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勇者になってみませんか?  作者: 七瀬 優
第一章 名称未定 りん「りんの大冒険がいいよ!」
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反転攻勢

毎日更新7日目。


連続一週間達成!

 俺がまず家に戻ってやった事は、りんの『くちぶえ』のスキルの発動設定をOFFにした事だ。

 現状で追加オーダーでもされたら即全滅しかねない。

 そんなバカな事するとは思いたくないが、それをやるのがりんなのだ。

 念には念を入れておく事に越したことは無い。

 あと、発動設定をOFFにしたらスキル自体が無効になるのではないかと少し思ったからだ。

 こっちの方はあんまり期待はしていないが、うまくいったらもうけモノぐらいの感じだ。



 設定を済ませて玄関に戻ると、

「頭がグルグルする~」

 とか言って玄関に倒れていたりんが居なくなっていた。

 まさか一人で倒しに行ったんじゃないだろうな?

 りんの事だから否定できない。

 俺はあわてて玄関の戸をあけて外に飛び出すが、今回は杞憂だったようだ。

 家の門の所に座り込んでなにやらやっていた。


「何してるんだ? りん」

「あ、あおちゃん」

 りんは俺の声を聞いて振り向く。

 その向こうには数匹のスライムが見えた気がするが……。

「面白いんだよ~この子達、こっちに向かってくると、ベチャンってつぶれるんだよ~」

「?」

 いまいち要領を得ない説明なので、俺もりんの見ていた方に目を向ける。


 スライムがりんに襲い掛かろうとして、透明な壁みたいなものにぶつかって家の敷地に入ってこれないでいた。

 そんなスライムの鼻先ギリギリに、さっき買ったラムネをつまんで、ちらつかせている。

 りん、スライムはラムネが食べたくて向かってきてるんじゃないと思うぞ。

「あ~食べられた~」

 手を滑らせてスライムの方にラムネが落ちたらしい。

 それをスライムが食べている。

 って……食べるのかラムネを。


 それはともかくとして、スライムが家の敷地に入ってこないのは朗報だ。

 家にさえ戻れば確実に逃げ切れる。

 これは多分、ゲームで言う町の中やダンジョンのセーブポイントなどと一緒で安全地帯として設定されているんだろう。

 まあ、寝てHP、MPを回復する場所と考えるとそうそう間違っても居ない気がする。


 これで、モンスター殲滅がやりやすくなった安全地帯があると無しでは全然違う。

 疲れたら確実に休めるのは大きい。



「あ、いい事思いついた~」

 考え事をしていた俺の耳にそんな不吉な言葉が聞こえてきた。

「ちょっとまてりん。何する気だ?」

 とっさに止めようと思ったが、りんは『木の棒』を手に家の敷地(安全地帯)からスライムを叩こうとする。

 ただ、さっきまでとは逆に『木の棒』が敷地の境界線の壁のようなものに当たってはじかれる。

「あうち」

 手がジーンとしびれたのだろう

「手がじわわーんとするよ」

 なんて言っている。


 今回のりんの思いつきは中々にうまい考えだったかもしれない。

 安全圏から一方的に攻撃できればリスク無しで戦えるからだ。

 まあ、失敗したのだが……。

 そんなに甘くないよな。

 それにしても、何気にりんはズルを思いつくのは得意なのか?

 サボるのに全力で努力とかしそうなやつだからな……。 



 まあ、気を取り直して、モンスター退治に向かうか。

「りん、モンスターを倒しに行くぞ」

「え? さっき逃げてきたばかりなのに?」

 

 そんなりんの疑問に答えてやる。

 まず、第一にあんな大量のモンスターを街中に放置できない点だ。

 街中にいきなりモンスターハウスが出現したとかそれはどんなデストラップだよって話だ。

 犠牲者が出る前に何とかしたい。

  

 第二にモンスターの包囲を突破したことで、大分モンスターが分散した。

 少数ずつ各個撃破が狙えるようになったはずだ。

 それがなくとも、包囲されて袋叩きになる可能性は大分減った。

 少しずつ削っていく方法ならなんとか殲滅もできるはずだ。


 といった説明をしたのだが……。


「う~ん、良く解んないけど、これでモンスターをバンバン倒せるんだね!」

 まあ、予想通りというかなんというか殆ど理解していない。

 なんか俺に考えることを丸投げしてる気がしてならないのだが……。



「ま、まずは家の周りに居るスライム達を片付けるぞ!」

「おおお~」

 俺達は家の敷地から一歩踏み出してモンスターに戦いを挑む。


 まずは敵の戦力を確かめるために、『調べる』のスキルをスライム達に片っ端からかけていく。

 ついでに自分達にもかけるのを忘れない。


 プチスライム A

 HP10/10

 MP0/0


 プチスライム B

 HP9/9

 MP0/0


 プチスライム C

 HP10/10

 MP0/0


 プチスライム D

 HP10/10

 MP0/0


 プチスライム E

 HP11/11

 MP0/0


 プチスライム F

 HP8/8

 MP0/0


 スライム

 HP27/27

 MP0/0

 

 りん

 遊び人Lv17

 HP94/107

 MP50/50


 あおい

 勇者Lv10

 HP76/88

 MP42/62



 全部スライムかと思っていたら、殆どがプチスライムというモンスターだった。

 まあ普通のスライムも一匹混ざっていたが……。


 プチスライムはHP10前後 スライムのHP27に比べると大分少ない印象だ。

 多分、最初のレベリングで遭遇する最弱モンスターは本来このプチスライムなんだろう。


 『調べる』スキルを使っている間に攻撃されるかと思ったが、いきなり家の敷地から出てきて戦闘態勢が整っていなかったのだろう攻撃されることは無かった。

 一番近くに居たプチスライムAがラムネを食べる事に気を取られていたのも大きかったかもしれないが……。

 何気に結果オーライだったのかりんの行動は……。


「よ~し。いくよ~~~」

 りんが大きく『木の棒』を振りかぶってスライムに攻撃を仕掛ける。


 スカ!


 ものの見事に空振りする。


 俺もプチスライムBに向けて攻撃を仕掛ける。

「これでどうだ?」

 ベチャと潰れてそのまま消滅していく。

 プチスライムは一撃なのか、これは結構戦いやすくなったかも知れない。


「フギャ!」

 りんがスライムとプチスライムのD、Fの攻撃を受けていた。

 ダメージは6と1と1合計8。

 スライム以外は攻撃もあんまり脅威ではなさそうだ。


 俺の方に向かってきたC、Eの攻撃もあまり痛い感じはしない。

 やっぱり気にするのはスライムだけでよさそうだ。


「りん、まず協力してスライムから倒すぞ」

 俺が声を上げるが、

「大丈夫、私が倒す!」

 なんて、集中を切らしたのが良かったのか悪かったのか……。


 ズベン


 ものも見事にころぶ。

 顔面からいったぞあれは。

 なんて事を考えている場合じゃなかった。

 あわててりんに向かってくるスライムを迎撃しようとした。

 したのだが……。


 攻撃しようとしたスライムの真ん中に妙なものが突き刺さっていた。

 なんだ?と確認しようとしたところで、スライムが消滅していく。

 後に残ったのは『木の棒』。

 どうやら、転んだ拍子に手からすっぽ抜けたようだった。


 あと、残りプチスライムを一掃するのは簡単に終わった。

 それにしても、りん全ての攻撃をミスするってあまりにひどくないか?

 当たったのは飛んでいった『木の棒』だけだ。



 そんな感じで小規模な集団を順調に撃破していく。

 スライムとプチスライムの青色の2匹だけで他の色に出会うことも無い。

 特に苦労もなく先ほどの『くちぶえ』を使った十字路に到着したのだが、そこにはあれだけ居たモンスターの陰も形もなかった。

 

 それでも周りを調べてみたが、小規模な集団には出会う事はあっても、あの大群にはあえずに終わった。



 いったいどこに行ったんだ? あのモンスターの大群は……。

 まあ、その後これといった騒ぎになる事もなく、被害の情報も聞かなかったので少しは安心できた。

??「いつからこの街は魔物の巣窟になったのでしょう?」


?????「そんな事いいながらあっさり倒しちゃうのはなんというか……」


??「少し調べた方がいいかもしれません」


?????「でも今は買出しをさっさとすませちゃお」


??「それもそうですね」

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