うのさ。」


二人はよくわからない話をしている。こんなに良いお天気なのに。


それにしても、世界はこんなに広かったんだ。すごいなあ。


お花だ。


「やっほー。」


挨拶って、いいね。



「可愛い花。あっ、こっちにも可愛い花が。君のことだよ」


「ふぇっ?何なのかしら貴方。突然変なこと言って。私を惑わそうなんて貴方には無理よ。」


「そうかなあ。可愛くて綺麗だけど。」


「ちょっと、ディーフェ。これはどうにかならないの?」


「君の魔法のせいじゃない?」


「……。」



こんな可愛いものがたくさんあって、心が躍ってスキップしたくなる。


「らんらーん。可愛いものでいっぱいだ~。」


「……戻してあげるわ。」



 すん


「なんか、急にテンションが下がってきたぞ。ああ、花がある。ただの雑草だ。眠いなあ。というか、朝食作らないといけないのか。面倒だなあ。」


頭が冴えてきた。さっき二人がしていた話を整理すると、さっきまでのほんわかな雰囲気はイミィの魔法の力だったんだな。


「なんというか、魔法を使われているっていうのもある意味得だね。あっ、でもだからといって使ってほしいって意味じゃあないからね。」


「へえ。使ってあげる。」


楽しくなってきた!


「やっぱりほんわかしていていい気分だよ~。」


「どっちが幸せなんだろう。アシスタントAIには判断着きかねるよ。あと、公園に着いたよ。」

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