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万死に値する


 この両側が森の隘路で奇襲されるのはまずい、下手したら潰走しかねん。

「敵の数は?」

「恐らくは30人程かと」

 30か、こちらは十分に散開しきる前だった事もあり、幾ばくかの頭数…15名程か…

 いや、こちらは正規軍だ、技術武装共々我々に分がある。

「お前ら!怯むな。

 相手は雑把な烏合の衆だ、さっさと払い除けるぞ」


 しかし、よくよく見てみると相手の武装は貧弱なものだった、まともな刃物を持って居るのは2人に1人他は鍬や鎌など、何でもいいから殺傷力があるのもをかき集めた様だった。


 そんな差があるもんだからか、戦いは一方的だった、敵のなまくらな刃物は我等の鎧に軽々と弾かれその隙に、横薙ぎで頭をバターの様に切り、それを見て竦んだ奴を頭から唐竹のように割ったりと、ただの処刑同然の様相をていしていた。


 だが粗方処理し終わった頃に異変が起こった、ヴァンが敵に負けた。

 気がついた時にはヴァンは肩口から臍の辺りまでが血が紅い襷の様に滲んでいた。

 ヴァンばここ最近は内勤が多かったが剣の腕も中々の物だった。

 それを斬り伏せるとは…

 ヴァンを負かした奴は、外見に至っては然程に強くは見えない、身長は高いが体の線が細く目元には濃いくまが印象的だ。

 しかし剣に至っては別だった、敵方にしてみれば珍しく刀を持っており、多少の装飾も付いていた、恐らく盗品が何かだろう。

 そんな奴をここで逃がす理由も、他の奴に任せる訳も無い。

 ヴァンの口の前に手を翳すと未だ息があった。

「まだ、死ぬなよ最期にこいつの首を持たせてやるからな」


 俺が相手の方を振り向くと上段の構えをし待っていた、俺がヴァンに構ってる間に斬りつける事も出来たはずだが…獣も獣で少しの礼儀はあるらしい。

 相手の上段に対しこちらは少し上に向けた中段の構えで相対す事になった。

 後はどちらが先に動くかの勝負になった、互いに相手の起こりを目を凝らしていた、しかしそれが仇となった。

 次の瞬間相手が動いたかと思った時には目の前が砂埃塗れだった、地面を蹴りやがった。

 直ぐに砂埃を払ったが、そこに敵は居らずかわりに横の茂みが動いていた、そこに逃げ込んだらしい。


 どうする追うか、いや待ち伏せされてるやも…無理に追う必要もないか…

「おら!獣、出て来い!

 獣は隠れても匂いでわかるぞ!」

 そう言い放った時後に違和感があり、振り返ると森に逃げたはずの男がいた。

 先程の森の茂みの動きが罠だと分かった時には既に相手は刀を振り降ろそうとしており、咄嗟に守りに回した愛刀が防ぐと同時に砕け去った。

 そのまま前蹴りを食らい俺はその場に倒れた。 


 

  

 

 

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