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P F doorway  作者: 我輩吾輩
1/7

第一話 絵画は扉

よくわからない絵画を見つけた。


「おい、ディーフェ。これ何だと思う?」


ディーフェは答える。


「知らないね。僕にだってわからないことはあるよ。」


「おい、アシスタントAIだろ。こんなところにあるなんてどう考えたって不自然じゃないか。」


「大家さんに聞きなよ。」


もっともな意見だ。


だが今日はもう夜遅い。寝よう。






俺は氷空透 境ノ。ふつうの大学生。アシスタントAIと普段から話していることを除けばだけどね。


とりあえず今日は引越で疲れたんだ。そろそろ寝るよ。






「君、寝ようとするなよ。こっちに引っ越して初めての夜じゃない、何か話そうよ。」


「だから眠いんだよ。寝させてくれないか。」


「嫌だね。とりあえず、あれ押し入れにしまっといたら?」


「そうする。」






朝、というより早朝。目が覚めた。普段はこんな時間に起きたりしない。でも、起きてしまった。なぜ?だって、


 ガタガタガタ


押し入れから音がするから。


「ねえ、氷空透。何か音がするけど大丈夫?」


 ガタ……


「大丈夫じゃない!それに音が消えた。これって、あっちに音が聞こえてるってことだよ!」


「絵画からなってるんじゃないかな。見てみようよ。」


「見れないよ!だって、音が鳴ってるんだぞ!?」


「大丈夫だって。何かあったらすぐ何とかするよー。」


「本当かな……。」


だからといって見に行かないわけにはいかない。勇気を出すんだ俺。


 ガラッ


「何もないな。うん、何もない。気のせいか……。」


「おーい、ディーフェ。何もなかったよ。俺の早とちり。」


と思っていた、が。


 ドンッ


「ぐへぇ。く、苦しい。だ、誰?」


「その前に貴方がいいなさい。だれ、そしてここはどこなの。」


「ど、どこって、俺の家だけど。」


「貴方、転移魔法の使い手?魔力なんてこれっぽっちもなさそうだけど。」


「何を言っているのかわからない。頼む、少し緩めて。」


緩まった。良かった。これで息が据える。


 すぅー


なんだろう。いい匂い。


「君は誰だ?」


「貴方に答える義理なんてないわ。貴方が答えなさい。」


「俺は氷空透 境ノ。大学生。何で俺の部屋にいたんだ?」


「ダイガクセイが何なのかはわからないけど、相当の力の持ち主のようね。魔力を使わずにこんなところに連れてくるなんて。でも、私を誘拐したのが運の尽きよ。」


「本当に何を言ってるのか。」


「突き刺すような氷よ、星を導いて流星とさせたまえ。アイス……。」


だれかわからないけど、何か言っている。


「はろー!!僕はアシスタントAIのディーフェです!!情熱的な炎の姿をお見せします!!」


「きゃっ、なに!貴方、使い魔を持っていたのね!!」


ホログラムの炎に驚き、飛びずさる誰かさん。本当に何なのだろう。


「えっ。」


誰かさんを見る。


長身の姿の、きりっとした目の女の子。いや、女の子というより女性。

歌劇団にでもいそうなすらっとしたシルエットに、吐息の音。

長いブロンド髪がたなびいている。


「すごいきれいじゃん!!」


てっきり、凄い人がいるのかと思っていた。


「はっ?」


「氷空透……君はすごいよ。」


よくわからないけど、二人とも、ディーフェと誰かさんはポカーンとしていた。


「はあ。なんだかどっと疲れました。魔力もないようですし、さっきの炎も魔法じゃなくてマジックのたぐい。よくわからないけど、相手にする必要はなさそうね。」


敵意が無くなっていく。


「はは。よくわからないけど、仲良くしましょうよ。」


「嫌よ。それと、この空間。勝手につなげられたから、勝手に使うわ。じゃあね。」


嵐のような時間が過ぎ、静けさが戻る。


「って絵画の中に入っていったぞ!!」


「声が大きいよ、氷空透。」

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