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一日練習小説日記  作者: はこがみっつ
6月
4/4

6月20日

世界の歯車


「なあ、世界の歯車ってどう思う?」

俺はふと、そんなことを一緒にコンビニで働いていた子に言っていた。

「え」

その子はもちろん戸惑っていた。

そりゃ、突然こんな質問されたらこうなるだろうな。

突然こんな話をし始めたのは、客が来ないというのが理由の大半だったのだが。

「いや、俺さ、よく小説、というかラノベ?読むんだけど、たまに出てくるんだよ、世界の歯車ってさ

俺は、とりあえず相手のことはスルーして独り言のように話を進める。


「意味は、自分が歯車として世界に必要とされている、役に立っている、とかそんな感じ」

あとになって思えば愚痴だったのだろう。


「一応この歯車の意味には、世界を前に進める重要な歯車っていうのと、世界全体、一人一人を表す歯

車と二つの場合があって。」

今、ここに生きていて、自分がここにいる意味はあるのか、と。


「他にも直喩であったり、比喩であったり、その意味を表す言葉はあるんだけど、要するに言いたいの

は、その役割ってどう思うかってこと」

話している時に一度もその子の顔をみることは出来なかったが、大体の想像はできていた。



そして、少し間が空いたあとでその子は答えてくれた。

「さっきの質問ですけど」

「うん」

俺は内心嬉しかった。いきなりこんなこと言い出しておかしいと自分でも思っていたから。

その子も内心では、恥ずかしいのか若干声が上ずっていた。

「私は、あんまり小説とか読まないのでわからないですけど、とりあえず、このコンビニで働いている

のは役に立っているんじゃないんですか?」

まあ、この回答が来るのは大体わかってはいた。

ただ別に落胆したわけじゃない。問題は次だ。

「じゃあこのコンビニで働いていくことに納得はできる?」

この子もそれを予想していたように返してきた。

ふっと笑みが零れる。

「ここでこうしていることで多少は役に立っていると思っています。大学を出たらもっと自分のしたい

ことをやっていきますし・・・」

まるで過去の自分を見ているようだった。

現在の俺は27歳だがちょっと挫折してフリーター。

まあ・・・

「そうか、じゃあ頑張れよ。」

俺は適当にそう返して話を切り上げた。

なんとも言えない気分だった。

はぁ・・・。まあそんなもんだよな。

勝手に気まぐれで答えを期待して聞いてバカだな、俺は。

なんとなく一緒に働いているうちに仲間意識でも湧いていたんだろうか。

・・・仕方ない、か。

でも、だったら俺はどんな答えを求めていたんだろうか。



というわけでちょっと間が空きましたが、一応第4話でした。

といってもこれは本編でキャラにも言ってもらったのですが愚痴ですね。

キャラと同じではないですが、自分は世界の歯車になっているのか、壊れた歯車になっていないだろうかとかそんなことをよく考えます。良く言えば客観的に自分を見るというやつです。でも、これって結構鬱になりますし、やっぱあんまやりたいことじゃないんですよね。言ってしまえば、気にしないで出来上がってるならその方がいい。

 まあ、世界の歯車になって世界を動かせるようになったら自分としては嬉しいんですけど、こうして自分のしたいことをしてるだけというのもまあまあ満足できるんですよね。


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