Friend
僕らの出会いは高1の春、桜坂高校に入学したときだった。
「お~い!ごめんごめん」と、順平が急いで走ってきた。
「おせーよ!早く来い!」と、苛立たせながら浩輔が言っている。
それを見て、唯一の女子仲間の倉月は、
「いーじゃんいーじゃん」と言いながら笑っている。
そして最後に僕、僕たちは毎日元気に楽しく暮らしていた。
こうなるまでは・・・
3年後の3月27日、朝のニュースで爆発事故の話が出ている。
それを見ていると、いきなり順平から
「30日にちょっと桜坂高校に来てくれない?大事な話があるんだ。」
と、メールが送られてきた。僕は、
「なにかあったのだろうか?」「悪いことじゃなければいいが。」
と、いろいろ考えた。そのあとすぐにもう2人に確認してみた。
それは、みんなに出したメールらしい。
いろいろ考えているうちに。
3日後の朝6時。早く起きてしまった。僕は気がついた。
「何時に行けばいいんだろう?」しまった!聞くのを忘れていた。
そこで順平に連絡をしたがつながらない。
そうしていると倉月から電話が来た。
「ねぇ、そういえば何時に行けばいいんだろう?」
「僕も今それを考えていたところだ。」
「なんなら行かないでよくない?」
「だめだよ。大事な話って書いてあったじゃないか」
「そうだよね。なら一緒に行こうか?」
「そうしよ。あと浩輔も誘わなきゃ。」
「分かった。なら時間は?」
「大丈夫。倉月の家に12時集合でいい?」
「うん、いいよ。12時ね、ばいばい。」
といって電話は切れた。
すぐに浩輔に電話をかけた。
「はい、もしもし?」
「浩輔?今日の12時に倉月の家に来てくれない?」
「どうしたの?なにかあった?」
「いや、あのメール何時か書いてなかっただろ?」
「あ~そういえばそうだな。分かった、12時だな?」
「うん、じゃあまたあとで。」
そして時間が経った。
5時間後、5分ほど遅れて倉月の家に着いた。
いつもなら「遅い」と、言ってくる浩輔が
「よっ、じゃあいこうか」と怒らずにその場から離れようとした。
桜坂高校は倉月の家から歩いて3分ぐらいのところにある。
早く着きすぎたのか、誰もいない。そこで浩輔が
「やっぱ嘘だったんだろ?帰ろうぜ。」
と、振り向いたとき校門からゆっくりと歩いてくる順平が見えた。
順平は、暗い顔をしてうつむきながら歩み寄ってきた。
近寄ってきて小さい声で
「やっちまった。俺、殺しちまったよ」と、言ってきた。
最初はみんな「なに嘘言ってんだよ!」と、言っていたが、
順平はそれでも、「ホントなんだって!信じてくれよ!」と
だんだんと声が大きくなるのが分かった。それは、順平の癖だった。
順平は、本当の話を信じてもらえないときにでる癖だった。
それは、このグループの中ならみんな知ってることだった。
それでみんな確信した。これは嘘じゃない本当なんだと。
順平は3年C組へ歩いていった。それにみんなついていき
順平から全てを聞いた。なぜ殺さなければいけなかったのか。
それを聞いた僕たちは一緒にどうしたらいいかを考えた。
浩輔は「自首すれば?」といい、倉月は、
「そのことを忘れて一緒に前みたいにあそぼ。」と、言っている。
僕はどうするべきか分からなくなった。
そうしていると、いきなり後ろのテレビがついた。
「順平、勝手にテレビつけんなよ!」と、浩輔は言った。
だがしかし、この部屋には順平はもういなかった。
テレビはニュース番組を流していた。
それを見てみんなの背筋は一瞬にして凍りついた。
内容は、
「え~、こちらリポーターの葛城です。27日に起こった、爆発事故に巻き込まれ死亡した、人々の名前です。(藤村康生さん38歳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・斉藤順平さん18歳・・・)以上現場からでした。
あとから聞いた話では、順平が勤めていた仕事場で
研究していた危険な爆発物を誤って発火させてしまったらしく
そのことが気がかりで僕らの前に現れたのではないか?と、思っている。