甲子園
バギャアゥオン!
ドアが開いた音です。ゴッド様ですね。……壊れていないか、いつも心配になります。
「ぶふぃ!今夜も、来てやったぜ」
「いらっしゃいまし、ゴッドさん」
ゴッド様は、いつものようにカウンターへ。わたしは、氷を入れたグラスに酒を注ぎました。
「おう、すまねぇな」
ゴッド様は、美味しそうに酒をあおっています。
「ぶふぃ、うめえな」
「ありがとうございます」
「最近、暑くてかなわねぇが……知ってるかいマスター?」
「何をですか?」
ゴッド様に、もう一杯酒を注ぎます。
「キヨミズノ ブタ イ(清水の舞台)って、ブタ族関係ないらしいぜ、ぶふぃ」
「……知ってました」
「ブヒャヒャヒャヒャ!」
……時々、こんなですが、ゴッド様は偉大なブタ神様です。……多分。
「ぶふぃ、すまんマスター。もう一杯頼むわ」
ゴッド様のグラスに、酒を注ぎました。
「ぶふぃ、ありがとよ。最近、ニンゲンどもが甲子園なるモノに浮かれ騒いでいやがるのは、知ってるか?」
「ああ、ニックが楽しみだとか言ってましたよ」
「ブタ族も『やきゅう』とやらを楽しんでも、いいんじゃないか……と思うんだ」
「なるほど」
確かに、ニンゲンどもにばかり楽しませるのは、もったいないかもしれません。
「……だがよ。ブタ族は、バットが持てねえ」
…………。
「……ボールが、投げられねえ。そりゃ、俺やマスターはなんとでもなるさ。グラス持てるしな。……だがよ、ブタ族全体だとなあ」
「……サッカーなんて、どうですかね」
「俺は、ブタを甲子園に連れて行きてぇんだ!」
「……ニックに相談、しましょうか」
ニックに相談しました。……結局、ブタ族に野球は無理ではないかという結論になりました。
ゴッド様は、落ち込んでいます。
「……サッカーなんて、どうですかね。人気らしいですよ」
「……そうだな」
ゴッド様は、少し元気になりました。
「へへっ、前足で蹴ったらハンドになりませんかね」
ニックが、余計なことを言いました。
スポーツ詳しくないので、実はブタでもルール上問題なかったらスミマセン。