ブタ墓場からの帰還
いつものブタ酒場です。
ズギャアアアン!
「ぶふぃ!今夜も、来てやったぜ!」
「いらっしゃいまし、ゴッドさん」
ズギャアアアン……は、ドアが開く音です。ゴッド様が開く時だけ、すごい音です。
「おう。マスター、無事だったか」
「何かあったんですか?」
「ブヒヒ、気になりますねえ」
……あれ?わたしとゴッド様しか、いなかった筈ですが。
「ぶふぃ!やっぱり現れやがったか、タロウ!俺様が作った魔除けの札が、破られた感じがして、急いで来たんだ」
「ブヒヒ、ゴッドさん。俺が破いたって思ったんですか〜?」
「ぶふぃ……俺様にはわかるんだぜ?」
タロウ様は、じゅるりとヨダレをすすりました。幽霊なので、後ろ足はありません。
「ブヒヒ、さすがはゴッドさんだぁ。……だが!俺のトンカツ愛は、今夜!神を!超える!!」
……ブゴッ!
ゴッド様が、タロウ様……いや、もはやお客様ではないので、怨霊のタロウ……を殴り付けました。
「ブヒィー!」
ブゴン!ブギャ!
「ブヒィー!ブギョー!」
「騒がせたなマスター、ぶふぃ」
「いえ、ありがとうございます」
タロウは、わたしを、肉を見る目で見ていました。
「ブ……ヒ……トン……カ……ツ……」
ブゴン!
「ぶふぃ、しぶとい怨霊だぜ」
「恐ろしいです」
「ぶふぃ、俺様の予想じゃあ、お盆までは復活しない筈だったんだがな」
「ブヒ……ヒ、……ブタ墓……場で、トン……カツ弁……当……食ってた……ヤツが……いた」
なるほど、それがタロウのトンカツを喰いたいという未練を刺激し……、怨霊の力を高めたのですね。
「ぶふぃ!ブタ墓場は、ブタ肉を食うのは禁止って貼り紙が、大量に貼ってあったんだがな。マナーの悪いヤツがいたもんだぜ」
……ギィ
「いらっしゃいまし」
「へ、へへっ。マスター、安い酒をくれ。……おお、神よ!いらしていたのですね!」
「ぶふぃ、ニックか。久しぶりだな」
ニック・スキャナー、元神聖肉食美食教会の一員にして、ゴッド様の信者です。少し前に、新しい仕事も決まったらしいです。
「ブヒヒ!こ、こいつがトンカツ弁当を食ってたヤツだ!」
……タロウ復活。
「ぶふぃ!てめえか、ニック!」
「え?何ですか?神よ!」
ブゴッ!ブゴン!ブギャ!
「ぐぎゃー!神よ!申し訳ありませんでしたー!」
マナーは守りましょう。




