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 後に立っていたのは身長2mはあろう大男だった、顔は横に平たく彫りが浅い、髪は肩まで伸び少しウェーブかかっている、自国ではあまり見ない顔立ちからして外人(害人)だろう、残党か?

 だが相手は素手だ、さっさと殺そう。


 しかしながら俺の斬撃は男の身体には届いたはずだが、手応えもなく男も事も無げな様子だったが、俺の部下等は信じられないと言わんばかりの態度だった。


「次官、一体何を切ったのですか?」

「は?何を言ってやがる、目でも腐ったのか?

 そこに男が居るだろう?」

「……え?」


 視線が痛かった、授業中に自分だけ的外れな事を言ってしまったかのような、疎外感があった。

 次第に異質なものを見る目から、惨めな者に対する同情の視線に変わった。


「ベル次官、少々お疲れのようなので今日はもう屯所に戻られては?

 後の掃討は我々が責任を持って完遂しますので…」

「大丈夫だ、このまま掃討を続ける」

「いや…しかし」


 するとまた別方向からも声が聞こえる…


「素直に帰ってやれよ」

「上官に向かってなんだ!!その口の聞き方は?!」


 振り返るとまたもやその男が立っていた、あとその横に怯えた様子の新兵も確認できた。


「次官…?誰にでしょうか?」

「誰も聞こえぬのか?見えぬのか?」

「はい…我々には何も…」


 もう一度今の場所を確認すると既に男の姿はなくなっていた、あれは幻覚、幻聴の類だったのか?

 いや、そんなはずは…


「次官……」


 これ以上こいつらに迷惑をかける訳にもいかないか…


「分かった、俺はもう帰還する、後は任せた…」



 誰もいない屯所に着くと自分の腰にある刀に気がついた、どうやらあのまま持って帰ってしまったらしい、少々小振りのおかげかものとの鞘に収まりきっている。

 よくよく見てみると良い刀だ、金属にムラがなく、ハネもない、鍔部分に装飾がしてあるがそのせいで重心がズレるなんてこともない、売りに出したら相当な値がつくだろう。


 ふと、ヴァンの机に目をやっても、やはり誰もいない、机にはいつも通り雑にペンが転がっており紙が散乱していた。

 俺はヴァンの最後の戦いを観ていないから、どうして負けたのかも分からないし、ヴァンを殺した奴が何故これを使って居たのかも、盗品ならばさっさと換金すれば良かったものを。


 ふとすると先程まで誰もいなかったヴァンの椅子に誰かが座っているのが分かった。

 でかい図体にウェーブのかかった長髪……


「てめぇは一体何者だ?」

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