表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スパイラル・チェイス  作者: 左門正利
◆ MI6諜報員ライオット
4/28

◇ ホテル到着

 ライオットとヒトミを乗せたタクシーは、ニッポンフジヤマ・ナンバーワンホテルに到着する。この十階建てのホテルは、外国人の宿泊客が多い。


 ライオットがフロントでチェックインの手続きをしていると、女性従業員が彼に伝える。


「お荷物が届いてございます」


 それを受け取ったライオットは、自分が泊まる部屋に移動する。もちろん、ヒトミといっしょだ。八階の部屋である。


 エレベーターに乗り、八階のボタンを押す。エレベーターには他の客はおらず、途中で止まることもないまま、八階に着いた。


 問題なくここまできたが、ライオットは妙に落ち着かない。エレベーターの中では、まさか自分とこの女の子が、あんなことやこんなことを……と、日本の警察に淫行罪で逮捕されかねないシーンが、頭の中をめぐっていった。


 落ち着かないまま、今日の寝床となる部屋に、ヒトミといっしょに入る。  

 ライオットは机のそばにアタッシュケースを置き、フロントで受け取った荷物を机の上に置くと、椅子をベッドの方に向けて座った。

 ヒトミはベッドにギシッと腰かけて、ライオットに顔を向ける。


 まず、ライオットが先に口をひらいた。


「ヒトミ、何歳、ですか?」


 彼女は微笑みながら答えた。


「十八よ。エイティーン、イヤーズオールド」


 そうは見えない。ヒトミはあと二年で二十歳になるが、どう見ても中学生ぐらいだ。だが、嘘ではないだろう。        

 空港で最初にかわした会話や彼女の行動は、中学生にしては非常にしっかりしていて、実に冷静だった。


 こんどは、ヒトミがライオットに尋ねる。


「日本語は、理解できますか?」


 ライオットは、腕を組んだ。


「だいたい、です。それで、たぶん、わたし、任務です」


 話すには、まだいまひとつという感じだが、きく分には問題はないようだ。

 日本語が理解できるゆえに、この任務に選ばれたのだろう。ライオット自身は、そう思っている。


 彼はヒトミに訊きたいことがあった。


「ヒトミは……」


 しかし、躊躇(ちゅうちょ)する。


「いや、なんでもない、です」


 ヒトミはベッドから降りると、ライオットに告げる。


「ミスター・ライオット、明日は午前九時ごろ迎えに来ます。ナイン、エイエム」

「了解、しました、です」


 ヒトミは微笑みながら、部屋を出ていった。


 ライオットは椅子を机に向けて座り直すと、フロントで受け取った荷物をチェックする。


「まあ、使うことはないと思うが」


 そう考えながら、シグの銃をベースに改良されたハンドガンを手にする。弾丸は9ミリパラベラム、弾倉には十一発の弾が入るオートマチックだ。


 ライオットでなければ、まともに使えない特別仕様である。日本国内に持ち込むため、税関を通さない別のルートを確立しているのだろう。


「もし使うとすれば、これか?」


 今度は、黒っぽくて丸いボタンのようなものを手にとる。

 発信器である。大きさは、スーツのボタンぐらいだろうか。発信器にしては、厚さがかなり薄い。


 この発信器は、ライオットの腕時計と連動するように設計されている極薄のナノ回路だ。


 他の品々もチェックし、リストに記されていた物がすべてそろっているのを確認したライオットは、気になることを思い出した。


 ヒトミに話しかけて、いえなかったことだ。


「あの女の子は」


 ふたたび銃を手にとり、じっと見ながら思う。


「十八歳。その年齢で、すでに人を殺しているのだろうか」


 それを思うと、すべての思考が停止するライオットだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ