意の中の男
「何者かだって?名はヌルハチ以後お見知り置きを」
そう言うとヌルハチは薄ら笑いを浮かべつつ、わざとらしく大仰に頭を下げた、が…
「てめぇの名前なんて聞いちゃいねぇ、俺が聞いてるのはこの状況だ!!」
するとヌルハチはこれまた大袈裟に手を叩くと、椅子に深く座り直し自分の身の上について語り出した。
「そうだな、何処から話すか…
俺の出身はここから北東にある3CPていう国だ、そこで俺は兵士を生業にしてだな、そこでの訓練中に…」
ここまで聞いた辺りから、俺は薄々感じ始めていた、コレ長くなるな…
それに3CP絡みとなると俺の手に負える話ではなくなってしまう。
「先も言っただろう、お前の過去なぞどうだっていい!!
簡潔に答えろ、お前は何故俺の目の前に現れた?!」
俺が怒鳴るとヌルハチは両手を頭上にあげた降参の意を示した後、右手で先程鹵獲した刀を指差した。
「それだ、その剣を持ったものだけ俺の姿形が見えるようになる。
先に言っておくが、剣を壊そうたって、無駄だからな、壊したところで俺はお前の意識に居続ける」
な…じゃあ俺はずっとこいつと一緒にいなきゃいけないのか?
「ふざけるな!さっさと俺の頭から出て行け」
「そりゃあ無理な話だ、俺だって出て行けるなら出ていってるさ。
酒も飲みたいし、女も買いたい、美味いものも食べたい、だがこの状況じゃ何も出来やしねぇ。
互いに諦めるしか無いんだよ……
そう怒るなよ、あんたが望むなら極力出て来ないようにするし協力も惜しまないからさ、これから長い付き合いになるんだ、良好な関係を築こうぜ?」
勝手な話だ、勝手に俺の意識内に侵入してきて仲良くしようなんぞ…
しかもこれから長い付き合いだと?たまったもんじゃない………が。
こんな状況になってしまったのも事実…
協力も惜しまない…
「お前はあの害獣共にも協力していたのか?」
「あんたが害獣って言ってんのはオクランドの移民たちの事か?
だったらそうだ、お前が殺した奴の意識の中で意見やらなんやら出してやっていた」
それならば多少は使えるかもしれない…彼奴等の情報を少しでも引き出せれば上々だ。
たがそれにしても…
「なぁ、何故あの害獣達は国家にという最大の暴力機関に暴力で逆らってきたのだ?
少し考えたら分かるだろう、そんな事やったら酷い報復に合うと…」
それを聞くとヌルハチは当たり前かのように、こう返した。
「獣に手を出したら噛まれるのが普通だろ?」




