挽肉
地面から相手の顔を見上げた時に微かに相手の口角が上がるのが見えた。
一瞬何をされていたか分からなかった、勿論笑っていることは分かったが、それが何故笑われているのかが。
そしてその笑いが自分に向けられていると分かった。
笑われた?俺が?この蛮族なんかに地に伏せられ、嘲笑られるだなんてあってはならぬ。
俺は史上最年少で国軍の次官まで登り詰めたエリートで強く賢く聡明な人間なんだ、ここで負ける事も死ぬ事も許されん、サンジュ様を王にするまでは…
「調子にのるな!畜生どもが」
俺は直ぐに起き上がると相手にタックルをかました、案の定相手は油断しきっており、簡単に懐に入り込むことに成功した。
マウントを取ることになった俺はひたすらに相手の顔を殴りかかった、初撃が鼻っ柱に直撃した瞬間相手の表情が目に見えて変わった…先程とは別人のように。
男は未だ状況を明瞭につかめていない様子でただひたすらに混乱していた。
「ヤメテ、オネガイ!!」
明らかにカタコトで母国語では無いことが直ぐにわかった。
しかしそんな言葉でも必死に訴えてきてることが伝わって来た、とても惨めに…
こんなにも惨めな野郎に俺は負けかけたのか、無性に腹が立ってきた、もはや許しを請う言葉も煽りにしか聞こえなくなっていった。
その怒りのため男を殴ると更に惨めに命乞いをし、それによって更に頭に血が上る。
「お前ら畜生どもが俺に勝てるとおもったのか!!
俺とお前等では住む世界が違うんだ!本当は俺を見ることすら難しいのに、お前は俺を見下した。
許されると思うな!」
怒鳴りながら殴っていると、目が見えなくなっていた、いや目に意識がいかなくなっていた。
いつ男が死んだかは分からないが、時折聞こえていた命乞いが、言葉にならなくなっていき、次第に聞こえてくる音が水っぽくなった頃、後から部下に止められて我に返った。
「次官!そいつはもう死んでいます、もうおやめ下さい」
そこには男だった物が残り俺の拳には血と脂がべっとりとついていた。
ああ…そうだこいつの首をヴァンに、持たせてやらなくては、俺の刀は既に折れている…何か刃物を…
すると斜め前方に敵の使っていた刀があった、それを拾い上げ剣先を地に刺し足で押さえた後、男の首にゆっくりと刀を入れた…
首を拾い上げヴァンのもとに持って行くが既にヴァンは事切れた後だった。
疲れた…
すると後から聞き慣れない声が聞こえてきた。
「哎呀、酷いことするね」




